生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。
※本記事は6月1日発売の月刊『宣伝会議』2023年7月号 の転載記事です。
ウーオ
専務取締役COO
万力悠人氏
■会社概要
ウーオ 会社概要
設立年:2016年
マーケティング部署人数:2名
事業概要:スマホでつながる水産市場「UUUO(ウーオ)」の企画・開発・運営
流通の課題に着目 水産業DXを推進
水産物専門のマーケットプレイス「UUUO」を運営するウーオ。「UUUO」はスマホでつながる水産市場で、全国100以上の漁港や市場から毎日新鮮な魚が出品される。
水産業者や鮮魚バイヤーは、遠隔からでも各地の漁港に水揚げされた魚の写真・水揚げ量・サイズ毎の相場をリアルタイムで確認することが可能だ。買い付け依頼機能を活用すれば、希望条件を入力して産地の出品者に対して直接買い付け要望を出すこともできる。2020年のアプリローンチ後、現在では出品会社の産地事業者は100社以上、仲卸や大手スーパー、飲食店など仕入れ企業は400社以上となった。
創業者で代表取締役の板倉 一智氏は、ズワイガニ漁で名高い「網代港」がある鳥取県岩美町出身。祖父や曽祖父、幼馴染の友人の多くが漁業従事者という土地で育ったが、大学卒業後は日本通運航空事業部に勤務、水産業とは別の道を歩んでいた。
しかし、帰省のため地元へ戻るたびに漁船の減少やセリの衰退を目の当たりにし、鳥取の水産業、日本の水産業衰退が進んでいることに気づき、起業を決意。2016年7月、ポータブル(現ウーオ)を設立した。まずは鳥取の魚屋として事業をスタート。鳥取や広島の水産業者にヒアリングを繰り返し行い、水産業の市場背景から問題点を洗い出し、持続可能な水産業を構築するため市場価格の上げ止まりを解決するプラットフォーム「UUUO」を開発した。
魚がとれてから消費者に届くまでの道のりは長い。一般的に産地では「漁師」「漁協」「仲買」が取引を行い、その後消費地では「荷受」「仲卸」「小売・飲食店」を経て消費者の下へ届く。2020年6月に卸売市場法の改正が行われ、取引の自由化が始まったが、「現状は法改正以前の商流が主流で『今まで取引していたところから買う・売る』状態が続いています」とCOOの万力 悠人氏は話す。
ステークホルダーの信頼獲得に業界紙を活用
「水産業は古くからの関係性を大切にし、特有の商流があります。見ず知らずのIT企業の参入は一見、自分たちの仕事を奪うものと誤解を与えてしまう可能性もありました。そうではなく、水産業をアップデートし、全ステークホルダーが活用できることを伝える必要がありました」(万力氏)。
そこで同社では大手水産業界紙での広告や記事露出に力をいれた。「創業当時に自分たちも魚屋として水産業の最前線で活動をしていたので、ターゲットとなる皆さんがどこで情報収集をしているかを把握していました」(万力氏)。
……この続きは6月1日発売の月刊『宣伝会議』2023年7月号 で読むことができます。
『宣伝会議』7月号(6月1日発売)
特集1
戦略方針から組織作り、人材マネジメントまで
注目51社の今期の戦略がわかる!
広告・マーケティング部長アンケ―ト
〇顧客起点のマーケティング基盤を構築
組織横断のプロジェクト成功の背景とは
ポーラ 中村俊之
〇マーケットの状態に合わせた最適な組織編成
施策への投資判断を迅速かつ柔軟に
freee 三浦將太
〇コロナ禍でデジタルシフトしたBtoBの営業
マーケティング部門との連携の仕方は変わる?
アドビ 祖谷考克
〇事業拡大による“縦型組織”の弊害を回避
マーケティングから営業まで連動を強化
カオナビ 篠﨑順也
〇スタートアップ企業に聞く! マーケティング組織づくり
〇注目51社の今期の戦略がわかる! 広告・マーケティング部長アンケート
特別企画
「知る」と「買う」の間にあるものとは何か?
購買行動の「事実」をもとにマーケティングを見直す
特集2
魅力的な広告体験をつくり、パフォーマンスを高める!
デジタル広告のリスクと対応
シリーズ特集
宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本
クリエイターの生活者インサイト把握術