パナソニック デザイン本部内のデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」は、マッキャンエリクソンの事業共創組織「マッキャンアルファ」の吉富亮介氏と共に、つくり手の「人間性」を購入者に伝えることで、共感を通じた新たな購買体験を提案する「RMP Project」を発足した。
その第一弾として「ファッション」をテーマに設定。オリジナルシャツを100枚生産し、3月3日から5日かけて、下北沢にある「reload」でポップアップショップを開催した。
「人間性」を伝える仕組みとしてはこうだ。シャツの購入者はアンケートに回答することで、ブロックチェーンの技術を用いたプラットフォームを介して、特設Webサイト上で製造に関わった人々の情報を知ることができる。たとえば、「綿糸の紡績担当」「デザイナー」「パタンナー」「カスタマーサクセス担当」たちの、「好きな食べ物」「好きな音楽」「子どもの頃の夢」「仕事のやりがい」など。
「スーパーの野菜でよく『私がつくりました』と写真が載っていることがありますが、人が本当に共感したり自分との関係性を意識したりするのは、その人の内面を知ってからだと思うんです。今回はファッションブランドの『SOLIT』とコラボレーションし、シャツを制作。国内外の実際に生産に携わる方々にインタビューをし、購入者に人となりを知っていただく仕組みをつくりました。つくり手の方々にとっても、自らの取り組みを知ってもらえてモチベーションアップにつながる可能性もあります。最近では地球環境へのトレーサビリティを重視するブランドやプロダクトも多数ありますが、その基準はいつか一般化してしまう可能性がある。新たなトレーサビリティの価値基準を提案できたらと思います」(吉富氏)。
なお今回の限定100枚の購入者は、生産者と同じように質問に答えると、特設Webサイト上に同じように書き足されていく仕組み。生産者側からも、どのような人となりの人が共感をしてくれたのか、見られるようになっている。
「RMP Project(Removing Microaggression Products)」では、さまざまなプロダクトに潜むマイクロアグレッション(無意識下にある差別)を取り除くことを目指す。
「無意識下の偏見によって購入を躊躇ったりしていたものが、そのプロダクトの背景にいるさまざまな人間性に触れることで、そのバイアスから解放される。そんな取り組みを展開していきます」(吉富氏)。
今回のポップアップストアでは3日間で約50枚を販売。今後ECサイトでも販売を予定している。
スタッフリスト
- 企画制作
- パナソニック+マッキャンエリクソン
- 企画+コンセプト
- 小川慧、井野智晃
- CD+コンセプト
- 吉富亮介
- ソーシャルデザイン
- 田中美咲
- ブロックチェーン開発
- 朝倉雅文、横井康秀