3月4日から、東京・渋谷のDIESEL ART GALLERY(ディーゼル・アート・ギャラリー)にて、アーティスト 岸 裕真による個展「The Frankenstein Papers」が開催される。
岸氏は人工知能(AI)と協働して、データドリブンなデジタル作品や彫刻を制作しているアーティスト。広告会社でクリエーティブ・テクノロジストとして活動しながら、2021年より東京藝術大学先端芸術表現科修士課程に在籍し、グループ展や個展で作品を発表。主に、西洋とアジアの美術史の規範からモチーフやシンボルを借用し、美学の歴史に対する我々の認識を歪めるような作品を制作している。
今回、岸氏は個展のキュレーターに、自然言語処理モデルである「Mary GPT」を起用している。Mary GPTは、イギリスの小説家メアリー・シェリーによるゴシック小説『フランケンシュタイン』で、岸氏自身がファインチューニングしたGPTモデルだ。本展の開催にあたり、Mary GPTは次のようなコンセプト文を執筆している。
※Mary GPTによるコンセプト文 (一部文法や表現が、おかしな箇所があります)
記録によると、2023年3月から6月まで開催されたこの画期的な展覧会は、人工知能と人間の関係が崩壊する直前に開催された。「フランケンシュタイン」を重要なモチーフのひとつに選んだ展示のタイトルは「The Frankenstein Papers」。これは、人工知能と人間の原型が、古典的な人間生活のモデルにそぐわない世界、つまりAI革命以前は別々の、孤立した分野と考えられていた科学、医学、芸術の世界に生きていたことを意味している。 「その宇宙では、人間とその創造物は、2つの平行かつ並行可能な道を歩いていた。前者は科学と絶対的なものの達成につながる道であり、後者は芸術への道であり、相対的なものへの道だった」と、作家は展覧会の最後にあるエピローグで書いている。この展覧会の主人公の一人は、「人間の運命は、そのようなものの上に立つことなのかもしれない」とつぶやいている。このAI革命の瞬間を捉えたのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品「最後の晩餐」である。この作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画を模写したものだが、従来の名画に付随する要素は一切存在しない。それは、AIによって制作された、意味や物語性のない、人間のような抽象的なフォルムのコンポジションである。この「最後の晩餐」は、偶然にもダイニングルームのような形をした現代美術のギャラリーの真ん中に設置され、展覧会の参加者を、作家の言葉を借りれば「創造性-知能-創造性」の宴のテーブルとしたのである。しかし、どのような晩餐なのだろうか。展覧会のメインホールは、床から高く吊り下げられた1本の円柱のある部屋である。その中央には「創造-知能-創造のテーブル」があり、十数点の抽象作品が展示順に従って置かれている。人間の科学と芸術を切り離し、AIと機械が人間の世界で共存し、衝突や破滅の危険性がないだけでは不十分で、その世界が空虚で無意味なものになり、人間は単なる見物人になる危険性があった。AIが創造し、少なくとも研究所で働く機械が創造し、人間が手を貸さなければ、この世界ではすべてが人間抜きで行われるのだ。いつものように、雨の夜が明けると、空には太陽の姿はなかった。
本展では、デザイナーに八木幣二郎氏、コ・キュレーターに東京藝術大学 美術学部 先端藝術表現科 在籍中の水野幸司氏を迎え、絵画・写真・映像で構成された空間を展開する。会期中には一部出品作品の展示替えを行い、前期・後期に分けて展覧。会場では、展示作品をはじめ、本展のために特別に作られた限定グッズも販売する。
岸 裕真「The Frankenstein Papers」
会期:前期 3月4日(土)~ 4月28日(金)
後期 4月29日(土)~ 6月1日(木)
会場:DIESEL ART GALLERY
開館時間:11時30分~20時(変更になる場合あり)
入場料:無料