池田模範堂は2018年から、股間など身体のデリケートな部分の治療薬「デリケアエムズ」のプロモーションの一環でWeb動画「股間戦士エムズーン」を公開している。かゆみに悩む人が増える夏場に合わせ、6月から新シリーズとなる動画を公開したほかオリジナルのゲームコンテンツも強化した。
オリエンでの要望は“品位” を持つこと
池田模範堂は6月から7月にかけ、「デリケアエムズ」ブランドのアニメシリーズ「股間戦士エムズーン 股間の帰還」の新作をYouTube 上で順次公開している。各話4~7分のアニメーションで「若き股間戦士」「ムスコよ、奮い立て!」「出るか!股間の裏技!」と攻めたエピソードが続く。
「股間戦士エムズーン」は「デリケア星」からやってきたヒーローで、地球の股間平和を守るという設定。今回は前作で消息不明となったエムズーンに代わり、その息子「エムズーンJr」が股間平和を守るも反抗期を迎え、ヒーローに嫌気が差してゲームに没頭、ヒーローの立場を放棄してしまうという内容だ。公開に合わせ、2022年7月から展開するゲームコンテンツ「股間ゲームセンター MATAVERSE」もリニューアルした。
制作は電通のチームで、2016年から同ブランドのプロモーションに携わっている。「エムズーン」のアニメシリーズが始まったのは、2018 年のこと。クライアントから「テレビCMの枠ではできないような表現を」と依頼があったことが始まりだ。
「股間のかゆみの治療薬」というデリケートで話題にしづらい商品だが、どのような企画上の制約があったのだろうか。「印象的だったのは、オリエン資料にたった一言“品位”とだけ書かれたページがあったこと。製薬会社としての品位をしっかりと守ることが必要である一方、そこが守られていれば、ある程度自由な表現が許されています」と説明するのは、電通のクリエイティブディレクター 山田和正さんだ。これまで制作した動画は累計15 本。現在までの「股間戦士エムズーン」シリーズ累計の総再生回数は約1700万回にものぼる。
当初はキャラクターをわかりやすくするため勧善懲悪の物語が主体だったが、今夏の新作はよりヒューマンドラマのような内容を目指した。そのプロセスは、まるで「長編アニメをつくっている感覚」だといい、ストレートな商品訴求を避けるなどWeb広告の定石を完全に無視している。
「基本的にWeb広告は“スキップしたいもの”です。ですが『エムズーン』はそういうものにしたくなかった。スキップさせないために、ストーリー性を重視したので、商品を早めに出して内容を説明するといった王道のマーケティング手法は使いません。しかし、商品認知を高めブランドに対するファンを増やすという意味では、普通の広告以上に広告らしいことができているのでは」と山田さん。
アニメの反響を伸長させるゲーム施策
動画公開に合わせ、特設サイトで股間にまつわるゲームを楽しめるコンテンツ「股間ゲームセンター MATAVERSE」もリニューアルした。「スペース股間シューター」「股間ムズムズパニック」について、敵を増加させるなどプレー時の爽快感をアップさせた。
ゲーム施策を担当するのは電通 クリエイティブディレクターの福井康介さん。ゲームコンテンツは元々、「エムズーン」の動画自体の話題を持続させるためにスタートしたが、ゲーム実況や解説動画を配信するストリーマーやVTuberともタッグを組んだ施策に発展。eスポーツチームを結成し、2022年7月にはトーナメント形式のゲーム生配信大会なども開催している。
大会では股間ゲームをプレーしながら、ゲームとゲームの合間に、ストリーマーやVTuberが股間について語る場面も。「演者が恥ずかしがるといやらしい意味を持ってしまうので、堂々と話してもらうようお願いしています。ここでも大事にしているのは『品位』。デリケートなかゆみについて語る場を通じて、人に言いづらい多くの悩みを解決していきたいというブランドの真摯な姿勢をしっかり共有し、伝えることが重要だと考えています」(福井さん)。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+フィックス
- CD
- 山田和正、福井康介(プロモーション)
- 企画
- 礒部建多、長田直、田中賢一郎(プロモーション)
- AD
- 齊藤健太
- CPr
- 福島隆雄
- Pr
- 星幸則、浦崎一久
- 演出
- 柴田大輔
- アニメーションPr
- 布施木一喜、西貝伸一
- 編集
- 村田一輝
- 音楽
- 川越浩
- MIX
- 白江宗司
- AE
- 栗原大樹、紫垣龍征
- NA
- 平田知大、風李一成、蜂谷日和、堀田智恵