ゾンビ、キングギドラ、FFと誰もがわかるアイコンが盛りだくさん 丸紅が堺雅人を起用し新CM

総合商社・丸紅は、俳優の堺雅人を起用した新テレビCM「できないことは、みんなでやろう。『紅丸』篇」の90秒版を、9月10日のドラマ・TBS日曜劇場『VIVANT』内で放映。それに先駆け、9月8日に日経新聞に15段広告を出稿し、CM放映の告知をすると共に、同社公式Xアカウント、同社特設サイトで映像を公開した。

写真 新聞広告 できないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇

9月8日に出稿した新聞広告。

舞台は、広大な平原。世界的人気ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズの人気曲『ビッグブリッヂの死闘』をバックに、堺雅人扮する伝説の武士「紅丸」が登場する。武器を持って襲ってくる兵士たち、突然土の中から現れる大量のゾンビ、上空から飛来する怪獣・キングギドラに、赤備えの甲冑で立ち向かい、一度は兵刃を交えた敵を次々と仲間にしながら、さらなる強敵に立ち向かっていくストーリーが描かれている。

できないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇

同社は、2022年に「できないことは、みんなでやろう。」というスローガンを掲げ、人気コンテンツ『ワンピース』のキャラクターを起用してコミュニケーションを展開した。今回のCMにあたって、丸紅広報は次のように話す。「私たち丸紅広報の戦略は、そのスローガンの継続と浸透。その新しい打ち手として、幅広い層に支持され人柄に説得力のある堺雅人さんをブランドキャラクターにすえ、当社の企業姿勢を伝えることを考えました」。また、同社はTBS日曜劇場『VIVANT』への撮影協力を決めており、堺の起用はドラマとの連動性をフックとしてPR効果も見込んだという。

堺×総合商社となれば、普通はビジネスパーソン役のCMを真っ先に考えるだろう。ところが今回企画を手がけた村田俊平氏は、全く新しい表現に踏み込んだ。

「実現したかったのは、『少年漫画誌を通して日本人のDNAに刻まれた“敵と手を組みさらなる強敵に立ち向かっていくストーリー”』。ビジネスにも通底する概念ですが、丸紅さんとはお互いただ伝えようとして、説明的・説教じみてしまうことは絶対に避けようと、会話しました。クリエイティブ的には、漫画何巻分でやっと描き出される壮大な共闘の物語を90秒の尺でどう“CMナイズ”していくかが勝負でした」

本CMには時代劇やホラー映画を思わせるシーンやゲーム、特撮など、ジャンルを超えてさまざまな要素が盛り込まれている。

「『情報量過多』『カオス』と評価されていますが、死守したのは根底にある『できないことは、みんなでやろう。』というコピーを体現する『敵同志が困難のために協力し続ける』という企画です。『昨日の敵は今日の友』『呉越同舟』さまざまな言葉があるように、大きなプロジェクトを国籍や立場を越えたチームで動かす総合商社の『哲学』としてこれはど真ん中。どんなに多くのものが、そして重いものが乗ってきたとしても、コピーとコンセプトを屋台骨とした企画性がCM全てを支え切れると判断しました」と、村田氏。

さまざまな要素が盛り込まれた背景には、制作チームの意図がある。「ネタをわからない人も、面白い、わかる人は、もっと面白い。」という考えのもと、企画が進められたのだ。

「バラエティもハリウッド映画も、ニュースも、YouTuberも全て同じスマホという土俵で見られる今、CMだけができることは何だろうと監督の浜崎さんと考えました。」

この盛沢山な内容とスピード感のあるCMの演出を手掛けたのは、浜崎慎治監督だ。

「CMは映像表現として①尺の制限があるが、かえって、少々の破綻は視聴者が飲み込み逆に楽しんでもらえる ②ブランドやブランドの特性に落ちている必要があるが、かえって、表現方法にはとらわれないという幸運な二律背反性があります。であれば、あらゆるジャンルや表現方法を横断し、情報が複雑、展開が怪奇なものになっても、目の肥えた日本のCMの視聴者の方はその『置いてけぼり感』さえも楽しみつつ受け入れてくれるはず。そんな期待を込めて、時代劇・ホラー・特撮・SF・ゲーム・アニメ…とにかくジャンルの壁を横断し続けることをチーム一同意識しました。ここで生命線になるのは、やっぱり、企画です。

一つ一つのジャンルに疎い人でも、キングギドラは怪獣、堺さんは武士、とわかれば、ストーリーに驚き、共感できるし、疎外感を覚えることはない。『ネタをわからない人も、面白い、わかる人は、もっと面白い。』全てのCMの鉄則だと信じていますが、その構造は守りたかった。実際、今回のCMは海外の人にも多く観られ、喜ばれているようです」

注目すべきは、キングギドラの登場だ。1964年以降、「ゴジラシリーズ」など東宝の怪獣映画でおなじみのキングギドラ。2001年『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(以下GMK)に登場したキングギドラが、当時のスーツで復活、そして空を飛んだ。

「怪獣もオリジナルでなく、堺さんのように、『スター』の怪獣である方がストーリーに共闘する胸熱感が違いますし、何よりそれこそがCMだからできることだと考えました。誰がどう見たってカッコいい、怪獣界のスーパースター、キングギドラをキャスティングしました。当初、『破壊神のようなキングギドラが人間と協業していいのか?』という話もありましたが、唯一2001年の『GMK』のギドラ(作中:魏怒羅/千年竜王)だけは“くに”を護る守り神(護国聖獣)で、ギリギリ企画との矛盾が生じません。これを、技術的な問題から、CGの話もありましたが絶対に操演にしたかった。チームワークの結集である日本の資産、特撮は、丸紅の追い求める『みんなでやろう。』の哲学に最も似合うものだと考えました」

ボロボロだったキングギドラを倉庫から出し、補修し、光線や鳴き声、ボディのカラーは映画を何度も観て忠実に再現した。特に光線は色や太さなど何度も修正を加えたという。

「ヘアメイクやスタイリストのつかない怪獣だからこそ、チーム一同、丁寧に最もカッコよく見えるオリジナルの姿に近づけたつもりです」

丸紅の公式SNSでは、キングギドラや制作のメイキングの様子も公開されている。

音楽は、世界的人気ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズの人気曲『ビッグブリッヂの死闘』(作曲:植松伸夫)を採用した。

「音楽は、映像の中の要素とは独立したジャンルとしてゲームに目をつけました。私自身も大好きな『ビッグブリッヂの死闘』は戦闘曲の神曲中の神曲ですし、赤備えの鎧を身につけた堺さんも、ゲーム内の“あの”キャラクターを彷彿とさせます。原作への愛とリスペクトは一同忘れず、ささやかな形であれ伝えようとも試みました」

話題のドラマ『VIVANT』のロケ地でもあるモンゴルで撮影4日、特撮撮影2日、CG、音楽、デジタル/PR戦略など3ヶ月かけて、本CMは完成した。

放映日の9月10日は『VIVANT』特番のオンエアもあり、ドラマの展開に多くのファンが注目していた日。その放映時に流れた丸紅のCMに、SNSでは多くの人がドラマと重ねあわせて驚いたと同時に、「キングギドラ」「ビックブリッジ」や過去に堺が演じた「真田丸」に反応している人が多く、Xでは9月8日に続き再びトレンド入りした。

同社では、9月17日から本CMの30秒版を順次放映。また、丸紅本社のある竹橋では現在、OOHも展開している。

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写真 CM カットできないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇
竹橋で展開されているOOH。
写真 CM カット できないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇
写真 CM カット できないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇
写真 CM カット できないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇
特設サイトで公開されているビジュアル。

スタッフリスト

CM

企画制作
電通+DASH
CD+C
岩田純平
企画
村田俊平
AD
中尾祐輝、八武崎凌平
デジタルプランナー
山崎海
PRプランナー
片平ひとみ
CPr
杉田澄名
AE
田島大吾、梶塚康太
Pr
市岡長純、勝俣円、武藤勇太
PM
島田想平、飯島賢也、小林一成、永野映保里、鈴木伸弥、宇賀神菜緒
演出
浜崎慎治
助監督
橋本繁武、ホワイト譲二、鈴木雄大
撮影
近藤哲也
撮影チーフ
岡山佳弘
撮影アシスタント
青木穣、 加納元貴、掛井悠
ステディカム
木村太郎
ステディカム助手
高瀬勇太
DIT
下川貴洋
照明
溝口知
照明助手
大石樹貴、瀧亮太郎
録音
田辺正晴
録音助手
大堀太輔
美術
高橋徹
美術助手
竹内洋平
VFX仕掛
蘒吉久
衣装デザイン
澤田石和寛
衣装
豊嶋ゆう子、加藤友美、鎌田美保、切金ミキ、天野泰葉、大塚満
特殊造形
JIRO、宇田川祐、方千乃
小道具
重藤清、青山宣隆、ウィッグ sakie、荒井タカハル、井上結芽
ヘア
JIMI FUJIU、中野愛、小倉まゆり
メイク
船引美智子、茂手木智也、清水美保、ハニオカペドロパラデイ、佐々木弥生
CAS
福庭正和、元川益暢、鈴江こころ
ミキサー
太斉唯夫
SE
望月久美子
音楽
山田勝也、岡田泰典
アレンジャー
齋藤茂彦
編集
渋谷あゆみ(現場オフライン)、明石風太(オフライン)、坂巻亜樹夫、橋本祥文、前光則、川元健太郎、真田加奈(オンライン)
CGディレクター
尹剛志
テクニカルAD
滝口広大
CGデザイナー
滝口広大、鈴木理沙、石川陽菜、長澤知宏、西倭希、中山碩人、吉田共美
テクニカルディレクター
床井悟
ロトスコープ
Rudiez
マッチムーブ
鹿島光
アニメーション
ノブタコウイチ、みうら、菊地春香、野渡隆弘
マットペイント
谷内亜紗美
VFXPr
塚本時彦
カラリスト
西田賢幸
Crd
衣袋智子
メイキング
奥田啓太
東宝Pr
吉川哲矢、石黒裕亮
コンテンツPr
増原香絵、半田幸余
東宝映像美術
大船龍二、藤川淳一
特殊効果+操演
川口謙司
造形補修
高野廣茂
アクション部
川本耕史、山下駿、矢島憲一、澤野和馬、酒井桃香
出演
堺雅人、中村ゆりか、山口航太、ボブ鈴木、タカハシシンノスケ、 キャッチャー中澤、小柳心、新岡潤、伊藤俊、バヤルサイハン、オドゴンバヤル、ナランバートル、エンフタイワン、SILLE
NA
山時聡真

グラフィック

CD+C
岩田純平
AD
中尾祐輝、八武崎凌平
撮影
興村憲彦
撮影助手
井ノ口高央
レタッチ
原島良輔
D
大槻耕平

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター



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