YouTube Works Awards Japan 2023 グランプリは「『電気よ、動詞になれ。』ピクセルアート」篇に

Googleは6月8日、YouTubeで高い効果をあげた動画広告を表彰する「YouTube Works Awards Japan 2023」の受賞作品を「Advertising Week Asia 2023」にて発表。最高賞のGrand Prixに明電舎の「『電気よ、動詞になれ。』ピクセルアート」篇が選出された。

「YouTube Works Awards」は、YouTubeにおいて高い効果をあげた動画広告を表彰する広告賞で、イギリスから始まり、日本での開催は今年で3回目となる。

【前回の結果】YouTube Works Awards Japan 2022 グランプリはVOICE PROJECT

審査対象となるのは、2022 年に実施されたYouTube を活用したキャンペーン。「Action Driver」「Best Brand Lift」「Best Sales Lift」「Best Target Reach」「Breakthrough Advertiser」「Creative Effectiveness」「Force for Good」「YouTube Creator Collaboration」の8部門で審査が行われた。

発表に先んじて行われた最終審査会では、各部門のファイナリストとして選出された計49作品から、部門賞を選出。その中でもっともストーリー性があり、広告効果を発揮したと判定されたキャンペーンをGrand Prixとして選出した。

審査員を務めたのは、次の12名(氏名五十音順)。

・ADKマーケティング・ソリューションズ クリエイティブディレクター 印南智史氏
・博報堂 クリエイティブディレクター 小島翔太氏
・電通 クリエーティブディレクター 佐々木亜悠氏
・セブン‐イレブン・ジャパン 商品本部リテールメディア推進部 総括マネジャー 杉浦克樹氏
・ディップ 執行役員 COO室 室長 藤原彰二氏
・サイバーエージェント インターネット広告事業本部 統括 淵之上弘氏
・(つづく) クリエーティブ ディレクター 細川美和子氏
・ワトソン・クリック クリエーティブ ディレクター 山崎隆明氏
・YouTube Creator コムドット やまと氏
・KOS ファウンダー ゆうこす氏
・レノボ・ジャパン CMO リュウ シーチャウ氏
・Jukebox Dreams Founder and President 和佐高志氏

受賞作品

Grand Prix/
Breakthrough Advertiser(蓄積された実績がない中で果敢に挑戦し、戦略的にYouTube広告を活用したキャンペーン)

「電気よ、動詞になれ。」ピクセルアート篇

写真 CM カット 「電気よ、動詞になれ。」ピクセルアート篇

広告主:明電舎
広告会社:読売広告社
制作会社:太陽企画
ブランド:明電舎
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告

受賞理由:ターゲットに対して深くアプローチすることができ、月間サイト訪問数が20 倍以上になった。YouTube広告だからこそのKPI(好意度などのブランドリフトとサイト訪問などのコンバージョンリフトの両立)を達成できた。B to B 企業として若者と接点を作るコミュニケーション設計をしたのが新しい。豊かなクリエイティブ表現と「電気よ、動詞になれ」をはじめとした秀逸なコピーによってKPI を達成した。また、あえてスキップできるフォーマットを採用し、「見たいから見る」といった主体的な視聴を引き出し、企画としてチャレンジしている。

Action Driver(生活者の意思決定を後押しすることで行動を促すことに成功したキャンペーン)

学パ、あげてこ⤴︎

写真 CM カット 学パ、あげてこ⤴︎

広告主:三井住友カード
広告会社:アイレップ
制作会社:ピラミッドフィルム
ブランド:三井住友カード
広告フォーマット:バンパー広告、動画広告シークエンス、動画アクションキャンペーン

受賞理由:訴求ターゲットとなる学生からの支持が厚いYouTube クリエイターのキャスティングと「コスパ・タイパ・学パ(学生生活パフォーマンス)」の3点の訴求でわかりやすい表現。冒頭5秒でブランド訴求することで、スキップされても伝わるような工夫。PDCAを考慮して、YouTubeでは、長尺のTrueView インストリーム広告と6秒のバンパー広告を組み合わせて配信。動画広告シーケンスを活用し、長尺動画を視聴した人とスキップした人に対して、それぞれ別のバンパー広告を配信してメッセージを出し分けることで、より効果的にサービス理解を促した。

Best Brand Lift(ブランドや商品の認知・比較検討・検索数や好意度などのブランドリフトに貢献したキャンペーン)

ドコモ「卒業生100万人の答辞」/「あの恋をもう一度」

写真 CM カット ドコモ「卒業生100万人の答辞」/「あの恋をもう一度」

広告主:NTTドコモ
広告会社:博報堂、TBWA HAKUHODO
ブランド:ドコモ
広告フォーマット:バンパー広告、コネクテッド テレビ配信:テレビ画面への配信、ノンスキップ 15 秒、インストリーム動画広告、TrueView インストリーム広告、マストヘッド広告、動画広告シークエンス

受賞理由:時代背景やターゲットのインサイトを、うまく捉えた作品であることが総合的に評価された。「卒業生100万人の答辞」では、実際の制作にあたっては当事者、学生たちの生の声を拾い上げ、長尺にもかかわらず最後まで作品を魅せ切る力があった。「あの恋をもう一度」は典型的な恋愛ドラマで比較的長尺であるにもかかわらず、意外なドラマ展開で視聴者に作品を2 度見させるクリエイティビティが秀逸。その背景にあるのは今回のドコモのキャンペーンの共通のテーマである、みんなが主人公。

Best Sales Lift(オンライン・オフライン問わず売上拡大に貢献したキャンペーン)

最強どん兵衛 最強地下CMッッ!

写真 CM カット 最強どん兵衛 最強地下CMッッ!

広告主:日清食品
広告会社:博報堂
制作会社:トムス・エンタテインメント、Minto
ブランド:どん兵衛
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告

受賞理由:麺やお揚げ、だし、七味まで抜かりない商品特徴、まさに「すべてが主役」というキャッチコピーをリズミカルにかつ、わかりやすく伝えられている。「最強どん兵衛」という商品とアニメの世界観が抜群にマッチしており、商品特徴をさらに力強く表現できている。アニメを知らない人が見ても楽しめるクリエイティブであることもポイントに。SNS での拡散も設計されており、効果が出ることができ、結果として放映前より購買につながったことへの納得度も高い。

Best Target Reach(生活者のインサイトやメディアの特性を捉え、ビジネスターゲットへのリーチ効率を高めたキャンペーン)

ファストCM「かけがえのない人生に、たしかな安心を。」篇

写真 CM カット ファストCM「かけがえのない人生に、たしかな安心を。」篇

広告主:損害保険ジャパン
広告会社:トライバルメディアハウス
制作会社:シグナル、TYO、エイスリー、movel
ブランド:損保ジャパン
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告

受賞理由:ターゲットである若者の「タイパ」に対するインサイトを的確に捉え、YouTube における動画の倍速視聴行動を逆手に取ったYouTube ならではの表現。若い世代からは少し縁遠いとも感じられる損保に対し、「かけがえのない人生」を無駄にしない、という姿勢を行動で示すこともできており、ブランド価値の表現にもつながっている。完全視聴率や視聴単価もカテゴリー平均値を上回っており、ターゲットに効率良く、質の高いリーチができている。若者の「タイパ」に対するインサイトの調査リリースを先行させた上でCM をローンチするなど、YouTubeの広告を中心とした立体的な展開による話題化もできている。

Creative Efectiveness(多様化する生活者インサイトを的確に捉え、視聴者の共感や議論を生み出したキャンペーン)

ほろよい飲んで、なにしよう?

写真 CM カット ほろよい飲んで、なにしよう?

広告主:サントリーホールディングス
広告会社:電通
制作会社:DASH
ブランド:ほろよい
広告フォーマット:バンパー広告、TrueView インストリーム広告

受賞理由:「ほろよい」という商品の持つ気分やシズル感をカルチャーと接着し、ターゲットである若者たちが、見て気持ちのいいコンテンツに昇華できている。音楽から、グラフィック、トーンなどあらゆる要素を今の時代の若年層が好きなものから逆算した設計力。コロナでやや閉塞感のあるメッセージが多い中で「ほろよい飲んで、なにしよう?」という軽やかでポジティブなコピー。一方的に届けるのではなく、二次創作などを生み出す余地のある、総クリエイター時代の若者たちを喚起するような引っ掛かりのあるクリエイティブ。

Force for Good(収益やビジネスインパクトを超えて、自社のブランドパーパスを表現し、社会的意義のあるコミュニケーションを展開したキャンペーン)

おうちの中のモンスター

写真 CM カット おうちの中のモンスター

広告主:日本赤十字社
広告会社:電通デジタル、電通
制作会社:TheProducers
ブランド:日本赤十字社
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告、その他(日本赤十字社 公式YouTube)

受賞理由:日本赤十字のパーパスに基づき、命を守るためのメッセージを喚起し、実践的なコミュニケーションを実現したことの意義。スルーされがちなテーマに正面から向き合い、質の高い表現をつくっている。災害大国の日本ならではの課題である防災というテーマで行動を促し、また、子どもを巻き込むことで家族の中での会話を促した。アニメーションを採用することで、幅広く受け入れることのできる表現になっている。Twitter のフォロワーを増やし、継続的に情報を届けることにも成功している。

YouTube Creator Collaboration(YouTubeで動画を投稿するクリエイターと企業・ブランドがコラボレーションを実施し、高いマーケティング効果を獲得したキャンペーン)

ずっと無理だと思ってた電話ができるようになりました。

写真 CM カット ずっと無理だと思ってた電話ができるようになりました。

広告主:日本財団 電話リレーサービス
広告会社:電通
制作会社:ハット
ブランド:電話リレーサービス
広告フォーマット:バンパー広告、TrueView リーチ広告(動画リーチキャンペーン)

受賞理由:YouTube クリエイター「かなたいむ。」奏太氏だからこそ実現できた作品である。クリエイターの特性とサービスの親和性が高く、視聴者に違和感なく伝えることができている。「はじめての電話」というコンセプトに対するクリエイティビティが、世代を超えて自然に笑顔になる仕上がりとなっており、サービス特性がしっかりと伝わる。広告効果としては、クリエイターにとっても史上最高の高評価となり、好意的なコメントが多数集まっていることから、コラボレーションの相乗効果が出ている。

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