カンロは、新商品「透明なハートで生きたい」を、5月16日から発売を開始した。本商品は現役高校生とタッグを組み、新たな飴を共同開発する「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」から生まれたもの。
パッケージは6種類で、青春をイメージした気持ちが明るくなるデザインに。表面の円窓から中身のキャンディが見える仕様で、裏面にはそれぞれ表面デザインと連動した、ポジティブな気付きを与えるストーリーを記載した。
同商品は、飴のプロであるカンロのノウハウと、高校生ならではの新鮮なアイデアを掛け合わせ、“飴をなめる時間が自分にとって意味のある時間になる”ような、“ポジティブな気持ちの変化が生まれる飴”を目指して開発。じんわり溶ける飴だからこそ実現した、10代の“ゆらぐ気持ちに寄り添う体験”を提供することで、10代に飴の原体験をつくり、飴の価値を再認識するタッチポイントとして展開していく。
同社では、グミの製法を応用した「マロッシュ」をはじめ、Z世代をターゲットにした商品を積極的に発売し好評だ。しかし近年、見た目にも映える「グミ」がSNSを中心に話題となるなか、「ハードキャンディ」と呼ばれる飴のトレンドはここ数年停滞し、若年層には“飴はあまり魅力のないお菓子”と感じられている現状があった。
そこで同社は、「10代に飴の原体験を作りたい」と考え、飴の価値を上げるべく、「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」を発足させた。プロジェクトではまず、カンロ社員間での座談会や現役高校生との座談会を10数回に渡り実施し、現状の課題や飴がもつ可能性、そして彼らが日々どんなことを感じながら生活をしているのか、率直な意見を洗い出すことから着手した。
座談会を通じて分かったことは、Z世代にとって“お菓子は食べ物というよりアイテム”という認識であり、“その商品からコミュニケーションが生まれるか”が重要であること、また、日常生活の中で“心のつながりや愛情、安心感を欲している”ということだった。
座談会での意見を踏まえ、実際の商品開発にもZ世代の意見を取り入れるため、「今を生きる10代」という分野のプロフェッショナルである現役高校生でモデル・タレントの3人を『キャンディディレクター』に任命し、商品のコンセプトやメッセージ、飴のフレーバーからパッケージまで、約半年間にわたり会議や試作を重ねながら開発した。
同社のプロジェクトリーダーの河野亜紀氏は、今回の開発プロジェクトについて次のように振り返る。
「キャンディディレクターの意見をそのまま受け取るのではなく、その背景にはどんな気持ちが隠れているのかという視点を大切に議論を交わしました。その結果、Z世代特有の孤独感であり、それに寄り添うような商品コンセプト『こころ、透きとおる飴。』を導き出しました」。
キャンディディレクターの3人が求める「かわいい」には妥協がなく、透明感には特にこだわったという。「ハート型×透明感」の実現には苦労を重ね、レシピや製造条件の調整などで実施した試作は120回ほどにのぼった。
商品の完成後、社内からは「透明感のある飴粒はもちろん、商品名、パッケージデザインにおいて社員発ではなかなか踏み切れなかった商品だ」との声や、若手社員からは、メッセージや見た目の可愛さに共感する声が挙がった。
「『透明なハートで生きたい』の発売をきっかけに、高校生のカバンの中に飴があることで気分が上がる、そうしたアイテムになっていけると嬉しいです。今後の展望としては、コンパクトタイプ発売後、形態バリエーション展開、販路拡大を予定しています」(河野氏)。