これまで「日本一のおんせん県」として様々な観光プロモーションで話題を生み出してきた大分県の別府温泉で、「推し活」を通じて地域のファン獲得を目指すプロジェクトが昨年11月に行われた。若年層の観光客が少なく、コロナ禍により観光客が減少傾向という課題を受け、Z世代に向けた観光DX実証プロジェクトとして実施された。ライブ配信サービスを行うLivePark、テレビ大分、別府市産業連携・協働プラットフォームB-biz LINK(大分県別府市)が立ち上げた「大分インタラクティブ観光DX事業コンソーシアム」が主体となった。
期間中、2.5次元俳優たちが実際に別府を体験した様子を、視聴者と交流しながら紹介するライブ配信を実施。配信中に興味を持った視聴者がその場で宿の予約や物産品の購入ができたり、購入数が貯まると(お腹をすかせた)2.5次元俳優たちがライブ配信でご飯を食べられる仕組みも用意し盛り上げた。
加えて、宿の予約メニューには2.5次元俳優のアクリルスタンドが部屋でお出迎えしてくれる「アクスタプラン」を用意し、2.5次元俳優が実際に訪れた場所をまとめた旅のしおりも配布した。実際に別府温泉に出向いた人がSNS投稿した写真をライブ配信で2.5次元俳優が楽しむフォトコンテストなど様々な仕掛けで、ファンが楽しめるようにした。
並行して、地域の魅力を伝える温泉番組をテレビ大分で放送したり、インターネット上に地域OTA(Online Travel Agent。オンライン上の旅行代理店業務)を開設して地域の産品を販売するなど、多角的な取組を実施した。こうした取り組みの結果、OTAサイト「ゆのくに ゆのたび 別府温泉」では、前月と比べプロジェクトを実施した月の宿泊予約人数が16.4倍に増加。123名が「アクスタプラン」を予約したという。
観光庁ではDXの推進を通じて、旅行者の利便性向上、観光地経営の高度化等を図る「観光DX推進プロジェクト」を実施しており、本件はその一つ。今年度は14の実証事業が進められている。「観光DX」の公式サイトでは、各事例の詳細や成果報告会の発表資料が公開されている。