“越境”できるクリエイティブ力を養える環境 なぜDroga5 Tokyo/Accenture Songは 多様なクリエイティブ人材を惹きつけるのか 

アクセンチュアの中で、デザイン、クリエイティブ、データ、テクノロジー、マーケティングなど多彩な人材が変革を起こすために集結しているアクセンチュア ソング。傘下のクリエイティブエージェンシーDroga5は2021年5月に東京オフィスを開設し、国内でもクリエイティブ領域に事業を大きく拡大している。そんな同社では3年前から、クリエイティブ職の採用を本格的にスタート。その背景について話を聞いた。

写真 人物 集合 drago5 Accenture Song
「様々な出自の人が集まっているので凝り固まった文化がなく、誰であってもなじみやすいのではないか」と村上氏。杉山氏も、「Droga5 Tokyoは3年目に入ったところで、まだまだ自分たちでカルチャーをつくっていく段階。仕事のクオリティや視座は高くしながら、年次を問わず和気藹々と、チームや組織の方向性などを話し合っています」と話した。

日本においては2021年から クリエイティブ職の本格採用を開始

2019年に世界的なクリエイティブエージェンシーであるDroga5を買収したアクセンチュア。従来のコンサルティングファームとしての機能だけでなく、その機能をクリエイティブと融合させることにより、顧客体験を軸とした企業変革の支援を実現してきた。

そんな同社が国内においてクリエイティブ領域の本格採用を開始したのは2021年のこと。「Droga5Tokyoの設立も控えたタイミングで、新たな人材を育成していくという方針もありました」とグループクリエイティブディレクターの杉山元規氏は話す。

同社の一番の特長は、企業のパーパスを起点として、上流から下流までを一気通貫に支援していくこと。広告制作だけではなく、コンサルティングを専門とするメンバーとも連携しながら適切なアウトプットを提案していく。またこうしたなかで、従来の職種にこだわらず独自の“クリエイティブプランナー”という職種を設定。「ストラテジックプランナーとコピーライターの間のような役割」(杉山氏)として、新たな領域での活躍の場をつくってきた。

経営戦略や事業戦略の領域まで、“越境”して行き来できる人が活躍

広告業界において、新卒採用でのクリエイティブ職の募集は非常に少ない。本インタビューに参加した若手社員の4名もまた、その狭き門に挑戦したという。

2023年に入社した徳廣凪翔氏は大学時代、別のクリエイティブエージェンシーで長期インターンシップに参加するなかでコピーライターを目指すことを決意。その後、Droga5が新卒採用を受け付けていることを知り、大学3年時にDroga5 Tokyo/ Accenture Songが提供するインターンシッププログラム「Accenture Song CreativeSchool」に参加。プログラムがきっかけでコピーライターとして採用された。

大学卒業後に携わった初監督作品が短編映画製作プロジェクトに選出され、全国上映を果たした経歴を持つ村上リ子氏は、クリエイティブプランナーとして2023年に入社した。「チームのメンバーも、仕事の内容も、働きやすさも、本当に恵まれた環境で、楽しい仕事ができていると感じます」と語る。

コピーライターの本田里夏氏は2022年入社。「学生時代は小説やコラムを書く文芸創作ゼミで執筆活動を行ったり、アルバイトでライターの仕事したり、書くことに興味があった」と振り返る。クリエイティブ職を視野に入れる中で、コンサルティング領域にも携われることに魅力を感じたのだという。

また今村瑠奈氏は、大学卒業後にメーカーに就職。会計や営業部署で勤めながら、宣伝会議の講座受講をきっかけにクリエイティブ職へのチャンスを掴み、コピーライターとして中途入社した。

「これから新しいチームができるというタイミング。全く異なるバックグラウンドを持っていたからこそ、逆に評価してくれたと聞きました。実際、入社してからも多様な人材を受け入れる土壌があることを実感しています」(今村氏)。

新卒・中途採用含め、この3年間で約40名のクリエイティブ人材が入社した。少数精鋭のチームを形成するため、採用試験もレベルの高いものだという。しかし必ずしも、採用時点で大きな実績を持つメンバーだけではない。

コンペや広告賞への参加を社を挙げてサポート

そんな若手社員のサポートを担う一人が、シニアコピーライターの石倉一誠氏だ。

同社では社員一人に対し、一人のメンターがつき、先輩が担当するプロジェクトに関わっていく。事業コンセプトからサービスのネーミング開発まで、関わるアウトプットの種類も幅広い。「それはつまり、責任が非常に大きい仕事。コピーが好き、映像が得意、そういった根幹の能力を軸にしながらも、経営戦略や事業戦略の領域まで、“越境”して行き来できる人が活躍できます」と石倉氏。実際に商品化に至った製品も登場している。

また同社では、アワードや広告賞への参加を推奨し、全面的にバックアップしている。費用面だけでなく、チームメンバーの応募を後押しする風土もある。

「特に若手のうちは、自らのクリエイティビティの高さを証明することは難しい。そこでひとつの力をはかる機会として、アワードやコンペに積極的に参加してもらっています。これにより得意とする領域も分かり、プロジェクトに加わってもらうときに声をかけやすくなるのです」と石倉氏は話す。

例えば本田氏は、2023年ヤングライオンズ/スパイクス コンペティションのフィルム部門でファイナリストに選ばれた。「入社前はもっと厳しい世界を想像していましたが、面倒見の良い人たちばかり。企画書のフィードバックをお願いすると快く応えてくれました」と話す。

若手が活躍できる場をつくることが社会全体の変革につながる

同社では、今後も若手の採用に注力していく方針だ。先述の「Accenture Song CreativeSchool」も、今年の夏で3回目を迎える。学生を含め、若手人材にチャンスの場をつくっていくことで、クリエイターの育成を図り、既存の枠組みにとらわれないクリエイティビティの可能性を、さらに広げていく。

「“事業と向き合う”と聞くと、キャリアを重ねないとできないのではないかと思われる方もいるかもしれません。ですが、変革を起こすには若い感性こそが必要なのです」と杉山氏は話す。石倉氏も「若いクリエイターやコンサルタント、ストラテジックプランナーの人たちのアイデアが加わることで、ブランドはぐっと若返る。経営者もそれを求めていると感じます」と話す。

「こうして若い人たちが活躍できる場をつくっていくことで、結果的に、日本の産業全体、社会全体の変革につながるのではないかと考えています」(杉山氏)。

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