直さんに話を聞きました。
(本記事は月刊『ブレーン』2023年8月号「『仕事を奪う』は本当か 生成AI の隆盛とクリエイターの未来」に掲載したものです)。
中毒性のある動きや表情を模索
2022 年に解散したお笑いコンビ・ピスタチオの2 人のフィギュアが、日清食品「カップヌードル 辛麺」をバックに斬新なダンスを披露。最後は本人たちが登場し、麺を一口すすって持ちネタで締める⸺。ユニークなCMを世に多数送り出してきた同社だが、今回も“解散したコンビがフィギュアで登場する”という不可思議な要素が際立つCMに仕上がっている。
「カップヌードル 辛麺」のCM 制作は2021 年以来2 年ぶり。前回は外国人の男性2 人が独特なリズムの楽曲に合わせダンスを踊るというもので、今回はその続編となる。演出を手がけたのは渡邉直さんだ。
当初は、ピスタチオ本人たちにダンスを踊ってもらう予定だったが、それだけでは前回の内容を超えられないのではないかと議論を重ねた。結果、2 体のフィギュアがダンスを踊るコマ撮り方式での撮影が決定した。
肝となるフィギュアの制作はピスタチオの研究から始まったという。「2 人が出していたDVD を見て、『ここの表情とここの手』などCMに使うシーンを切り取り、制作を依頼しました」と渡邉さん。限られた情報から素材を抽出し、それをもとにアニメーションチームに撮影を依頼した。
アニメーションで特に気を遣ったのは配色だ。「前回のCMの続編なので、統一感を持たせてブランドカラーの赤を前面に。さらに画面上の色彩のバランスも意識し、足の所作を見やすくするために靴を白、パンツにはラインを入れるなどフィギュアの彩色に配慮しました」(渡邉さん)。
また、フィギュアの縮尺が伝わるよう、周りにはフォークなどの小物を配置。夏の楽しさも意識し、「辛麺」と書かれたパーティー好きの人がかけそうな眼鏡を配置した。
振付は人間から人形に変換することでわかりづらくなってしまったため、実際にダンサーにダンスを踊ってもらい、それにVコンでCG を当て、動きを確認しながら振りを決めた。
「人間らしく、かつ滑らかでフェミニンなダンスを踊らせて目を引き、何度も見たくなるような中毒性のあるCM に仕上げています。一方、所作が早すぎるとCG に見え、コマ撮り感が出ないので、至るところで動きに緩急をつけ、いかに生々しく見えるかに注力しました」(渡邉さん)。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+ソーダコミュニケーションズ+GLASSLOFT
- ECD
- 齋藤和典
- CD
- 鈴木晋太郎
- 企画+C
- 早坂尚樹、杉井すみれ
- AD
- 宇崎弘美
- CPr
- 福島隆雄
- Pr
- 今野俊也、白川敏之
- PM
- 坂本美優、白石友梨花
- 演出
- 渡邉直
- 撮影
- 松石洪介
- 照明
- 竹本勝幸
- 美術
- 石田裕一
- フィギュア協力
- グッドスマイルカンパニー、マックスファクトリー
- 造形
- 小松義夫
- アニメーション(ストップモーション)
- 山中みさき
- Pr(ストップモーション)
- 為谷翼
- 編集
- 菅野雅敏(オフライン)、三浦義弘(オンライン)
- CG+プリビズ
- 渡辺一基
- 音楽
- 河副洋之
- MIX
- 柏木勝利
- 振付
- yurinasia、GENTA
- ST
- 越中春貴
- HM
- 篠原奈緒子
- フードST
- 山根万由子
- CAS
- 垰由紀子
- AE
- 島田裕一郎、椋木敦、新宅圭介、卯木剛、相浦悠
- 出演
- ピスタチオ
月刊『ブレーン』2023年8月号
【特集】
「仕事を奪う」は本当か
生成AI の隆盛とクリエイターの未来
▼CASE STUDY
・大日本除虫菊
・KDDI
・近畿大学「上品な大学、ランク外。」
・櫻坂46『 Start over! 』
▼調査
クリエイターのAI 活用実態調査
262人の答え
▼座談会
広告会社が挑む
クリエイティブ力を拡張するAI の使い方
児玉拓也(電通グループ)
柴山 大(アイレップ・博報堂テクノロジーズ)
毛利真崇(サイバーエージェント)
▼OPINION
・渋谷慶一郎
・一ノ瀬京介
・橋本祐樹・リョウマツモト
・手塚 眞・栗原 聡
▼REPORT
グローバル事例に見る
未来の可能性
志村和広(電通)
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