コクヨは、4月より新たなテレビCMシリーズの放映を開始。同時に、特設Webサイト「コクヨのヨコク」をオープンした。
CMの舞台は、コクヨの品川オフィス「THE CAMPUS」。そこでバカリズムさんが「社員のヨコク」を聞いてまわる。すると、「未来に生かされる大失敗をします」「ノートの書き心地を神の領域にもっていきます」「世界中から捨てるという行為をなくします」「この世から満員電車をなくします」など、社員からはさまざまな「ヨコク」が返ってくる。
その答えを聞いて時に驚いたり、笑ったりするバカリズムさん。さらに、「いまさらなんですが、ヨコクってなんですか」というバカリズムさんの質問に対し、社員は「言葉にして挑戦することです」と回答。
本シリーズは、「ヨコクがある。未来は明るい。さあ、言葉にすることから始めよう。」というコクヨのメッセージが込められたストーリーになっている。そして、本CMでは約20年ぶりに「コクヨのヨコク」というジングルが使われている。ポップでユニーク、抜けのいいチャーミングな世界を目指し、演出は田中秀幸監督に依頼したという。
同社は2021年に「長期ビジョンCCC2030」を策定し、企業理念を「be Unique.」に改めた。そして翌2022年には、「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする。」というパーパスを制定。今回のCMをはじめとするプロモーションでは、顧客、社員をはじめすべてのステークホルダーへのパーパスの理解浸透を目的としている。
「『ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする』と設定されたコクヨの新しいパーパス。『不言実行から、有言挑戦へと変えたい』。何もいわずにやるのではなくて、言葉にしてチャレンジする体質になっていきたいという強い思いがそこにはありました。この思いを、コクヨのヨコクってワクワクするね、という読後感に変換して伝えたいな、と考えていました」と、クリエイティブディレクター 橋田和明氏は話す。
CMの企画を手がけた権八成裕氏は「虎ノ門で、フラッと入った、何の変哲もないかなり中途半端な喫茶店で『コクヨさんなんですけどね』『コクヨのヨコク♪~って昔やってたよね』なんて会話から始まった本件、まさかこんなに楽しい仕事になるとは!先行して橋田くんがコクヨさんとじっくり進めてくれてたプロジェクト。そこに、僕と、佐野研二郎さんが加わって、ワクワクしながら企画しました」と振り返る。
スタッフがまず訪れたのは、品川駅近くにあるコクヨのTHE CAMPUSというオフィス。元はオフィスビルだった建物の一部を開放し、誰でも利用できるパブリックエリアを新たに設けたスペースだ。そして、ここでは「ライブオフィス」というシステムで、コクヨ社員が働いているスペースを公開している。
「THE CAMPUSに行ってみると、広告会社よりもクリエイティブな環境で、社員の方たちがとても生き生きと働いている様子をみてびっくりしました。コクヨ社員ひとりひとりが一番強いファクトで、この社員がヨコクを生み出す源泉なんだと感じました」と、橋田氏。
権八氏も「THE CAMPUSにオリエンを聞きに行って、コクヨのイメージは一変。衝撃を受けました」という。
「本当に、誰でも入れるオフィスでは、近所の3歳くらいの子(社員の家族でも何でもないのに!)がママとお絵描きをしてたり、潜れる図書室DIVERARY(DIVE+LIBRARY)てのがあって眠くなってみたり、あまりにも、楽しくて、実験的で、洗練されてて、やさしくて!こんなとこなら僕も働いてみたいって、本気で素直に思ってしまって。刺激されまくって、色々、企画しまくりました」(権八氏)
いろいろな企画案が出た中から、決定したのが「コクヨ社員4000人のヨコク」案だ。権八氏らスタッフは一人ひとりの出演候補者の業務を事前に予習しつつ、丁寧にインタビュー。それぞれの「ヨコク」を一緒に考えていくというプロセスをとった。
「そのヨコクは全て、コクヨの事業と紐づいてて、皆さんが、普段取り組んでいる仕事なのですが、CM的にはなるべくエッジーな表現にしたい。普通の事業目標を宣言するだけでは「コクヨのヨコク』らしくない。そこには、驚きや、強い意志や、ワクワク、つまり『!?』が込められていないとならない。協業していく中で、彼らは出演者でありながら、クライアント様でもあるという、あんまり経験したことない緊張感もありつつ。ただ、本当にユニークで、個性あふれる、チャーミングな方たちばかりで、取材して、メッセージを作って、絞り込んでゆく過程は、大変でしたがとっても楽しかったです」
今回のCMシリーズには、キービジュアルである「!?(ビックリハテナ)」マークが常に登場する。このマークは、「!=挑戦しようとする意志」、「?=実現への期待」を表し、両者を掛け合わせて未来のヨコクに対してワクワクするテンションを表現したもの。CMでは、アートディレクター 佐野研二郎氏・香取有美氏がデザインしたマークを、美術の柳町建夫氏が実際に現場で立体化し、それを映像に載せている。
「THE CAMPUSのグラフィックは以前から知っていて大好きでしたが、今回のプロジェクトで実際THE CAMPUSに行き、とにかく驚きました。まさに新時代の公園のよう。驚きや不思議となるほどが混在している見たことのないオフィス。仕事がとても捗りそうです。すぐにMacBookを開いてデザインを始めました。その様子がまるでびっくり箱のようなので、「!?」を立体にしました」(佐野氏・香取氏)
なお、CMやポスター同様、「!?」が大きく表示される特設Webサイト「コクヨのヨコク」は、mountとTWOTONEによる企画制作によるもの。
CMの開始後、同社の本社のある東京・品川駅をはじめ、名古屋駅、札幌駅、仙台駅、広島駅、福岡駅など全国12駅でポスターやサイネージなど交通広告も実施した。このポスターには、クロスワードのように「コクヨのヨコク」と言う文字がタテヨコ自由に組まれている。「!?」マークが大きく描かれたポスターには「さあ、言葉にすることから始めよう」という社員へのメッセージが記されている。
「自由でチャーミングで、かつ誠実で整理整頓されたデザインを心がけました。『誠実な変態』というワードが社員の方から出ましたが、まさにそういうイメージでデザインをしていきました」(佐野氏・香取氏)
社外に向けてのプロモーションと同時に、社内で社員に向けたプロモーションも実施された。CMに登場した社員の「ヨコク」を、27種類のポスターにして社内に掲出。そして、このプロジェクトを進めてきたコーポレートコミュニケーション室では、社長からのメッセージカードとして8ページの冊子を制作。チョコレートや「コクヨのヨコクBOOK」、ステッカーなどのアイテムとあわせたキットを、4月5日の朝から社員一人ひとりに手渡しした。
また、このキービジュアルを使い、「コクヨのヨコク」記念商品として「ワタシのヨコク」セットとユニークな文具をセレクトしたスペシャルボックス<コクヨのヨコク>を一般にも発売している。
スタッフリスト
共通
- 企画制作
- HASHI+ゴンパ+MR_DESIGN+tRADEMARK
- CD
- 橋田和明
- 企画+C
- 権八成裕
- AD
- 佐野研二郎、香取有美
- Pr
- 西澤恵子
CM
- 制作
- Soda!
- Pr
- 石川淳、小柳航
- PM
- 坂根由梨
- 演出
- 田中秀幸
- 撮影
- 田島一成
- 撮影チーフ
- 渡慶次勇太
- 照明
- 古尾裕行
- 照明チーフ
- 吉松孝太
- 美術
- 柳町建夫
- ST
- 井上理愛(バカリズム)、柚木一樹(コクヨ社員)
- HM
- 鈴木海希子(バカリズム)、Otie(コクヨ社員)
- 編集
- 小林真理(オフライン)、泉陽子(オンライン)
- 録音
- 丸井庸男
- 音楽
- Kenny Dallas
グラフィック
- PM
- 渕上隆也
- 撮影
- 南阿沙美