今回は「BOOKS」の一企画「著者インタビュー」にて、『おかたいデザイン』の著者である、フリーランスのグラフィックデザイナー平本久美子氏に、デザイン初心者でも実践できる「機能する広報ツールのつくり方」について聞きました。
※本記事では『広報会議』2023年6月号(5月1日発売)の連載「著者インタビュー」の掲載記事を公開します。
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プレスリリースをはじめとした広報ツールを制作する際、「デザインの正解が分からない」と悩んだことはないだろうか。
「デザイン=オシャレ」というイメージのもと、自己流でなんとなく片付けてしまっている人は多いはず。
その結果「分かりづらい」「しっくりこない」デザインに仕上がってしまう。そこで本書では、デザインに着手する前にまず、目的から逆算して「ターゲット」と「伝えたいこと・書くこと」を決めるのが重要だと述べている。
そして実際にデザインをつくるときに、守るべき最低限の3ルールも指南する。
これを知れば、デザイナーが本業ではない“ノンデザイナー”でも、的確なデザインができるようになり、ディレクションのポイントも押さえられるだろう。
『おかたいデザイン』平本久美子/著 翔泳社
機能するデザインの3ルール
「そもそも、デザインに何ができるのかを知らない方も多いと思います。前提として押さえるべきデザインの役割は『伝えたいことが短時間で伝わること』。
つまり、『読む』ではなく『見る』だけで伝わることです。ノンデザイナーが最初に目指すべきデザインは、オシャレかどうかよりも、この点に尽きるでしょう」。
そして、この役割を果たすために、守るべき3つのルールがある。
それは、最も伝えたいことに気づいてもらうために「メリハリをつける」、要点を伝えるために「文章をできるだけ短くする」、見やすくするために「色を使いすぎない」。
たったこれだけだ。
しかし頭で分かっていても、手を動かすときにはどうしても、「あれもこれも伝えたい」と読み手視点が抜け落ちやすいので要注意。
デザインにおいて大切なスタンスとは、情報を盛り込むのではなく、取捨選択を繰り返して情報を捨てることだ。
本書では、広報担当者に身近なプレスリリース・チラシを中心に、動画のサムネイルやSNS広告など幅広い制作物の具体例を挙げながら、ビフォーアフター形式で良い例と悪い例を解説。
著者が講師を務める講座内の恒例企画「デザインお直しクリニック」を紙面で再現し、ノンデザイナーでも改善ポイントが明確に理解できる形式に。
デザインの知見を持たない初心者にとっても、読むだけで再現性のあるデザイン思考を身につけられるだろう。
媒体別のデザインポイント
ここでは「プレスリリース」と「チラシ」の事例から、媒体の特性を踏まえながら、デザインのポイントを紐解いてみる。
プレスリリースにおけるデザインの役割は、ターゲットである記者に「数多あるプレスリリースの中から目をとめてもらうこと」。
シンプルなデザインよりも、インパクト重視の目立つものが適している。
例えば、「情報の種類でレイアウトを分ける」「要点…
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平本久美子(ひらもと・くみこ)氏
フリーランスのグラフィックデザイナー。日本広報協会 広報アドバイザーとして、ノンデザイナー向けデザイン講座の講師も務める。著書に『やってはいけないデザイン』など。
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