※本記事では月刊『広報会議』2023年9月号 (8月1日発売)に掲載した連載企画「AIで変わる広報業務」を転載しています。
社内制度を新設し、全社としての方針を示す
コロプラでは、生産性向上と新たな価値創出に向けてChatGPTをはじめとする生成AIの業務での活用を促進。独自の利用ガイドラインを策定し、従業員に対して安全で適切な利用を促している。さらに、4月からはChatGPTの有償版であるChatGPT Plusの利用料を支給する「ChatGPT Plusの利用料補助」、ChatGPTを活用した優れた事例に対して賞金を支給する「ChatGPT活用表彰制度」(毎月実施)を開始している。
生成AIの導入や利用促進を主導するIT戦略室とHR部門を管轄し、同社の取締役を務める菅井健太氏は、3月にOpenAI社からGPT-4がリリースされ、様々な製品やサービスに組み込まれていく様子を見る中で、今後、生成AIの業務活用は、企業の競争優位性を保つために必要不可欠になると考え、社内での利用促進を開始した。
「職種や役割によっては、触れる機会のない人や我が事感を持ちにくい人もいると思います。費用の支給や表彰制度を設けることで全社としての方針を示し、全従業員に活用を促せればと考えました」(菅井氏)。表彰制度ではChatGPTを活用して業務効率化ツールを開発した従業員を表彰するなど、実行に移されているという。
適切な条件設定を言語化する能力が重要に
同社の広報グループでは、プレスリリース文章のたたき台作成や社内イベントの企画案のブレスト、タイトル案作成など、多様な業務でChatGPTを活用している。
広報グループに所属する猪野理絵氏は、「その中でも特に役立っているのが、取材の依頼状作成時です(図)。当社では社内報の記事作成のために従業員にインタビューをする際、『目的・内容・想定質問』などをまとめた依頼状を事前に対象者に送っているのですが、ChatGPTの活用により作成時間を大幅に短縮できたので、業務効率化につながっているのを感じます」と話す。
また、AI活用時代に広報パーソンに求められるスキルについて、猪野氏は「言語化スキル」を挙げる。「精度の高い回答をAIから得るためには、適切な条件設定が必要です。そのためには条件を明確に言語化できる必要がある。言語化能力が高い人ほどAIを上手く活用し、効率の面でも品質の面でも、成果を出していくのではないかと考えています」(猪野氏)。
月刊『広報会議』9月号(8月1日発売)
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