中野の街をメディアに、のべ6万人を動員した「さようなら中野サンプラザ音楽祭」

1973年の開館以来、国内外のさまざまなアーティストたちが出演した歴史を持つとともに、中野という街のアイコンでもある中野サンプラザ。駅前の大規模再開発や老朽化のため建て替えられ、2028年に中野サンプラザシティとして生まれ変わることになった。

その閉館に向けたフィナーレを彩り、新しい中野の未来へつなげていくべく、5月から開催されたのが「さようなら中野サンプラザ音楽祭」だ。最終日となる7月2日まで37公演、200名を超えるアーティストたちが出演し、話題を集めたことは記憶に新しい。

「中野サンプラザのリニューアルという出来事を、施設内外・街全体含め、どのように設計するか。そのレガシーをどのように作っていくか。未来も見据えた、その課題解決が求められました」と、同音楽祭の発起人である電通アリーナ室の川合紳二郎氏は語る。

37組もの中野ゆかりのビッグネームを集め、2ヶ月にも渡る音楽祭を実施。前代未聞な規模と中野らしい親密な距離感を両立させるためには、一方通行のコミュニケーションでは実現不可能であり、音楽以外も巻き込み、中野全体で一丸となる必要があった。そこで中心に据えたのが「エンターテインメントは新たなまちづくりの基点となる。」というコンセプトだ。

音楽祭を実施して、ただ終わるのではなく、「このフィナーレは、未来へのファンファーレ」と捉え、アーティストも地元商店街も一緒になったフィナーレを創り出すこと。それこそが再開発後の未来の中野の誇りへと繋がると考え、実施されたのが「さようなら中野サンプラザ音楽祭」だ。本音楽祭の企画と運営は、電通が手がけている。

LA のステイプルセンター、ロンドンのO2 アリーナアリーナに代表されるように、海外ではエンターテインメントによるまちづくりの成功例は多々あるが、日本では前例が無く、中野サンプラザが日本初の試みとしてそれを目指した。

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「さようなら中野サンプラザ音楽祭」のコンセプトステートメントは、「さよなら三角、また会う日まで。」。このステートメントと共に、三角形のメインロゴがさまざまなグラフィックに描かれた。このロゴは、『さよなら』という消えゆくはかなさのようなものを点線で表現したという。

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「サンプラザといえば三角の形。それを削ぎ落とし、ただの直角三角形にまで単純化し、それを点線にしたものをマークとしました。このイベントには多数の制作者が関わり、あらゆる場所で一人歩きすると予測されたため、一目で本音楽祭とわかるアイコンを制作しました」と、メインロゴ他、ベースとなるグラフィックシステムを制作したアートディレクター 藤木倫史郎氏。「大規模な音楽祭ですが、アーティストと観客が双方楽しめるような中野ならではの距離の近いカルチャー感を大切にしたいという思いもありました」

音楽祭の期間中は中野サンプラザだけではなく、区役所には大きなバナーが掲出された。さらに中野の4つの商店街(サンモール・ブロードウェイ・南口本通商店街・レンガ坂)にも全面的な協力を得ている。各店舗では音楽祭に出演するアーティストたちの楽曲を流した他、商店街には「最後の中野サンプラザ、はじまる。」「全日、神回。」「2度と見れないどころじゃない。」「隣で伝説、やってます。」など、さまざまなコピーが書かれたフラッグが掲げられた。

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中野の各商店街に出稿されたフラッグや広告。
 

「街ぐるみでの音楽フェス、はたまたアートの国際展のような中野の街中で繰り広げられている様子を、OOHでも可視化できるよう意識しました。コピーバリエーションも、サイトスペシフィックに配置しています」(藤木氏)

約2カ月の間に、音楽祭に参加した人数は6万人。X(元Twitter)では700万件以上のインプレッションを得ることができ、何度かのトレンド入りをした他、テレビ番組・新聞・Webメディアなど多くの媒体でも取り上げられた。

中野サンプラザは、2028年に中野区役所他、最大7000人収容の大ホールやライフスタイルホテル、エリアマネジメント施設などを整備した施設に生まれ変わる。中野サンプラザの三角形を活かしたシンボルタワーも完成する予定だ。

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スタッフリスト

企画制作
電通+NCPクリエイティブ+電通PRコンサルティング+CPU direct+電通クリエーティブキューブ
総合チーフPr
川合紳二郎
総合Pr
北川公也、紅村正雄
SCD
岡本昌大
CD
小田健児、福井知右
チーフAD
藤木倫史郎
AD
儘田岳賢、中谷晴子、山口さくら、杉山遥香
チーフC
中辻裕己
C
石橋枝里子
プランナー
松吉臣之介、村田晋平
グラフィックデザイナー
大野由香子
マーチャンダイジングPr
田中俊太郎、守屋光春、渡邊拡人
チーフPRプランナー
井口理
PRプランナー
田中孝一、森朋子
SNSプランナー
河原亮
プロダクションPr
森高志
チーフキャスティングPr
芦澤康之、山本ようじ、小島章敬
キャスティングPr
森井健策、荒木慶太、栗原身和子、東圭介、冨滿祐輝
キャスティングディレクター
北川賢治、梅澤慎也
ライブ制作
中本敦
映像ディレクター
牧野友博

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター




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