働く人同士の信頼構築を補う「社内報」 アルバイトも同じ目線で

社内広報の専任がおらず「社内報作成にそこまで時間を割けない」。そうした場合は、社内報に期待されていることは何か、について立ち戻りコンテンツを組み立てたい。社外向けの情報を編集し直し、従業員向けに発信することもできる。ここでは、広報会議2023年7月号の特集「社内コミュニケーション」に掲載した、インタビューをダイジェストで掲載する。

「共に働いていても、業務上の会話だけでは見えづらい部分があります。 そこを補うのが社内報。仕事を進めやすく、信頼関係を築きやすくしていきたいです」。こう話すのは、空き駐車場をアプリ予約できるシェアリングサービスを行うakippaの広報担当・石川絢子氏だ。

同社の従業員数は、大阪と東京のオフィスを合わせて約90人。オフィスへの出勤は3カ月に1回とし、それ以外の勤務形態は部署ごとに決定、フルリモートの部門もある。広報チームはインターン生1人を含め3人体制で、社内・社外の広報活動を分担する。社内報「PERK UP」は、従業員が業務で利用することの多い「Googleドキュメント」を使い3カ月に1度配信。読み手はドキュメント上でコメントをつけることができる。

「共に働く仲間として、同じ意識を持ってほしい」という思いから、読者の対象は、アルバイトも含めた従業員。出勤日に実施する社内集会のレポートや、誕生日を迎えた従業員が「自分を知ってもらう」ためにマイブームや近況などを語るコーナーは、アルバイト従業員からもよく読まれているという。

「オンライン会議で話すほどではないけれども、働く仲間の人となりが分かる話題というのは、社内で会話を生むきっかけになっています」と石川氏。「日々の業務では“この日までにやっておいて”というタスクに関する会話が多くなります。もちろん業務効率は上がりますが、貴重な時間を共にしている仲間について社内報で知ることができれば、より心地よく仕事が進められますし、長期的に見たらより働きやすくなると考えています」。

akippaの社内報「PERK UP」はGoogleドキュメントで配信。共に働くアルバイトも読め るようにしている。専門用語は避け、親しみやすい文体で、従業員の紹介や、社内のイベントの様子を伝え、読み手からのコメントがつく。

2022年7月、同社はミッションである「“なくてはならぬ”をつくる」を実現するためのバリューとカルチャーを新たに定めた。これらは経営判断や社員の人事評価にも密接にかかわるもの。社内報で特集を組み、バリューとカルチャーに関する社内集会を詳報。さらに広報チームでは、社内のニュースを伝える際、「すべてを自分事として行動していました」などと、バリューに沿った従業員の行動に着目し、意識的にキーワードを盛り込んで記事を書いている。

「どのようなアクションがバリューに沿っているかは評価制度として定めたガイドラインがあります。日頃の会話の中でも、バリューに関する言葉が使われているので、広報メンバー内で、そうした社内の行動を見つけ、発信するようにしています」。

かつてakippaの広報では、社内報の配信頻度を上げ、できるだけ多くの従業員に登場してもらう目標を設けていた時期もあった。しかし、形骸化してしまうことから、現在は届けるべきメッセージに絞って発信するスタイルに変更したという。

「他の部署が知ることでポジティブな結果が生まれることは積極的に取り上げるようにしています。社内で話題になっているニュース、関わる人が多いもの、注力している領域、ユーザーの声などです。週に1度あるマネージャーが集まる会議で、気になる情報をつかんでおいて、各部署に話を聞きに行くこともしています。社内報を従業員全員に読んでもらうのはなかなか難しいですが、その人が『知りたい』『必要だ』と思ったときに、パッと開けるよう、分かりやすく格納しておくことが大事だと思います」。

……社内報とオウンドメディアの書き分けなど、続きは本誌、2023年7月号『広報会議』で!

広報会議2023年7月号

【特集】
社内コミュニケーション
従業員が参画したくなる伝え方


GUIDE
人的資本経営における効果的な
社内コミュニケーションとは
永田 正人 HRガバナンス・リーダーズ

CASE1 ヤマハ発動機
リスキリング意識を高めるには
現場と協働し、成功事例の共有を

CASE2 ロート製薬
従業員巻き込んだ社内報の運用で、
“個”を活かす組織風土づくり

CASE3 freee
社内の「フラットな対話」促し
ジェンダーギャップのない理想像と現状の把握

CASE4 iCARE
重視する価値観を多角的に広め
従業員の行動への定着化目指す

COLUMN
ユニークな補助制度で健康管理
業界イメージへの変容へ

GUIDE
人材確保が難しい時代の
従業員エンゲージメントを高める3ステップ
中塚 敏明 スキルティ

COLUMN
社員数が4倍になっても風土が浸透する
人事・広報コミュケーション設計
LayerX

COLUMN
働く人同士の信頼構築を補う社内報
オウンドメディアとの書き分けと発信
akippa

COLUMN
資産を活用し企業ブランド浸透を目指す
「オールTBS感謝祭」
TBSホールディングス

GUIDE
「マインドをつなげて共感をつくる」存在に
広報の進化がイノベーションをもたらす
矢野健一

【第2部】
業務を効率化し、
コミュニケーションを加速させる
「生成AI」の使い方

生成AIとつくる「社内報」
戸村智憲 日本マネジメント総合研究所 
深津貴之 note 
大杉春子 レイザー 

企業・自治体の「生成AI」活用最前線
ベネッセホールディングス/
日清食品ホールディングス/横須賀市

ほか


 

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