優れたダイレクトメール(DM)の活用事例を顕彰する第37回全日本DM大賞(日本郵便主催)の各賞が3月17日に発表され、グランプリにはfreee「テンキーチョコで、上場企業の決算疲れをfreee!」(広告主 freee/ 制作者 フュージョン)が選ばれた。
今回のDMでは本決算業務が終わったあと、上場企業の経理部員が一年で唯一気が休まるタイミング(決算開示後=決算月3カ月後)に、ねぎらいの想いを込めて箱詰めのチロルチョコを送付した。チロルチョコにした理由は、限られた予算のなかでも、経理部全員へ配れるだけの数量が確保できること。また、チョコレートが差し入れアイテムとして馴染み深いためだ。
DMは箱型の形状で、その中に経理部員が業務でよく目にしている「テンキー」を模したチロルチョコを詰めた。チョコをすべて取ったあとに現れる箱底面には「お仕事の合間にフリーなひとときを過ごせましたか」とメッセージを記載し、ねぎらいの心遣いが伝わる演出を施した。
そのほか、金賞は常磐興産(スパリゾートハワイアンズ)とシスク、Indeed Japanとインフォバーン/DNPメディア・アート/そらが受賞した。各賞の詳細は3月17日以降、「第37回 全日本DM大賞」公式Webサイトで紹介する。
グランプリを受賞したfreee SMB会計事業本部 インバウンドマーケティング部部長の関 幸一氏は「施策前のリサーチで上場企業の経理の方が多忙なことを実感した」と述べ、「労いの気持ちを届ける」ことを重視し、本決算が終わって3カ月後という、経理担当者が一息つくタイミングでのDM送付にこだわったと説明した。また「受賞を意識せずマーケティング施策として必死に考えた企画だった。その結果、顧客・ユーザーにしっかり情報が届いたことがうれしい」と喜びを語った。
審査委員長を務めた恩藏直人・早稲田大学 商学学術院教授は、同日開かれたオンライン贈賞式で「今回入賞した作品を振り返ると、単に戦略性だけではなく、パーソナライズされているかどうか、あるいはデータドリブンをうまく活用できているかどうか、そのあたりが鍵になっていた。マーケティングはDMだけではうまく行かない。これからは、いかにマーケティング全体の中でDMを融合させていくかということが求められる」と講評を述べた。
本賞は、2021年4月1日から2022年9月30日までに制作され、発送されたDMが対象。応募712作品の中から「戦略性」「クリエイティブ」「実施効果」の3つの評価軸で26の入賞作品が選ばれた。
入賞作品の紹介や贈賞式の映像は公式Webサイト上で公開されている。
・入賞作品の紹介
・贈賞式の映像(アーカイブ配信)