PwC Japanグループは9月26日、「グローバル エンタテイメント&メディアアウトルック2023-2027」を発表した。コロナ禍によりエンタテイメント&メディア業界のデジタル化が加速し、2027年には業界収益全体に占めるデジタルの割合が、2018年の55.2%から70.8%まで増加すると見込まれている。さらに、競争環境が変化する中でも広告収益は2027年には1兆米ドルに迫るとしている。
本調査は、世界のエンタテイメント&メディアの消費者および広告の支出に関する分析で、53の国・地域におけるインターネット広告、インターネットアクセス・データ消費など13のセグメントに関する過去5年間のデータと今後5年間の予測が盛り込まれている。
2022年の業界の総収益は2兆3,200億米ドルと5.4%増加し、2027年まで毎年成長して2兆8,000億米ドル規模に成長すると見込まれている。地域別にみると、米国が世界最大の市場(2022年の8,190億米ドルから2027年には9,430億米ドルまで成長)で、中国が続く(3,880億米ドルから4,800億米ドルまで拡大)。一方、個人消費の低迷を一因に、2027年までの今後5年間は収益の成長率が毎年低下すると予想されている。
PwCドイツのグローバル エンタテイメント&メディアインダストリーのリードパートナーであるヴェルナー・バルハウス氏は「マクロ経済面の課題、業界の競争激化、特にデジタルサービスやデジタル体験の制作に注ぎ込める予算が削減されたことによって、収益と消費者の購買意欲は低下。業界の企業が消費者を惹きつけ、成長を続けるには、サービスの提供を大きく変え、アジアなどの新興市場を開拓し、生成AIといった新たなテクノロジーを活用する必要がある」とコメントしている。
また、広告は依然として重要な成長セグメントの一つであり、2027年に1兆米ドルに迫ると予想。収益は2027年に9,526億米ドルとなり、本調査が対象とする3つの調査指標(消費者、広告、インターネットアクセス)の中で最大となる見通しだという。一方、ECサイトやビデオゲーム、ストリーミングプラットフォームなどのプレーヤーが増え、大手ソーシャルメディアや検索プラットフォーム企業から市場シェアを奪うにつれて、利益の取り分はさらに小さくなっていくとしている。