消費者庁は、ステルスマーケティングを不当表示として、10月1日付で指定する。運用基準を3月28日に公表した。パブリックコメントの収集を経て、基準案から一部変更された部分がある。
SNS投稿やeコマースサイトのレビュー(商品評価)のほか、新聞や雑誌、放送などの事業者も含め、第三者による発信であるかのように誤認させる表示を規制する。事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合や、客観的な状況に基づいて第三者の自主的な発信とは認められない場合が対象となる。明示的に依頼や指示をしていなくても、将来的に取引が実現する可能性などをほのめかした場合など、間接的に事業者が関与したとみなす例なども、運用基準に盛り込んだ。
メディアに対しても、それまでの取引実態などと比較して、多くの取材謝礼や協力費が支払われるなどの実態があれば、事業者が内容の決定にかかわっていると判断される可能性がある。
一方、購入者に対して、レビュー投稿の謝礼としてクーポンを配布する場合や、SNSキャンペーンへの応募で投稿をする場合でも、「事業者の表示とはならない例」として、「内容について情報のやり取りが一切なく、購入者や応募者が自主的な意思で投稿内容を決めたと認められる場合」が挙げられている。
Webサイトに、購入者や利用者の声を掲載する場合も注意が必要だ。都合のよい投稿のみを抽出していることが消費者にわかりづらかったり、投稿内容を改変して、商品・サービスの良い点だけを取り上げたりするなどの恣意性があると、事業者の表示となることが想定される。
消費者委員会は、アフィリエイト広告やステルスマーケティングに関する施策について「効果の検証が重要」とし、「消費者や事業者の認知度や理解度、法執行件数などKPI(=重要業績評価指標)を設定すること」を求めている。