風評被害への対応 過去の施策から振り返る

東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が24日始まった。放出完了までは30年程度と長期におよび、中国が日本の水産物輸入を全面的に停止すると発表するなどしている。風評被害への懸念が強まる中、情報の受け手目線に立った、正しく伝わる、信頼回復につながる発信が問われている。ここでは、風評被害への対応に関連した過去記事を3つピックアップ。東日本大震災後、どのようなタイミングでどのような情報提供がされてきたのかを振り返る。

 

●福島県いわき市「いわき見える化プロジェクト」

東日本大震災からの復興と風評被害対策を目的に、いわき市は2011年、約1000名の農家が1か所に集まり「見せます!いわき」とプロジェクト開始を宣言するCMを放映。サイトを通じて放射線量の公表などを行い、2012年には、市役所内に「見せます!いわき情報局見せる課」を発足。「見せる課バスツアー」も実施し、料理人や主婦に、農作物の検査体制やおいしさの秘密などを見せている様子をCMでも放映した。2013年には、都内のレストランでメディア懇親会を開催、プロジェクトの活動報告を行っている。なお2016年には「見せる課」は「魅せる課」に改めている。

 

●プロトリーフ「土のフルコース」

東日本大震災後の原発事故による風評被害で土の販売が落ち込んでいたことから、プロトリーフが自社の土の安全性をアピールするために実施した「土のフルコース」。同社の土が食品と同レベルの安全基準を満たしているとの分析結果が出たことから、都内のフランス料理店に協力を仰ぎ、土を使ったフルコースをメニュー化した。2013年に、メディア向けに試食会を実施したことを皮切りに、国内だけでなくBBCやCNNでのメディア露出にもつながった。話題性だけでなく、同社の土の売上も向上。同施策は、2013年度の「PRアワードグランプリ」(日本パブリックリレーションズ協会主催)のグランプリに選ばれている。

 

観光庁「Share your WOW!-Japan Photo Contest」

2012年から2013年にかけ観光庁は、SNSを活用した風評被害対策として訪日旅行キャンペーン「Share your WOW!-Japan Photo Contest」を実施。フェイスブックなどのSNSと連動した特設サイトに外国人旅行者から日本各地の写真を投稿してもらうことで、世界に日本の安心・安全や魅力を伝えることを目的とした。実施の背景には、「外国人観光客が訪日するにあたっては、日本在住または震災後に訪日した自国民の情報を信頼しやすい」という調査結果があった。キャンペーンの参加者は1万7070人、投稿写真3万8817枚、Facebookファン数は25万人。受賞者には、日本でのプレミアムな体験ツアーを特典とした。

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