子連れ出社など柔軟な働き方を実現
グラフィックを中心に、広告やWeb サイト、映像制作を行うハドル。エンターテインメント建設、医薬品、家電、IT、物流、大学、自治体、官公庁など多種多様なクライアントの広告・広報活動に携わっている。アートディレクターを中心とするチーム制ではなく、全員ディレクターの体制でメンバーそれぞれがクライアントと対峙。外部スタッフを指揮し、リモートワークによる自己管理のもと制作業務を進めている。
渋谷区神宮前に構えるオフィスは、かつて児童文学作家の前川康男さんが私設文庫を開いていた地。ハドルもそこから着想を得て、2020年にはオフィス内に地域の児童向けに絵本などを集めた私設図書館「神宮前文庫」を立ち上げた。将来のデザイナーやイラストレーターが生まれることを期待し、地域の子どもたちに開放している。
そんなハドルのオフィスは明るくアットホームな雰囲気で、2022年に新体制に移行したばかり。創業者である酒田健典さんからバトンを受け継ぎ、30代のアートディレクター 和田美音さんが代表取締役に就任した。
新代表の和田さんは、工学部出身で結婚、出産後に未経験からデザイナーとなった経歴だ。ハドル入社まで2社を経験したが、子育て中であることがネックとなり、仕事はアシスタントとしての業務が中心だった。現在はシングルマザーとして9歳の娘を育てながらディレクター業に従事しているが、自身の経験からクリエイティブな仕事に就く女性のキャリア形成、働き方に対する問題意識を持っている。
「広告制作は負荷の高い仕事。結婚や出産、育児などのライフイベントをきっかけに重要な仕事から外れる女性も多い。当社はコロナ禍以前からリモートワークを導入し、労働時間も休日も完全な自己管理。柔軟に働ける環境があったことが仕事を覚えていく上で大変助かりました」(和田さん)。
ハドルでは、スタッフ自らのペースで働ける環境づくりが必須と考えている。和田さん自身も職場の至近に引っ越し、会社と家、娘の学校を速やかに移動できる動線を確保。「寝かさない・持ち帰らない・立ち止まらない」といったクイックレスポンスを心がけ、「ノートPCを開けばすぐに仕事を始められるようにする」「隙間時間に一時帰宅して、食事の準備や洗濯と平行しながら業務に対応する」など、柔軟な働き方を取り入れている。
「”子どもを育てていくために働く”というスタンスだと、親も子どもも毎日が辛くなってしまう。母親だって夢や自己実現のために働いてもいいはず。”ママがなぜ働くか”を子どもにも理解してもらい、接することを大事にしています」(和田さん)。
和田さん以外にも子育てをしながら働くデザイナーが活躍しており、子連れの出社はもちろん、子どもに関わる用事などでの出入りも自由だ。今後も和田さんが中心となってスタッフそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方を提供していくつもりだ。
正当に仕事で評価されるための環境に
ハドルが大事にしてきた多様な働き方や、スタッフの子育ての知見が活かされた仕事もある。その一例が、ある保険関連団体での、子どもを守る交通安全啓発の動画制作だ。和田さんの「同世代の親に見てもらいたい」という強い思いから、小さな子どもを持つ親の目線を交えたドキュメンタリータッチの企画を提案し採用に至った。「日ごろ、仕事において自身が母親であることを殊更アピールしたり意識したりすることはないのですが、自然と感情移入しアイデアが生まれた仕事のひとつです」(和田さん)。
また、ある大学の広報用ムービーの仕事では、多様な性別や年齢、国籍といったバックグラウンドを持つ学生や職員が出演。地球規模の社会課題に対し、大学として何ができるかを動画として伝えた。「自分自身の立場もキャリアも、クリエイターの中ではマイノリティかもしれない。だからこそあらゆる少数の人たちの声をちゃんと伝えたいという思いが根底にあり、表現に活かされているかなと思います」(和田さん)。
今後については”ここぞ”という大事なときに、「ハドルに任せたい」と指名される会社になることが目標だ。「そのためには母親の立場をハンディキャップにせず、甘えず頑張っていきたい。そして将来は、子育てと仕事の両立に悩む母親や、自分の力を発揮しきれていないと感じている人を積極的に雇用して、夢を諦めることなく大好きなデザインの仕事で自立できるような会社をつくっていきたいと考えています」(和田さん)。
お問い合わせ
株式会社ハドル
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