生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。
※本記事は8月1日発売の月刊『宣伝会議』9月号の転載記事です。
ブレインスリープ
代表取締役
廣田 敦氏
ブレインスリープ 会社概要
設立年:2019年
マーケティング部署人数:35名
事業概要:質の高い睡眠を追求する寝具の開発・販売、健康経営サポートサービス、その他睡眠に特化したソリューションの提供
睡眠に特化したあらゆるソリューションを提供
2019年に創業された「脳と睡眠を科学する」ブレインスリープ。脳まで眠る睡眠で人や社会の可能性を目覚めさせることを目指し、睡眠医学に基づいた知見と先進テクノロジーを掛け合わせたプロダクトやサービスを提供している。
経済協力開発機構(OECD)が2021年に発表したデータでは、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で加盟33カ国中最下位。日本は“世界で一番寝ていない国”なのだ。同社代表取締役の廣田 敦氏は「寝る前にスマホを見るのをやめられない、眠るのが遅くなっても朝の出勤時間は変えられないなど、個々のライフスタイルを変えるのはなかなか難しいです。睡眠時間が短いのならば短いなりに、いかに睡眠のパフォーマンスを上げて良い睡眠環境を提供できるかに着目して商品・サービスを開発しています」と語る。
初の自社開発商品で主力製品でもある「ブレインスリープ ピロー」は、特許取得の構造によりオーダーメイドのようなフィット感があり、熱や湿気がこもりにくく快適に眠ることができるという枕だ。寝具の領域にとどまらず、リカバリーウェアや睡眠計測デバイス・アプリ、睡眠に特化した鍼灸マッサージを行うコンディショニングスタジオや、企業・睡眠外来クリニック向けのコンサルティングまで幅広く展開。日本の睡眠課題を解決していくべく、睡眠に特化したあらゆるソリューションを提供しているのだ。
デジタルマーケの鍵は共感性 口コミが広がりEC販売好調
化粧品メーカーでブランドマーケティングを担当していた廣田氏は、2022年にブレインスリープに参画。同社は廣田氏のようにデジタルの知見が深いメンバーが多く、デジタルに特化したマーケティングが強みだ。
「ブレインスリープ ピロー」の価格帯は約3万円で、実物を手に取ることなくネットで購入するにはハードルが高い。そこで同社が重視するのが「共感性」だ。「睡眠は年齢・性別問わず誰しもが悩んでいること。私たちが発信する商品の付加価値に共感してくれたお客さまが『これなら眠れた』『自分に合っていた』と、SNSなどで口コミを広げてくれることが非常に重要です」(廣田氏)。
ブランド認知が高まったきっかけが、クラウドファンディングサイトでのテスト販売だった。
……この続きは8月1日発売の月刊『宣伝会議』9月号で読むことができます。
『宣伝会議』9月号(8月1日)発売
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