(本記事は月刊『宣伝会議』7月号 巻頭特集に掲載されているものです。)
中村俊之氏
ポーラ
顧客戦略部 部長
事業を横断した顧客ID統合ポーラの顧客戦略部とは
消費者を取り巻く環境の変化、価値観・ライフスタイルの多様化によって購買行動においても一人ひとりの顧客のニーズに対応したサービスの提供が重要となっている。
こうした中、ポーラは2023年4月から店舗、ECなど国内の販売チャネルの顧客IDを共通化したサービスプログラム「ポーラ プレミアム パス」を始動した。「ひとつのIDにお客さまのポーラ体験を蓄積し、購入履歴や、肌分析結果を確認することができ、お客さまの気分、価値観や、住んでいる地域、悩み、肌の状態に合わせて、一人ひとりに寄り添ったサービス・接客を行うことが可能になります」と話すのは同社の顧客戦略部の中村俊之氏だ。
中村氏が統括する顧客戦略部は、同社にあるマーケティング領域の部門のうちのひとつ。部署の位置づけとしては国内事業横断での顧客戦略及び販売戦略を担い、顧客戦略部が中心となり、マーケティング関連部門と各事業をつなぐ仕事をすることも多いという。
「今回の施策では販売チャネル別に点在する各種事業もすべてひとつのポーラという会社のサービスだと認識。企業視点ではなく、お客さま視点で、体験をシームレスにつなげることは、これからの顧客満足を考えるうえで重要な施策になります。顧客起点で各種事業やデータをつなぎ、この基盤を活かした新たな価値提供の在り方を考えていきたいです」(中村氏)。
中村氏は「日本のマーケティング組織の変遷を考えたとき、ひとつの切り口としてデジタル分岐があげられると思います」と分析。「広報宣伝やコミュニケーション戦略において顧客データの活用が進むということは、各事業部門やシステム部門など組織内での機能的な融合が必須になってきているということです。どの企業においても、マーケティング部門の担当者が一緒に仕事をするセクションは増えていると感じます」(中村氏)。
顧客へのおもてなしを起点にしたマーケティング組織の変遷
ポーラは「2022年-2029年長期経営計画」内で、ダイレクトセリングを生かした独自のOMO構築、顧客体験の向上、オンライン・オフラインの枠を超えたコミュニケーションでロイヤル顧客拡大、顧客基盤安定化、などの指針を示している。顧客データの統合、活用と言えば、顧客接点のデジタルシフトをはじめとする、企業のDX施策の一環のように思う。しかし、ポーラではこれらデータを、同社のDNAとも言える、オフラインチャネルでのサービスに活用しようと考えている。…
…この続きは月刊『宣伝会議』7月号で読むことができます。
『宣伝会議』7月号(6月1日発売)
特集1
戦略方針から組織作り、人材マネジメントまで
注目51社の今期の戦略がわかる!
広告・マーケティング部長アンケ―ト
〇顧客起点のマーケティング基盤を構築
組織横断のプロジェクト成功の背景とは
ポーラ 中村俊之
〇マーケットの状態に合わせた最適な組織編成
施策への投資判断を迅速かつ柔軟に
freee 三浦將太
〇コロナ禍でデジタルシフトしたBtoBの営業
マーケティング部門との連携の仕方は変わる?
アドビ 祖谷考克
〇事業拡大による“縦型組織”の弊害を回避
マーケティングから営業まで連動を強化
カオナビ 篠﨑順也
〇スタートアップ企業に聞く! マーケティング組織づくり
〇注目51社の今期の戦略がわかる! 広告・マーケティング部長アンケート
特別企画
「知る」と「買う」の間にあるものとは何か?
購買行動の「事実」をもとにマーケティングを見直す
特集2
魅力的な広告体験をつくり、パフォーマンスを高める!
デジタル広告のリスクと対応
シリーズ特集
宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本
クリエイターの生活者インサイト把握術