決め手はクローズド空間の“没入感” VAIOがビジネスパーソン向け新モデル発売で選んだメディアとは?

宣伝会議はジェイアール東海エージェンシーと連携し、新幹線の車内メディアによる新たな価値創出を図る広告企画「Next Move Project」を始動させた。
本プロジェクトの目的は新幹線の車内というクローズドな空間で、ビジネスパーソンに対する最適なコミュニケーションを図ることだ。今回はVAIOがソニー・ミュージックソリューションズとともに、新製品の認知やブランド姿勢の発信を目的としたグラフィック広告を制作・展開した。

VAIOが新たな「定番」を目指して開発した新モデル

1997年にソニーのPCブランドとして登場したVAIO。2014年に「VAIO株式会社」として独立し、長野県安曇野市の本社工場を拠点に軽量・薄型のノートPCを生産してきた。商品理念として「カッコイイ-Inspiring」「カシコイ-Ingenious」「ホンモノ-Genuine」の3つの価値を掲げており、商品開発、製造におけるすべての工程においてVAIOならではの価値提供に徹底的にこだわっていることが特長だ。

VAIOは2023年3月29日に、法人向けノートPCの新モデル16.0型ワイド「VAIO Pro BM」・14.0型ワイド「VAIO Pro BK」を発表した。コンセプトはビジネスの「定番」。これまでVAIOではハイエンドユーザー向けのモバイル製品が主流だったが、今後の発展には必要な機能を研ぎ澄まし、多くの人に愛用いただけるような「定番商品」が重要になると考えたという。

スペックや価格といった重要指標はしっかりと踏まえたうえで、ビジネスパーソンが本当に必要としているコスト・パフォーマンスを追及し、変化するワーク・ライフスタイルの中でも「これを選んでおけば間違いない」と思ってもらえるような、新たな定番PCを目指して新モデルが開発された。

“新幹線”というクローズドな空間を生かすコンセプト

多様なモデルのノートPCを展開してきたVAIOだが、コンシューマ向けのイメージが強く、ビジネス向けのPCとしての認知が浸透していないという課題を抱えていた。ビジネスパーソンに向けて新モデルをダイレクトに訴求できるプロモーションを検討する中で、宣伝会議が運営する「日本のメディア」を活用することに。そこで提案を受けたのが「Next Move Project」だった。

「Next Move Project」は宣伝会議とジェイアール東海エージェンシーが連携して立ち上げた企画で、新幹線メディアの可能性に注目し、「移動」について新たな価値を模索するプロジェクトだ。「移動する人の、心が動くクリエイティブで次の一歩を応援する」を掲げ、主に出張やビジネスで利用している方に効果的にブランドメッセージを伝える広告表現を目指している。

新幹線はVAIOのメインターゲットであるビジネスパーソンの利用が多いため、VAIOの担当者は「タッチポイントとして新幹線メディアは相性が良い」と考えた。さらに新幹線のクローズドな空間は、広告とターゲットの接触濃度が屋外よりも増すと感じており、移動中という多様なタイミングにアプローチをできることも大きなメリットと判断したという。

今回は、製品コンセプトである「定番」を昇華させ、「パンデミックというワーク・ライフスタイルの大きな『変化』を経験した2023年に、一人一人のビジネスの『定番』をみなさんと一緒に考え、働く人にエールを送りたい」をプロジェクトメッセージとして設定。このメッセージをベースに新幹線車内におけるVAIO製品のブランディングプロジェクトが進行した

エンタメ領域で用いられるビジュアル表現で没入感を作り出す

クリエイティブを担当したソニー・ミュージックソリューションズのアートディレクター新木威 氏は、「VAIOのブランドイメージを守りながら、長かったコロナ禍からの開放感や、新生活を始める方に向けた前向きさを表現することを心がけた」と振り返る。ブランドのイメージを崩さず、より魅力的で斬新なアプローチができるように、音楽アーティストのビジュアルを制作しているスタッフと販促物の制作スタッフ、さらにプロダクト関連の知見が深いコピーライターの前田竜氏を迎えてチームを編成。ソニーグループで長年培われてきたエンタメ領域の表現手法を採用し、ブランドのコンセプトやストーリーを忠実に表現しながらも、感覚的で没入感のあるビジュアルを制作した。

画像説明文
画像説明文

 

また、同じく今回の制作にかかわった音楽アーティストディレクションを手がけているソニー・ミュージックソリューションズのアートディレクター岸野崇氏によると「『乗車時間が長く、同じ席に座り続ける』」という新幹線の媒体特性にも配慮し、長時間見ても飽きさせないようにスタイリッシュで爽やかなビジュアルに。新幹線の定番広告のイメージを変え、新しい気分で新幹線の旅を楽しんでもらうことを意識した」という。

ソニー・ミュージックソリューションズが制作した“前向きさ”や“躍動感”が前面に伝わってくるクリエイティブは、VAIOのブランドイメージとも一致。VAIOの担当者に掲出後の反応を聞くと、「働く人へのエールが印象に残ったとの声が寄せられている」「新幹線広告によってVAIOのメッセージや魅力を通常の純広告とは違う形で伝えられた」と、一定の効果を感じているという。

またソニー・ミュージックソリューションズの担当チームは、このプロジェクトを通じて「新幹線メディアには、車内の空気感を変える力がある」と感じたという。

ビジネスパーソン向けの車両も PCと新幹線という場の親和性

今回、VAIOの広告を掲出した新幹線車内メディアを取り扱うジェイアール東海エージェンシーは、VAIOと「Next Move Project」の親和性が高かったと結論付けた。

働き方の多様化が進む近年は、新幹線の車内で仕事をする人も増加し、ビジネスパーソン向けの車両も登場している。車内でPCを使用している人にダイレクトに訴求できることは新幹線広告の大きな利点だ。また、新幹線内には競合のメディアが少ないために、ビジネスパーソンに対してシンプルでダイレクトなクリエイティブが効果的だと言えそうだ。

advertimes_endmark

スタッフリスト

CPr
太田隆之(Sony Music Solutions, Inc.)、高木麻衣子(Sony Music Solutions, Inc.)
AD
岸野崇(Sony Music Solutions, Inc.)、新木威(Sony Music Solutions, Inc.)
D
伊藤理莉子(Sony Music Solutions, Inc.)
撮影
長谷川裕之(affect)
撮影アシスタント
?雄大(affect)、越野凪紗(affect)
ST
岡村春輝
HM
高徳洋史
C
前田竜(株式会社ビー)
出演
sono(jungle)、本多遼(jungle)

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター




この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ