顧客エンゲージメントプラットフォーム「Braze」を提供するBrazeは7月12日、虎ノ門ヒルズフォーラムにてイベント「CITY×CITY JAPAN」を開催した。本記事では同日午前中に行われた基調講演「ニッポンのマーケティングを変えよう」の内容の一部をレポートする。
「カスタマーエンゲージメントの未来を考える」のセッションでは、Braze CEO兼共同創業者のビル・マグヌソン氏が、ファーストパーティーデータの重要性について説明した。
ビル氏は、同社創業以来の12年間で、モバイル環境を中心に大きな変革があったことを提示。企業は商品やサービスの購入者の体験を理解しようとし、より高い価値を提供しようと顧客情報の獲得を進めてきたが、その中で「サードパーティーデータのアイデンティティは消滅しつつある。運用にはコストがかかり、さらに個人情報保護の観点においても課題がある」と話す。
続いてビル氏は、ファーストパーティーデータの取得・管理が進む中で、さらなる変革が必要だと話す。
事例として、非常にロイヤリティが高いファンがいるにもかかわらずその顧客データを持ち合わせていなかった企業が、近年自社メディアやアプリを提供することで直接コミュニケーションを取れるようになっていることを挙げる。
「例えばスマートフォンが自動車の鍵になるデジタルキーアプリの導入により、購入のタイミング以外でも常にユーザーと関係性を保ち続けることができ、保険やリースの提案ができる。ファーストパーティーデータの活用で、新たなビジネスが生まれてきている」(ビル氏)。
さらにそうした技術的な面だけではなく、チームやスキルセットの構造を変化させることで、よりよいイノベーションが生まれることを提示。「単にデータを活用するだけではなく、顧客とのエンゲージメントを強化させることが利益につながるというのは言うまでもない。そして私たち自身も、他社とのコラボレーションを重要視し、アジャイル型で常に新たなものを生み出そうとしている」とビル氏は話す。そしてその一環として同社が6月27日にリリースした『Sage AI by Braze』についても触れ、既存のソリューションが持つAI機能を補完し拡大する、新たなマーケターのサポート機能を紹介した。
最後にビル氏は、「Brazeでは2年半前に、日本にオフィスを開設した。日本は世界で最も成長の著しいマーケット。今後もコミットメントを強化していきたい」と結んだ。
続いてのセッションでは、Braze CTO兼共同創業者のジョン・ハイマン氏が『SageAI』の機能を詳しく紹介。またLINE マーケティングソリューションカンパニーの宮本裕樹氏とBrazeの新田達也氏から、今回新たに追加されるLINE連携に関する機能を解説。LINEならではの双方向コミュニケーションの可能性や、他のチャネルではリーチできなかった新たな顧客への価値提供が可能であることなど、今回の連携の意義と展望を話した。