福島民報は、県外にいる県民に向けて故郷の情報を届けることができる『おくる福島民報』を、8月21日の福島県民の日に実施した。
ふるさとの新聞を手紙として郵送できる仕組みで、県民と県外の人をつないできた『おくる福島民報』。2018年から毎年、さまざまなテーマで紙面を展開してきた。6年目となる今年のテーマは、ようやく言えるようになった「帰っておいで」の言葉だ。
「感染者数の多寡から分断を余儀なくされてきた都会と田舎。それが気兼ねなく行き来できるようになってきた今、この紙面でもう一度つなげられるとしたら、誰のための企画であるべきか。真っ先に思い浮かんだのは、お互いの仕事や健康を気遣うからこそ、『今年は帰ってくるな』『今年は帰らないね』と言わざるをえなかった家族という関係でした。家族だからこそ後悔しないために、気をつけすぎるくらい気をつけていたこの4年間。ふるさとに帰れない長い月日が終わるのを、一番心待ちにしていたのは、『帰っておいで』という言葉かもしれません」と、コピーライター 姉川伊織氏。
30段の紙面には、青い空とたわわに稲穂が実る田んぼの風景が描かれている。そのイラストには、遠く離れた場所にいる誰かを待っているであろう人の姿も。
「ずっと言えなかった『帰っておいで』というメッセージを軸に、絵ではふるさとで待っていた人とその風景を描きました。紙面を見た県内の人がふるさとで待っている自分を重ね合わせ、県外で受け取った人が自分を待っている家族に思いを馳せることができるような、抽象度を残した人物の描き方をしています。紙面全体では、今の季節の福島の原風景として地元の人が共感できるよう、福島民報の社員のみなさんと協議しながらモチーフを細かく決め、穏やかでふるさとの懐かしさを感じるイラストで表現しました」(アートディレクター 小林千秋氏)
今回の紙面の裏面には、内堀雅雄福島県知事からの「(今年)大切な人と一緒に過ごす時間はかけがえのない特別なものになる」というメッセージも掲載。また、県民の日当日は、福島市・コラッセふくしまと郡山市・ショッピングモールフェスタにおいて、紙面の配布と送付ブースを設置しての体験イベントを実施した。
「6年にわたって実施してきたこともあり、毎年県外の友達に送っていて、その友達から『今年も待ってるね』と言われるからおくる、という方が多数いらっしゃいました。他にも、県外のおばあちゃんにおくる親子や、毎年残暑見舞いを兼ねてこの原稿をおくっている方など、県民の日の福島民報購読者の恒例イベントとして地元の方々にご活用いただいています」(クリエーティブディレクター 熊谷由紀氏)
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+ジェ・シー・スパーク
- CD
- 熊谷由紀
- AD
- 小林千秋
- 企画
- 長島龍大
- C
- 姉川伊織、三橋侑里
- D
- 川上翔大、佐藤祐太郎、渡邉隆人
- Pr
- 門脇理恵
- PM
- 阿部浩二
- AP
- 原田空輝