※本稿は2023年10月号『広報会議』特集「成果を最大化する仕事の進め方」より抜粋しています。
自社の広報活動を強化するため、通常のプレスリリースとは異なる調査データの活用をしたい。そう考える広報担当者も多いのではないでしょうか。アンケート結果などを数値化した調査リリースは、調査データを通じて状況を把握しようとするメディアの関心を捉えるため、取材依頼やSNSへの拡散などにつながることもあります。
その半面、客観的な切り口であるはずの調査リリースに、ミスや不適切な表現があっては逆効果です。対外的にはSNSなどで拡散されてしまったり、訂正リリースなどの対応に追われたり、かえって業務効率が悪化してしまうことに。
そうならないために注目したいのは、調査リリースの確認にかける時間配分です。適切な時間配分で結果的に「効率的な情報発信」につながるのです。そこで、調査リリースでミスをしないためのチェックポイントを解説します。
チェック項目を3つに分類
チェックする際の順番は、原稿の冒頭からでしょうか。その方法は間違いではありませんが、効率化を図るなら、チェック項目を ①文字の誤り、②データの誤り、③情報の誤りの3種類に分けて確認します。
①文字の誤り
文字の誤りとは、誤字、脱字、用字用語の不統一、表記ルールの無視など。例えば「後・痕・跡」、「抑える・押さえる」、「加熱・過熱」などの変換ミスになりやすい同音異義語や同訓異字、「買物・買い物・買いもの」、「ウェブ・ウェブサイト」、「3か月・3カ月・3ヵ月・3ケ月・3ヶ月」、「80%・8割」などの表記ゆれ、「携帯電話利用者≠スマートフォン利用者」などの用語の定義が不十分な場合は注意が必要です。
②データの誤り
次にデータの誤りとは、グラフや表の項目に起こるミスを指します。数値とグラフ、グラフのタイトルや軸ラベル、表と凡例、グラフの色や形状などをチェックします。
例えば、グラフの図表番号と本文の図表番号の不一致、データの範囲が不正確(「20~50代の男女」の数字を「20~50代の女性」の数字と間違える)、構成比の数値が不正確(円グラフ、帯グラフで100%にならない)、グラフの種類が不適切(棒グラフと折れ線グラフの数価軸の幅が統一されていない)など、記載されたものを見ただけでは表面的に分かりにくい誤りにも注意します。
③情報の誤り
最後に情報の誤りです。調査方法、調査対象、調査期間、調査結果、調査機関、有識者などの情報に過不足があると、調査リリースとして客観性が低く、誤った情報になりやすいです。文章の構成が不明瞭(「10年前の調査と比較して2倍に増加」の根拠が不明など)、調査対象が不適切なこともあります(「高校1~3年生」と記載すべきところを「高校1年生」に間違えるなど)。また調査期間が不適切(夏季商品に対して調査期間が長期間)、有効回答数が不適切(回答数が少なすぎる)など、そもそも公表すべき調査であるかの見極めも必要です。
ご紹介した3種類のカテゴリにおいて、時間を優先する作業の順番は~
続きは、『広報会議』2023年10月号の特集「成果を最大化する 仕事の進め方」からご参照下さい。
このほか『広報会議』2023年10月号では、「情報収集のしかた」「広報企画の立て方」「コラボレーションで話題を高める方法」「記者の目を引くビジュアル」「社外へ依頼する仕事の見極め方」「ChatGPT活用」などを紹介しています。
広報会議10月号(9月1日発売)
- 特集
- 「成果を最大化する仕事の進め方」
- ~情報収集~
- CASE1
- 共有カレンダーを活用し情報集約を自動化する
- アークランドサービスホールディングス
- CASE2
- PR戦略会議で社内に「広報」への意識を浸透
- ニュー・オータニ
- CASE3
- 資料管理ルールを定めた効率的なキャッチアップ
- MCEAホールディングス
- CASE4
- クリッピングや会議参加で多事業の動向を把握
- ダスキン
- ~広報企画~
- CASE5
- 訴求する切り口をストーリーで伝える
- カルビー
- CASE6
- 記者発表会でメディアへの継続露出を
- 村田製作所
- CASE7
- 事業の進捗ごとの発信で訴求点強める
- メタウォーター
- CASE8
- 親近感を示し企業色伝えるSNS運用
- 帝人
- ~コラボ施策~
- CASE9
- 記者視点の「ニュース性」提案にこだわり
- ゼロボード
- CASE10
- 企業の役割を明確化し波及効果狙う
- シェアリングエネルギー
- COLUMN
- 活用される業務マニュアルの作成法
- 森田圭美
- GUIDE1 言語化
- 瞬時に「言語化」するための6ステップ
- 荒木俊哉 電通 コピーライター
- GUIDE2 画像活用
- 記者の目を惹き伝わるビジュアルとは
- 善本喜一郎 写真家
- GUIDE3 ミスをなくす
- 調査リリースのチェックポイント
- 木下彰二 共同制作社 代表取締役社長
- GUIDE4 外部パートナー
- 社外へ依頼することを見極める
- 長沼史宏『先読み広報術』著者
- GUIDE5 効果測定
- 経営層と現場の意識の一致が鍵
- 鈴木恭平 パナソニック コネクト
- OPNION メディア編集長が考えるうまい広報
- 安田典人 安田典人 『DIME』編集室長
- 影山桐子 『Women’s Health』編集長
- INTERVIEW 生産性向上につながる生成AI活用法
- 河野あや子、牛山マーティン、前田梨沙
- 広報担当者のための企画書のつくり方入門 特別編
- ChatGPTを広報に応用
- 片岡英彦
など