社内の情報発信に対する意識を醸成したかった
日本情報経済社会推進協会(以下JIPDEC)の課題は、第57回と第58回が「『プライバシーマーク』を多くの人に知ってもらうためのアイデア」、第59回が「『プライバシーマークの魅力』を伝えるアイデア」。そして第60回は初めての中高生部門で、「中高生にプライバシーマークを確認しよう!と思ってもらうためのアイデア」という課題を提示した。
同協会でプライバシーマーク推進センターの主任を務める福岡峻氏は、協賛の背景についてこう話す。
「私が2019年に現所属に異動した当時、プライバシーマーク(以下Pマーク)の普及に関し、さらなる情報発信の必要性を感じていました。協賛した一番の目的は、社内で『情報発信が必要である』という空気を醸成することです」(福岡氏)。
2年目には社内でイベント化し、協賛企業賞決定の際には全社投票を行った。「『こんな表現ができるんだ』『Pマークにこんな見方があるんだ』とポジティブな声が上がり、次の年からは、『今年は宣伝会議賞ないの?』とまで言われるようになりました」と振り返る。
協賛企業賞の作品は、実際に広告で活用。動画のジングルとして使用したり、ロゴと併記してあらゆる資料で使用し続けた。
「取得企業からの反響も大きく、協賛を起点に情報発信を行うことで、会社やサービスの印象を変えることにも役立つことを実感しました」と福岡氏。「ここ数年は他業種からの問い合わせも増えました。協会名からも固いイメージがありますが、その取っつきにくさが減ったのではないかと感じています」。
応募作品で分かる「Pマークの印象」とは?
さらに福岡氏は、協賛の目的としてマーケティングリサーチの役割を挙げる。
応募作品からは、「個人情報の漏洩など、恐怖に関する表現が出てくるだろう」と予測していた福岡氏。実際、「恐怖」「不安」「怖い」といったネガティブな表現が多くみられたという。
「これを受けて社内で共通していたのは、Pマークをネガティブなものと思われたくない、ということでした」(福岡氏)。
1年目と2年目は同様の課題だったが、その間「信頼」「守る」「安心」といった言葉が増えているのが分かった。実際に第58回のテキストマイニングの分析結果を見ても、「世の中と信頼の証」に関する表現が多くみられた。
そして3年目はオリエンシートのイメージも大きく変え、『プライバシーマークの魅力を伝える』と課題の切り口そのものを変えた。
4年目となる第60回は、初めて中高生部門に協賛。一般部門で見られるような、恐怖訴求の作品はほとんどなかったのだという。
「デジタルデバイスが当たり前にある世代だからか、個人情報に対する感覚は大人と全く違うことが分かりました。ポップでやわらかい言葉遣いの作品が多く、こちらも明るい気持ちで審査させてもらいました」と福岡氏は振り返る。
広告が好きな担当者にオススメしたい
「『宣伝会議賞』を一番おすすめしたいのは、広告が好きだったり、会社でも必要だと思っているけど、社内や上司の理解が得られないなと悩んでいるような、現場の担当者の方です」と福岡氏は話す。
「当初広告予算は少額でしたが、『宣伝会議賞』の協賛費用は広告出稿するよりも敷居が低い価格。課題の提示や受賞時、宣伝会議の各メディアや応募者のSNS、ブログなどの発信で多くの露出があります。もともと情報発信の場はセミナーがほとんどでしたが、今では漫画とコラボしたり、タレントを起用したWebCMを出稿。一歩踏み出すきっかけとなりました」(福岡氏)。