本稿ではコラムの続編として、競合プレゼンに勝ち抜くために必要なことについて、職種別、また年代別に紹介していきます。
詳しくは本書をご覧ください。
なぜ競合プレゼンが大事なのか?
「なぜ自分は競合プレゼンに臨むのだろう?」なんて疑問を抱き、モヤモヤしたことはありませんか?このコラムに目を止めていただいたのも何かのご縁。少し立ち止まって考えてみるのもよいでしょう。
会社の利益のため?それは確かにその通り。でも、負けることの方が多い競合プレゼンでは、それだけの理由では身が持ちません。個人の実績づくりのため?そういう理由もありますね。そういう個人的なモチベーションも大事だと思います。私が推したいのは、ビジネスパーソン個人としての「成長」という側面です。
そう、競合プレゼンに取り組むと、ビジネスパーソンとしての成長速度が飛躍的に高まるのです。
競合プレゼンとは「ビジネス高地トレーニング」
競合プレゼンとは、いわば仕事における「高地トレーニング」のようなものです。酸素の薄い高地で走れるランナーは、低地でも強い。それと同じです。競合プレゼンで培ったメソッドは、通常業務でも存分に威力を発揮する。
競合プレゼンに強い人は、ビジネスパーソンとしてのレベルが高い。なぜなら競合プレゼンは、めちゃくちゃ負荷がかかる仕事だからです。私自身も社会人として、競合プレゼンに鍛えられた、育ててもらったと思っています。
競合プレゼンは過酷なビジネス環境
限られた時間と情報の中で多くの意思決定をし、他社と競いながら、プレゼン当日まで一気に駆け抜ける。心身ともにタフな戦いを強いられる接戦が、競合プレゼンです。
通常業務と比べると、とにかく提案まで時間がない。そして、判断に必要な情報も満足に手に入らない。クライアントとの接触時間も対話量も限られている。初めて仕事を一緒にするメンバーとチームを組んでも、チームビルディングをしている余裕はない。そう考えると、競合プレゼンはかなり過酷なビジネス環境です。
過酷な環境だからこそスキルが必要
そんな過酷な環境で磨かれるのは、いわば「接戦を制する技術」です。通常業務をグッと濃縮したような過酷な競合プレゼンを勝ち抜くには、様々なビジネススキルを総動員しなければなりません。
過酷な環境だからこそ、ビジネスパーソンとしてのスキルが、知識レベルではなく身体レベルで染み付いているかが、シビアに問われるのです。
「かもしれない運転」で勝つ
運転免許取得時に習った「だろう運転」と「かもしれない運転」を覚えていますか?競合プレゼンに負けるときはたいてい「だろう運転」をしています。「クライアントはこう思っているだろう」「他のクライアントに刺さったから、今回もこの方向性で間違いないだろう」など、自分たちに都合のいい解釈で意思決定を重ねています。
勝つチームは「かもしれない運転」を心がけています。「クライアントはこう思っていないかもしれない」「他のクライアントには刺さったが、今回はこの方向は適していないかもしれない」など、情報収集を疎かにせず、あらゆる状況を予測し、徹底したクライアント目線で意思決定しています。そうやってひとつずつ、勝つ環境を整えているのです。
なぜたくさんのスキルが必要なのか?
書籍で提唱するメソッドは100個です。なぜそんなにもたくさんのスキルが必要なのでしょうか?それは、勝利も敗北も、複層的に要因が絡み合った結果だからです。そして勝因も敗因も「たったひとつ」ではなく「たくさん」あるからです。さらに言えば、提案の中身だけで勝負は決まらないからです。
オリエンを受ける前から、プレゼンが終わった後まで、そのすべての時間の過ごし方が競合プレゼンであり、そのプロセスすべてが勝敗に影響するからです。残念ながら「これさえ身につければOK」なんて、甘い話はありません。あらゆる角度から徹底して勝つ準備をした者(チーム)だけが、勝利を掴めるのです。
忙しくてそんなに勉強できない?でもご安心を。だからこその、このコラムです。職種別/年代別に、競合プレゼンに勝つために知っておくべき、身につけておくべきメソッドを厳選してお伝えします。
次回のテーマは、勝てる「営業」になる。クライアントと向き合い、チームを引っ張るのが営業です。身も蓋もないことを言ってしまえば、競合プレゼンの勝利の鍵は、営業が7割を占めているとすら思います。
私自身も新入社員時代は営業職でした。またスタッフになってからは、たくさんの営業さんとお付き合いしてきました。そんな目線から、競合に勝つために営業として身につけるべきメソッドを厳選してお伝えします。どうぞお楽しみに!
(次回は6月29日掲載予定)
「素晴らしい提案でした。でも今回は他社に決めました」と言われないために
広告業界やコンサルティング、ITなどのビジネス現場で行われている「競合プレゼン」「コンペ」「ピッチ」に勝ち抜く100のメソッドを体系立ててまとめた一冊です。ライバルに勝つためのポイントについて、提案の中身やプレゼンテーション技術ではなく、勝つ「環境を整える」点に着目。競合プレゼンが始まる前の「兆し」から始まり、オリエン、キックオフミーティング、ストーリーづくり、軌道修正、プレゼン当日、事後までのフェーズごとに、行うべきこと、注意すべきことを丁寧に解説しています。
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