『広報会議』9月号(8月1日発売予定)では、コミュニケーション実務のスペシャリストである上場企業の広報責任者100人に「メディアや生活者などから反響が大きかった施策」を教えてもらいました。社会の潮流に応じた施策から、ターゲットに即した最新手法、長年続けている定番企画などが並んでいます。
本記事では、企画の一部として、食品・飲料業界の企業4社の企画を公開します。
※本記事は、『広報会議』9月号(8月1日発売予定)「話題になった企画100事例 上場企業の広報部長が教えてくれた手法と反響」特集 の転載記事です。
アサヒグループジャパン(アサヒグループ)
アサヒ飲料「CO2を食べる自動販売機」に関する説明会
実施時期:2023年5月
目的:大気中のCO2を吸収する自動販売機を活用したCO2資源循環モデルの実証実験を開始することを伝え、本業を通じた新たな価値提案と環境配慮に対する企業姿勢を訴求する
ターゲット:メディア
「CO2を食べる自販機」説明会 実演でメディアの関心を高める
脱炭素社会の実現に貢献する国内初の取り組みとして、大気中のCO2を吸収する自動販売機を活用したCO2資源循環モデルの実証実験を開始。その説明会をメディア向けに実施した。取り組みが分かりやすくイメージできるよう「CO2を食べる自販機」をタイトルに入れメディアからの関心を高めた。説明会では該当の自動販売機を展示した他、自動販売機の庫内に設置する特殊材がCO2を吸収する様子を実際に実演することでしくみを分かりやすく説明した。多くのテレビ、新聞、ウェブなどの媒体での露出につながり、自治体や企業などからも実証実験に関する問い合わせが増加した。
広報部
人数:17名
体制:社長直下
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報 □ グローバル広報
☑ 危機管理広報 □ 広告宣伝
□ IR ☑ ESG・SDGs関連
□ その他
理事 広報部長
下村剛之氏
しもむら・つよし 1997年アサヒビール入社、福岡支社量販営業部、広域営業本部、営業部、人事部秘書室 社長秘書、HD秘書室 社長/会長秘書、2021年より現職。
味の素
Z世代向け施策のメディアアプローチ
実施時期:2022年6月、2023年6月
目的:若年層に向けた取り組みを強化していることを発信
ターゲット:メディアを通じた各種ステークホルダー
「食」に関わる施策をZ世代と実施 メディアを通じて若年層に届ける
Z世代をターゲットとした専任組織の活動をストーリー化し発信。2022年6月にはZ世代をターゲットとした期間限定商品を商社と連携し、高速で開発、EC及びポップアップストアで販売した。専任組織立ち上げから製品開発、販促までを一連のストーリーとしてメディアに発信。各種メディアでの取り上げが実現している。また2023年6月には同専任組織がZ世代と共に行った「未収穫農作物」の収穫、加工、販売までを追い、こちらもストーリー化。こちらの企画でも多数メディアで取り上げられた。
グローバルコミュニケーション部
人数:50名
体制:コーポレート本部内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報 ☑グローバル広報
□ 危機管理広報 □ 広告宣伝
□ IR □ ESG・SDGs関連
☑ その他
執行理事
グローバル コミュニケーション部長
荻原葉子氏
セアン地域統括社・タイ味の素社。2021年グローバルコミュニケーション部サイエンス グループ長、2023年7月より現職。
石井食品
ファンイベント初開催
実施時期:2023年3月
目的:ミートボール50周年を2024年に迎える前に石井食品のファンを見つけるイベントを行う
ターゲット:石井食品のファン
ファンとのアットホームな交流会 つながりを実感できる場に
初のファンイベントを開催。コロナ禍ということもあり、お客さまとの接点が減少していた。改めて石井食品のファンがどこにどういう形でいるのか、ファンはなぜ「イシイのミートボール」ファンなのかを知る、またファンにとってミートボール(石井食品)を深く知れる、つながりを感じられて嬉しい気持ちをもってもらう場とした。工夫した点は、あえての手作り感。作りこまない、石井食品らしいほんわりとしたイベントにすること。アットホームなお出迎え。開発者のトークセッションや、手づくりミートボール教室、ここでしか手に入らないお土産などを準備した。応募期間は短かったが30名募集に対し120名ほどの応募があった。
ブランド&コミュニケーション部
人数:7名
体制:本部として独立
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報 □ グローバル広報
☑ 危機管理広報 ☑ 広告宣伝
☑ IR ☑ ESG・SDGs関連
☑ その他
ブランド&コミュニケーション部
広報マネージャー
池田明子 氏
いけだ・あきこ 2021年入社、顧客体験デザイン部 執行役員広報マネージャー、2023年ブランド&コミニケーション部 広報マネージャー。
伊藤園
「お~いお茶」の茶畑が進化中 鹿児島茶産地取材会
実施時期:2023年4月19日、20日
目的:重要課題のひとつとして掲げている「持続可能な国内農業」を中心に、当社の考え方と事業の理解浸透を図るため
ターゲット:消費関連の最新動向を取り扱うメディアの記者やセルサイドアナリスト、ESG機関投資家
鹿児島の茶畑で取材会を開催 伝えたい文脈でメディア化に成功
当社が1976年に開始した「茶産地育成事業」における契約農家との取り組みや、当社が掲げる技術開発目標に即した取り組み(有機栽培、IT技術)を発信すべく、鹿児島県にて現地取材を実施。契約する茶農家や、茶農業に関する技術開発を担う当社担当者への取材を設定し、説明補足資料を準備。そのほかにも、記事フックやご取材ポイントなど、メディアと綿密なコミュニケーションをとった。その結果、日経MJ(1面)への掲載や当該案件に特化したアナリストレポートの発行により、多くのステークホルダーに当社の取り組みを紹介することに成功。当初掲げた目的を達成できた。
広報部
人数:13名
体制:管理本部内
活動内容:
☑ メディアリレーション
☑ SNS・オウンドメディア運営
☑ 社内広報 □ グローバル広報
☑ 危機管理広報 □ 広告宣伝
☑ IR &□ ESG・SDGs関連
☑ その他
管理本部副本部長
兼広報部長
三好正記氏
みよし・まさき 1996年入社、2005年営業企画部営業企画課長、2008年東京商工会議所出向、2009年伊藤園営業企画部長、2018年総合企画部長、2022年より現職。
特集ではこのほか、下記の業界のさまざまな企業の企画を紹介しています。
「化粧品・トイレタリー」「電子部品」「素材」「化学」 「エンタメ・メディア」「IT」「情報・通信」 「流通・小売・専門店」「不動産・建設 」「金融・保険」「運輸・エネルギー」「サービス」「その他」
『広報会議』9月号(8月1日発売予定)をご覧いただき、自社の企画づくりの参考にして下さい。
広報会議9月号(8月1日発売)
REPORT
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【特集】
話題になった企画100事例
上場企業の広報部長が教えてくれた手法と反響
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COLUMN
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