8月26日から、横浜・ニュースパーク(日本新聞博物館)にて「時代の言葉。コピーライターがつくった新聞広告名作120選。」という展示が始まる。
本展は、コピーライターに焦点を当てた広告展だ。安藤隆氏、一倉宏氏、岩崎俊一氏(故人)、児島令子氏、前田知巳氏、眞木準氏(故人)という6人のコピーライターの作品である新聞広告の現物、計120点を展示する。
「メディアが変化する中で、新聞への広告出稿が減ってきています。新聞という媒体に、いい広告が入らなくなっている状況はよくないなと感じていました」と、本展を企画したアートディレクター 副田高行氏。
これまで数多くの新聞広告を手がけてきた副田氏は、2018年にニュースパークで「時代の空気。副田高行がつくった新聞広告100選。」という展覧会を開催。このときは自身が制作に携わった新聞広告の現物100点を展示した。
「いまの若いアートディレクターはデジタルが中心で、印刷に携わる機会は減っているかもしれません。でも、一枚の凝縮されたコピーとデザインによって成り立つ新聞広告は一語一絵(ワンコピー、ワンビジュアル)、広告の原点とも言えるものです。デジタルの時代になってもクリエイティブの本質がそこにはあると思うので、これまでコピー年鑑やADC年鑑でしか見ることができなかった広告の現物をぜひ見てもらいたい。時代が変わっても、新聞広告の面白さに気づいてもらいたいと考えました」
以前の展示では、現物ならではの迫力や原寸大で実際に見てもらうことの価値を多くの人に感じてもらうことができたという。そこで今回は、副田氏がこれまで一緒に仕事をしてきた、主に同世代のコピーライター6名の仕事に焦点を当てた。
「いまはいろいろなところで言葉の力が求められるようになってきています。新聞広告を通して広告のコピーを読んでもらうことは、広告のつくり手のみならず、ビジネスパーソンや一般の方たちにも役立つ企画になるのではないかと思います」
本展では、安藤隆氏、一倉宏氏、岩崎俊一氏(故人)、児島令子氏、前田知巳氏、眞木準氏(故人)の仕事を20作品ずつ(シリーズ含む)を選び、当時の時代背景や裏話など、本人による解説と共に展示する。
なお、岩崎氏については一緒に仕事をしていた岡本欣也氏と岩崎亜矢氏が、眞木氏については博報堂DYホールディングス取締役会長兼博報堂取締役会長でもある元コピーライターの戸田裕一氏や共に仕事をしたアートディレクター 戸田正寿氏が、それぞれのコピーに関するエピソードや本人との思い出などを綴った文章を展示する。
展示作品より
今回の展示では、副田氏が手がけた仕事は一部で、葛西薫氏をはじめ、さまざまなアートディレクターによる新聞広告を見ることができる。また、眞木氏の展示作品には、TCC新人賞を受賞した広告をはじめ、博報堂在籍時に制作した広告も展示されるという。
会期中の9月16日にはコピーライターの一倉宏氏、11月11日にはコピーライターの前田知巳氏を招き、副田氏とのトークショーも開催される(要事前申し込み)。
出展者のプロフィール
安藤隆 氏
1945年大阪府生まれ。立教大学卒業後、広告代理店を経て現在までサン・アド勤務。ホンダシビック「クリーン・エイジ 1974」でTCC新人賞。主な仕事は、サントリー烏龍茶、レゼルブ、村田製作所など。TCC賞、ADC賞など受賞多数。
一倉宏 氏
1955年群馬県生まれ。筑波大学卒業後、サントリーに入社。サントリーの数々の製品の広告を制作。その後仲畑広告制作所を経て、フリーに。主な仕事は、サントリーモルツ、トリス、オールド、全日空、トヨタ、ユナイテッドアローズなど。TCC賞、ADC賞、受賞多数。
岩崎俊一 氏(故人)
1947年京都府生まれ。同志社大学卒業。広告代理店、プロダクションを経て、1979年フリーに。主な仕事は、サントリーギフト、資生堂アクテアハート、西武百貨店ギフト、トヨタプリウス、トンボ鉛筆など。TCC賞、ACC賞、朝日広告賞、日経広告賞など受賞多数。
児島令子 氏
大阪府生まれ。京都女子大学卒業。数社を経て、フリーに。1986年内外衣料製品の広告でTCC新人賞。主な仕事は、サントリー、資生堂、松下電器、全日空、トヨタなど。TCC賞、ACC賞、朝日広告賞、佐治敬三賞など受賞多数。
前田知巳 氏
1965年熊本県生まれ。東京外国語大学卒業後、博報堂に入社。2001年フューチャーテクスト設立。主な仕事は、全日空、宝島社、キリンビール、岩波書店、トヨタなど。TCC賞、ADC賞、朝日広告賞、読売広告大賞など受賞多数。
眞木準 氏(故人)
1948年愛知県生まれ。慶應義塾大学卒業後、博報堂に入社。1983年フリーに。主な仕事は、全日空、ライオン事務器、サントリー、日本ビクター、伊勢丹、ホンダなど。TCC賞、ADC賞、朝日広告賞、毎日デザイン賞、日経広告賞など受賞多数。
時代の言葉。
コピーライターがつくった新聞広告名作120選。
《会期》
前期:8月26日(土)~10月22日(日) :安藤隆氏、一倉宏氏、岩崎俊一氏(故人)
後期:10月24日(火)~12月24日(日) :児島令子氏、前田知巳氏、眞木準氏(故人)
場所:ニュースパーク(日本新聞博物館)2階 企画展示室
開館時間:10時~17時(最終入館 16時30分)
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は次の平日)
入館料:一般:400円 大学生:300円 高校生:200円 中学生以下無料