売上を伸ばすオウンドメディアの戦略と成功事例

クリエイティブとテクノロジーで最適なコミュニケーションを提案するスマートメディアは、メディア運用のノウハウを元に、オウンドメディアの戦略・構築・運用まで一気通貫をサポートしている。宣伝会議主催の講演会「SIMCリージョナル2023」において、代表取締役の品原由衣氏、マーケティング・セールスマネジャーの夏井悠氏が登壇し、売り上げを伸ばす「攻め」のDXになりうるオウンドメディアとその成功事例を紹介した。

写真 人物 品原由衣氏
スマートメディア 代表取締役 品原 由衣氏

写真 人物 夏井悠氏
スマートメディア マーケティング・セールスマネジャー 夏井 悠氏

なぜオウンドメディアが今企業に必要か

オウンドメディアは、企業が自ら継続的に情報発信できるツールであり、ウェブ広告やSNS、広報・PRマーケティング、ブランディング、採用広報と連携させることで効果が最大化する。夏井氏は「オウンドメディアを活用し、潜在顧客と複数接点をしっかりと持ってマーケティングの戦略設計をしていくことが非常に重要である」と語る。

オウンドメディアに投資する3つの理由

品原氏は理由の1つに企業が発信する情報の価値が向上していることを挙げた。消費者の情報の受け取り方も変わりつつあり、第三者による情報の中にフェイクや信ぴょう性が低いものが混じっていることから、品原氏は「ユーザーは企業が自社サイトで発信する情報を信頼するようになった」と話す。

また、2つ目の理由に効果の蓄積が企業の資産になることを挙げた。「SEOの手法を活用してオウンドメディアを運用できれば、顧客とのデジタル接点を創出して拡大し続けることが可能です」(品原氏)。月約100万円のオウンドメディア運用予算で、リスティング広告に換算して約3,000万円の効果を得た事例もあるという。

そして、3つ目にオウンドメディアが自社のブランディングにつながることを提示。インフルエンサーやウェブメディアに情報を提供することで、一定のリーチは可能だが、個人やメディアのトンマナ・やり方に従った発信になり、企業の想いを正確に伝えることができないという難しさがあった。そのため、オウンドメディアを使い自らの言葉で発信することこそが、自社のブランディングにつながるとのことだ。

マーケティングの観点からみたオウンドメディアの必要性は?

情報収集の多様化により、一つのマーケティング施策に絞った集客ができなくなった昨今。「企業も潜在顧客をしっかり獲得するために、複数の接点を作る必要が出てきています」(品原氏)

また、ウェブ広告の競争激化により、費用と潜在顧客の獲得数は比例しない状況。一方で、即効性のあるテーマと費用を投下すると、しっかりとデジタル接点の潜在顧客と接点をつくれることもある。そのため、「広告とオウンドメディアの特徴を活かして、潜在顧客との接点創出が必要になってくるかと思います。リスティング広告は即効性があるが、集客効果の蓄積や、費用対効果の大幅改善もしづらい。一方で、オウンドメディアはSEO対策で活用できれば、集客を蓄積し、費用対効果の改善にもつなげやすい。お互いのメリットをしっかりと捉えて、多面的に進めていく必要が出てくるかと思います」と品原氏は語った。

マーケティング施策を多面的に複数展開すると、メインとなる良質なコンテンツが必要になる。オウンドメディアのコンテンツを中核として、広報、マーケティング、ブランディング、採用と二次活用していく企業も増えてきている。品原氏は「リード獲得のためのマーケティングにおいて、オウンドメディアの重要性は今後さらに増えていく」と話す。

三井物産オウンドメディアに見るリード獲得事例

三井物産のBtoBオウンドメディア「脱炭素ソリューション Green&Circular」は、毎月のオウンドメディア経由の問い合わせや、「脱炭素」のキーワードで検索上位を獲得している。

スマートメディアは支援にあたり、三井物産グループの提示する脱炭素ソリューションが複数ウェブサイトに点在し、的確な情報を見つけにくいという課題を発見。一つのオウンドメディアでまとめることを提案し、潜在顧客が自分に適したソリューションを探して取り寄せられるよう再設計したという。

さらに、サイトを訪れるターゲット層を明確化。マーケティングファネルに消費者行動を分け、認知・発見した人がソリューションに興味・関心を持ち、他のソリューションと比較・検討し、実際に三井物産へ問い合わせられるよう流れをつくった。

品原氏によると、今後2つの施策を展開する予定だという。1つは顧客接点を増やすということ。脱炭素経営EXPOなどリアルイベントにも出展し、オフラインで得た潜在顧客の課題やニーズを、コンテンツに活かすそうだ。そして、もう1つは、オウンドメディアコンテンツを二次活用し、最新コンテンツやお役立ち資料として配信する予定だ。

成功するオウンドメディアを作るには?

成功するオウンドメディアの構築について夏井氏は4つのポイントを挙げる。

  • 1 オウンドメディアの骨格を作るということ
  • 2 オウンドメディアのターゲットとコンセプトを決めること
  • 3 オウンドメディアのKPIを決めること
  • 4 オウンドメディアの運営体制をつくること

さらに、オウンドメディアを作るうえでは、しっかりとSEO対策で集客することが重要だ。

SEO記事を制作する流れは、キーワードの設定、検索者のニーズを研究したのち、構成書の作成、執筆となる。

「キーワードにはそれぞれ検索者のニーズが必ず潜んでいます。どんな思いをもってこのキーワードで検索しているのかとしっかりと分析した上で、タイトルづくりをしています。最終的なコンバージョンを考えたときに、どんなキーワードで上位表示したいかというところを設定します」(夏井氏)

もう一点重要なのが、検索ボリュームを見て、最適なキーワードを設定することだ。「脱炭素 建設業」という月間で50回しか検索されていないキーワードにこそ、ニーズが顕在化している場合もある。

記事を執筆する際は、ドメイン、E-E-A-T、簡便性の3つがポイントになる。

「自社のメインが検索結果上位に表示される内容か、自社が何のプロであるか考えたときに、情報発信のコンセプトをどう設定するかが非常に重要です。その情報がしっかりと信頼性があるものか、生活者からも見られているポイントですし、Googleからの評価を受ける上で重要なことです。そして、知りたい情報を簡単に探せるコンテンツになっているかです」(夏井氏)

「広告のみ、SNSのみなど施策を一本化しない。ウェブ広告、オウンドメディア、MAPなど、潜在顧客と複数接点を持つことが非常に重要です。また、オウンドメディアのコンテンツは各接点に効果的な活用ができると、オウンドメディアのコンテンツを中心として採用や広報・マーケティング、ブランディングのような活動も費用対効果も上げていくことができると思っております」と夏井氏は語った。

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