コマースメディア※を展開するCriteoは5月11日、「2023年のトレンドをまとめたレポート「コマース メディア トレンド2023〜デジタル広告を変革する注目のトレンドとは?〜」を発表した。
新型コロナウイルスの感染状況も収まりを見せ、消費意欲が回復し始めるなかでのデジタル広告とコマースメディアの傾向を10のトレンドに分けて解説している。
Criteoによる、主なトレンドとそれぞれの推進要因は以下の5つ。
1、さらなる「オムニチャネル」の推進
購買行動においてオンラインとオフラインの境界が不明瞭となる中、消費者は購買時に「チャネル」を意識しない傾向に。それにより、小売業者とブランドは、デジタルとリアルが統合されたコマースの未来に向けて、より強力なパートナーシップの構築が求められている。
〇トレンドの推進要因
- オンラインでリサーチし、オフラインで購入する消費行動を指す「ROPO(research online, purchase offline)」の高まり。実店舗で売上が発生すると、デジタル投資に対するリターンが評価できなくなるため、コンバージョンを総合的に捉えることが必要になる。
- ラストマイルの管理と把握、詳細な測定、価格設定に関するインサイトに対するニーズの高まり。
- 実店舗訪問前のオンラインリサーチは一般的になること。消費者のリアルな生活に即したレコメンドを送信できるウェアラブル技術にも注目が集まっている。
2、小売業、収益拡大のチャンスはオフサイト広告に
小売業者は、ブランドや広告主がオープンウェブでオーディエンスにリーチできるようにすることで、収益拡大のチャンスを増大させる。
〇トレンドの推進要因
- オンサイト広告枠に限りがある中、小売業はブランドや広告主がオープンウェブでオーディエンスにリーチできるようにすることで、収益拡大のチャンスになること。
- オフサイト広告であれば、ロウワーファネルの指標を捕捉しながら、アッパーファネル向け戦略の実施が可能になること。
- 動画配信網やCTVネットワークによるショッパブル動画広告やブランディング重視のキャンペーンといったアッパーファネルの施策展開が増加していること。リテールメディアの対象範囲が拡大すると考えられる。
3、生成AIによるショッピング体験の変革
ChatGPTおよび新たなアルゴリズム戦略により、検索や広告などの幅広いデジタル・インタラクションに適用され始めている。AIの勢いは最高潮に達しており、リスクを取らない企業は後れを取ることになるとしている。
〇トレンド推進要因
- ChatGPTの登場により、従来のコピーライティング、デザイン、コーディング、編集方法が変革されつつあること。
- 対話型AIを活用し、チャット、電話、ソーシャルメディアによるカスタマーサービスの質を向上させられる可能性があること。
4、Z世代の新たな購買力
Z世代は、SNSプラットフォームのTikTok以外でも広告主のビジネス成長に欠かせない注目すべき存在。戦術とプラットフォームを組み合わせ、売上を伸ばすことが可能になる。
〇トレンドの推進要因
- 米国のZ世代の過半数(58%)が成人で、経済的に自立していること。
- サステナビリティ、手頃な価格、D&Iなどは、Z世代のショッピングの基準や価値観の中に組み込まれ、意図的な消費主義が進んでいること。
- デジタル決済の利用拡大により、自由な取引が可能になっていること。
Z世代が小売業者やブランドから購入する際に重視しているもの
5、広告分野におけるサステナビリティの推進
メディアバイヤーとメディアオーナーにとって地球環境に配慮した取り組みは最優先事項のひとつとなる。
〇トレンドの推進要因
- 地球環境の保護を最優先に考えた商品やプライベートマーケットプレイス(PMP)、CO2排出量を測定してオフセットを奨励する二酸化炭素排出量計算ツールを活用したキャンペーンが増えていること。
- 新たに登場している企業向けの気候プラットフォームが、企業を複数のベンダーに接続させ、運用のクリーンアップを可能にしている。温室効果ガスの排出量をネットゼロにするマーケットプレイスも登場。