ジンズホールディングス(以下、ジンズ)は、東京本社を千代田区富士見(飯田橋)から同区神田錦町に移転し5月29日(月)より稼働を開始した。
「壊しながら、つくる」をコンセプトに、“クリエイティビティを高める”ことを目指し全9フロアを大胆に改装したほか、コミュニケーションを促進する仕掛けを多数施した。
冒険者(ベンチャー)のマインドを取り戻す
2014年に入居した同社の前オフィスは、「OPEN SPACE」のもとガラスで区切られ垣根のないフロアが特長的だった。「時代に合った新しい働き方を実現する」として、日経ニューオフィス賞の最高位である経済産業大臣賞を受賞するなど注目されたという。
しかしこの約9年において、時代が変化し価値観も多様化。過去に捉われず、これまでにない価値を創出していくことが、より求められてきた。
そこでジンズは、自分たちが冒険者(ベンチャー)であることを改めて認識することを決意。「覚悟を持って新時代を切り拓き、新しい価値づくりに挑戦する」マインドを取り戻すべく本社の移転を決定した。
オフィスづくりでこだわったのは、「全てが潤沢に準備され、与えられる環境」からの脱却を図ること。
そこで、あえて築年数が古く、全体の床面積もこれまでの約半分と狭くなる地上9階建てのビルを一棟借りし、大胆に改装した。
この不足分を補うために、スタッフ一人ひとりが柔軟に工夫することが、問題を発見する力や想像力の育成につながり、クリエイティビティの向上を図る。新しい働き方をつくっていけるオフィス運営を目指していく。
吹き抜け階段などコミュニケーションを促す仕掛け多数
「壊しながら、つくる」を掲げた新オフィスは、新進気鋭の建築家・髙濱史子氏が手掛けた。
クリエイティブな働き方をサポートするため、オフィスの固定概念や入居ビルの間取りに捉われることなく、各階を構想した。
主な執務スペースとなる5~8階は、階層が分かれることによるスタッフの物理的・心理的分断をなくすため、中央に大きな吹き抜け階段を設置。
2階はスタッフが集合するイベントを想定したフルフラットなフロアで、床から芽のように取り出せる組み立て椅子(通称「種ベンチ」)が約200脚並んで内蔵されており、コミュニケーションや業務の空間として自由に活用できる。
また1階は、“オフィスは室内にあるもの”という常識を覆し、「働くソト」として活用。
建物の角に面した折りたたみ式の扉を開け放ち、公園のようなベンチを置き、外気や街の動き、四季を感じながらリラックスして働くことが可能となった。
髙濱史子氏は、「壊しながら、つくる」というコンセプトについて「引き算のデザインとすることで、全てがお膳立てされているわけではないものの、使う方々がクリエイティブに工夫しながら働くきっかけを与えられるオフィスを実現出来たら」とコメント。
今後は、スタッフがよりクリエイティブに働くための施策として、オフィスサウナや、アートの導入も予定しているという(今秋完成予定)。