ビタットジャパンのマウスウォッシュ「オクチシリーズ」は2018年8月の発売後、“汚れが見える”という試したくなる商品特徴と持ち歩きたくなるかわいいパッケージが口コミを増やし、支持を集めてきた。その背景に迫る。
※本記事は月刊『販促会議』7月号連載「ヒットの仕掛人」に掲載されたものです。
- ブランド名:オクチシリーズ
- 希望小売価格:242円(税込)~
- 主な販路:ドラッグストア、バラエティショップ、コンビニエンスストア、ECサイトなど
ビタットジャパン
商品開発/企画部
チーフ
戎井まいこ氏
2017年入社。19年の12月から商品開発/企画部のリーダーとして商品の企画開発やマーケティング、販売促進、Webサイトの商品画像制作や展示会出品商品のPRなどを担当。「オクチシリーズ」も、企画段階から携わった。
市場にない携帯性のあるスティック型に着目して誕生
──「オクチシリーズ」を商品化したきっかけを教えてください。
第1弾「オクチレモン」を発売したのは2018年8月です。当時存在していた口をすすぐと汚れが固まるタイプのマウスウォッシュはほとんどがボトル型で、携帯用に特化した商品は少ないことに注目し、スティック型の使い切りの企画を考えました。
また、一見してマウスウォッシュとはわからないパッケージデザインに振り切ることで、持ち歩いてかわいい、かわいいから持ち歩きたいという気持ちをくすぐることを目指しました。
──話題になった明確なきっかけはあったのでしょうか。
発売して1年から1年半くらい経った頃から利用者による口コミが増えはじめました。当社がインフルエンサーに依頼して口コミを増やしたということはなく、自然発生的に増えたイメージです。
──発売は2018年。以来、販売実績はいかがですか。
2023年3月末までの累計総出荷数が9430万本で、もうすぐ1億本を突破するというところです。口コミの増加とコロナ禍によるマスク口臭への意識の高まりが背景に、ここ数年は安定的な成長を見せています。
消費者の支持を表現する「口コミ」はバイヤーにも刺さる
──認知拡大を目的としたプロモーション施策について教えてください。
口コミは、商品が消費者に認められていることの証明でもありますよね。なので、商品の魅力を伝える手段としても有効だと考えています。営業提案用にも、口コミをまとめたものを用意しました。昨今はバイヤーも口コミへの関心は高い傾向にあるので、棚の確保にも役立つと考えていますね。バイヤー側からSNSでの口コミ風POPをつくってほしいとリクエストが入ることもあります。
──口コミの集め方も気になります。
SNSやブログ、最近はYouTube、TikTokなどをひたすら検索しています。自社のECサイトも、口コミや使用感を自発的に発信してもらえるようなUI・UXにしました。
他には、SNSやコスメ・美容の総合サイトなどでも収集していますね。受賞歴は販促物にも記載しています。例えば、美容クチコミアプリ「LIPS」の「LIPSベストコスメ2022オーラルケア部門」で1位を獲得したので、パッケージに受賞ロゴを記載しています。この受賞経験をパッケージに入れることも「ヒットの仕掛け」として有効なのではないかと考えています。
また、口コミは認知拡大の手段としてだけではなく、商品開発にも活用しています。具体的には口コミのおかげで、公式オンラインストア限定で販売している汚れが見えないタイプやスティックの本数を増やした大容量版の誕生にもつながりました。
ユーザーの意見は貴重ですし、声を反映した商品開発は顧客にとって「自分たちの意見を見ている」というメッセージにもなるので、重視しています。
──コロナ禍で販売促進施策に変化はありましたか。
発売以来、店頭では汚れが見えるという商品特徴を表現するため、使用後の様子を嫌悪感が強く出過ぎないような写真やPOPで訴求していました。コロナ禍でのマスク生活になった後は、マスク口臭を意識したPOPに切り替えて訴求しました。
店頭以外では、一般消費者も入場できる展示会でのサンプリングを実施しています。「JAPANドラッグストアショー」は一部の日程で一般消費者の入場も可能になっているので、そこで試供品を配布し、商品の認知を獲得する施策も行うこともありますね。
トレンドを押さえた期間限定商品で話題性を維持
──ユーザーは新規、リピーターのどちらが多くなっていますか。
最近は出荷数量の伸びが落ち着いて、リピーターの比率も高まってきたと感じます。既存ユーザーは女性が8割近くを占めているので、今後は男性にも使ってもらえるような施策を行う必要があると考えていますね。
一方、既存ユーザーへは離脱を防止する対策としてーーー、
この記事の続きは、月刊『販促会議』7月号 でご覧いただけます。
月刊『販促会議』7月号
【巻頭特集】
百貨店、ホテル、量販店……業態別
アフターコロナのインバウンドプロモーション
<OPINION>
知っておきたい
アフターコロナの訪日観光客
2023年度 インバウンド需要予測
人の流れと消費はどう変わるのか
<INTERVIEW>
訪日客の来店が回復
現場のDXでスムーズな購買体験を提供
髙島屋「新宿髙島屋」
2023年、予約したい国内ホテル
世界が選んだ「界 由布院」に
訪日ゲストへのおもてなしを学ぶ
星野リゾート「界 由布院」
目指すは「観光地としてのドンキ」
来店を訪日外国人にとっての目的に
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
「ドン・キホーテ」
約3年越しの全面開業
求められるのは訪日観光客を
受け入れる環境整備
住友不動産商業グループ「羽田エアポートガーデン」
<TOPICS>
訪日観光客の増加が見込まれる
イベントカレンダー 2023年度
萩本良秀(地方創生パートナーズネットワーク)ほか
○特別企画
第15回「販促コンペ」
○特集2
チラシDX!
「データドリブン・ポスティング」の最前線