※本記事は、『広報会議』7月号(6月1日発売予定)の転載記事です。
ロート製薬は、パーパス(存在意義)を実現するため、「“個”を尊重した会社と社員の共成長により、Well-beingな社会の実現」を目指し人財育成に注力している。
パーパスは、「世界の人々に商品やサービスを通じて健康をお届けすることによって、取り巻くすべての個人や社会の『Well-being』に貢献していくこと」。
この実現には、社会が求めるWell-beingを軸に新しい価値を創造し続ける人財の育成も欠かせない。
そこで多様な「個」が主体的に活躍することを目指すべく、企業と社員のパーパスのマッチングを図る社内コミュニケーションを実施している。
求める人財像の明文化
人財育成を強化する背景について「当社には、『社員の成長なくして会社の成長はない』との考えが企業のDNAとして根付いています」と語るのは、広報・CSV推進部 阿子島文子氏。
創業時から価値行動規範として掲げている「7つの宣誓」の一文には「まず人がいて、輝いてこそ企業が生きる。主役は人、一人ひとりが自らの意思と力で自立し、組織を動かして行きます」との記載がある。
こうした中、組織の拡大や不確実性の高い事業環境への変化に対応するため、2019年に発表した「ロートグループ総合経営ビジョン2030」では「人財育成」への考え方を改めて明文化。
さらに2022年には、「人事制度」を20年ぶりに改訂した。
新「人事制度」は個々が自分のパーパスやキャリアを自律的に担いながら、全社員で共通のゴールへ向かう「全員戦力化」*に向けたWell-being経営を目指す内容で、ドライバーとなる4つの施策を進めている(図)。
*『全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発』(日本経済新聞出版)守島 基博/著
これらの施策において、目指すべき指標のひとつが「『プロの仕事人』になること」だ。
「プロの仕事人」とは、「同社のパーパスを指針に、事業活動に主体的に参画・挑戦し、継続して学び続けて社会に価値を創出できる人財」を指す。
これを目指す上では、企業の「パーパス」への深い共感をもち、それを社員自身の「パーパス」とマッチングできていることが重要となる。
そこで、それぞれの社員が「プロの仕事人」として、どのような「パーパス」をもとに事業に取り組んでいるかを伝えるべく、ウェブ社内報の運用に注力している。
「社員の思い」が見える社内報
ウェブ社内報「SHI ROHTO+(シロートプラス)」は、2019年に開設された。
社内の新たな取り組みやマネジメント層や社員の素顔を軸に、その時々のトピックスを社員へタイムリーに伝えている。
編集方針としてこだわっているのは、社員1人ひとりが「何を目指して仕事に取り組んでいるのか」「この取り組みの背景にはどのような思いがあるのか」といった「プロの仕事人」を目指す上での「社員の思い」にスポットを当てていることだ。
「特に『ほかの部署』が『どのようなテーマに取り組み、仕事の価値を生み出しているか』を認知することは、『プロの仕事人』を目指すモチベーション…
続きは、『広報会議』2023年7月号特集『社内コミュニケ―ション 従業員が参画したくなる伝え方~パーパス浸透・リスキリング・多様性、イノベーションを創出する組織へ~』でお読みいただけます。
このほか、ヤマハ発動機やfreee、iCAREなど、「人的資本経営」に関する社内コミュニケーションの先進事例や、広報業務における生成AIを活用法についても紹介しています。
ぜひご覧いただき、自社の社内コミュニケーション施策にお役立てください。
広報会議2023年7月号
【特集】
社内コミュニケーション
従業員が参画したくなる伝え方
GUIDE
人的資本経営における効果的な
社内コミュニケーションとは
永田 正人 HRガバナンス・リーダーズ
CASE1
ヤマハ発動機
リスキリング意識を高めるには
現場と協働し、成功事例の共有を
CASE2
ロート製薬
従業員巻き込んだ社内報の運用で、
“個”を活かす組織風土づくり
CASE3
freee
社内の「フラットな対話」促し
ジェンダーギャップのない理想像と現状の把握
CASE4
iCARE
重視する価値観を多角的に広め
従業員の行動への定着化目指す
COLUMN
ユニークな補助制度で健康管理
業界イメージへの変容へ
GUIDE
人材確保が難しい時代の
従業員エンゲージメントを高める3ステップ
中塚 敏明 スキルティ
COLUMN
社員数が4倍になっても風土が浸透する
人事・広報コミュケーション設計
LayerX
COLUMN
働く人同士の信頼構築を補う社内報
オウンドメディアとの書き分けと発信
akippa
COLUMN
資産を活用し企業ブランド浸透を目指す
「オールTBS感謝祭」
TBSホールディングス
GUIDE
「マインドをつなげて共感をつくる」存在に
広報の進化がイノベーションをもたらす
矢野健一
ほか