CAMPFIREの広報戦略、「なぜやるのか」代表の想い伝え心を掴む

多くのスタートアップ企業の課題となる、企業・サービス認知の拡大。ただでさえ少ないリソースの中で、メディアアプローチなどの広報活動に着手するのは容易ではない。そこで月刊『広報会議』では、現在多数の認知やパブリシティを獲得しているスタートアップ企業の、広報の“転機”に迫る新連載「スタートアップ企業の転機」を開始した。
第4回目となる今回は、クラウドファンディングサービスを運営するCAMPFIREの家入一真代表と、広報の三春桜子氏に、プレスリリースの作成へのこだわりを聞いた。

※本記事は、『広報会議』8月号(6月30日発売予定) の転載記事です。

文/下矢一良 PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表

インタビュー

CAMPFIRE
代表取締役
家入一真氏

いえいり・かずま 2003年paperboy&co.(現GMOペパボ)創業、2008年JASDAQ市場最年少(当時)で上場を経て、2011年CAMPFIRE創業。2012年BASE設立、共同創業取締役に就任。

CAMPFIRE
CEO室広報
三春桜子氏

みはる・さくらこ アパレルメーカー、コワーキングスペース運営会社を経て2021年にCAMPFIREに入社。経営企画部にて採用広報、社内広報に従事後、現在はコーポレート広報を担当。

会社プロフィール

DATA:CAMPFIRE
創業年:2011年1月
事業内容:クラウドファンディングのプラットフォームを運営
従業員数:173名(2023年6月末時点)
広報体制:1名

 

「後回しにされがちだが、例え社員が数人しかいなくとも広報・PRは早めに入れたほうが良いと投資先には言い続けている。PRはもとより社内広報・採用広報も含めて小さなうちこそ重要」(2018年11月のツイッターより)。

このようにスタートアップ企業にとっての広報の重要性を指摘したのは「CAMPFIRE」を立ち上げ、今はベンチャーキャピタルの代表も務めている家入一真代表だ。

 

自社がやるべき理由を伝える

スタートアップ企業にとって、なぜ広報は大切なのか。家入代表に真意を尋ねた。

「テクノロジーがコモディティ化(一般化)しているので、市場では同じようなサービスが氾濫しています。このためユーザーは『流行っている』とか『安い』ではなく、サービスの裏にある哲学で選びます。だからこそ、企業のトップは(広報活動によって)『自社がなぜその取り組みをやるか』を語らなくてはならないのです」。

創業当初から広報を大切にしてきたこともあり、「CAMPFIRE」はこれまでメディアでも相当数、取り上げられてきた。記事データベース「日経テレコン」で「CAMPFIRE」を検索すると、2011年の創業以来、テレビ・全国紙・地方紙・主要ビジネス誌だけでも、2400件を超える記事が出てくる。

これほど多くのメディアに取材されている「CAMPFIRE」だが、重視しているのは意外にも全国放送の人気番組などではなく、地域密着型のメディアだという。

「『CAMPFIRE』はミッションを創業以来、『一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる。』と掲げています。だからこそ、その地域で挑戦者に寄り添っているメディアで取り上げられると嬉しいですね」。

 

トップの想いをリリースに掲載

広報の発信手段としては、主にプレスリリース配信サービス「PR TIMES」を用いている。プレスリリース作成の際には、どのようなことを重視しているのだろうか。

「初期のプレスリリースでは、必ず “ポエム” を入れていました」と家入代表。

家入代表が “ポエム” と呼ぶのは、「経営者の想い」を記したパートだ。例えば「ロゴデザインをリニューアル」した際は「代表取締役 家入一真より」と題した段落を設け、代表として「ロゴに込めた想い」を語っている。

 
「コーポレートロゴのデザインリニューアル」に関するプレスリリース

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中略
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画像説明文
「ロゴをなぜ、リニューアルしたのか」、その背景を詳しく記載したほか、家入代表による「ロゴに込めた想い」も盛り込み、ユーザーの感情にも訴えかける内容に。
 

大企業をはじめ多くの企業の場合、「事実を淡々と記述しただけ」というプレスリリースがほとんどだ。だがCAMPFIREのプレスリリースはそれとは対照的に「読み手の感情を揺さぶる要素」が込められている。

 

文字よりビジュアルで語る

さて、もうひとつ「CAMPFIRE」の プレスリリースで特徴的なのが…

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