「1枚買うと2枚無料」など、キャンペーンにおいてもインパクトのあるニュースを提供し続けるドミノ・ピザ ジャパン。47都道府県、950店舗以上で展開する同社のインターナルコミュニケーションについて、話を聞いた。
(本記事は月刊『宣伝会議』11月号巻頭特集に掲載されているものです)
「よくすることにハングリー」で最善のサービスを提供
1960年にアメリカで創業し、日本では1985年に1号店をオープンさせた「ドミノ・ピザ」。ピザを中心に食卓を囲み自然と人々の結びつきが深まる、「ピザでつながる」をパーパスに掲げる。
このパーパスを支えるのが、同社のモットー「Hungry To Be Better」(“よくすることにハングリー”)だ。
「お客さまのピザのある暮らしをさらに充実させるため、こだわりを持ち、注文のしやすさ、豊富な品揃え、デリバリーの速さ・安全性・確実性、それを支える店舗オペレーションやスタッフの技術、そしてテクノロジーなど、文字通りハングリー精神で最善の方法を模索しつづけています」とマーケティング部の松原歩氏は話す。
「つながる」ための施策として、成人の日やこどもの日、敬老の日など、あらゆる記念日において、関連するキャンペーンや、ピザづくりを体験できる「ピザアカデミー」などのイベントを実施。また2022年4月には一般社団法人として「産直ドミノ基金」を設立し、日本国内の農業生産団体に対する支援を開始するなど、社会貢献という観点でも活動を推進している。
「失敗」から新たなイベントへ 「1枚買うと2枚無料」施策の裏
あらゆるキャンペーンのなかで特に大きな反響を呼んだのが、2022年6月から2023年6月にかけて5回にわたって実施された「1枚買うと2枚無料!」キャンペーンだ。
「これは、『Lサイズピザを1枚買うとMサイズ(現在はサイズ名称変更でSサイズ)ピザを2枚無料でもらえる』というキャンペーンで、各回4日間から2週間の期間限定で実施しました。初回のキャンペーンは、開始当初から大反響を呼び、一番安価なプレーンピザLサイズを買って、高額なMサイズピザを2枚もらえるという“裏技”がSNSで拡散。予想の2倍を超える注文に、店舗では十分な人員体制やピザボックスの供給が追い付かず、多くの店舗で大幅な遅配や営業停止などトラブルが続出しました」と松原氏は振り返る。
「さらに、アルバイトクルーが激務のあまり、人員体制が整っていない中でのキャンペーンに対してSNS上で内部告発のような形で問題を指摘するという事態になりました。これらのクルーの批判は、多くのメディアで取り上げられ、SNS上でも批判的な声があふれることとなりました」(松原氏)。
この時ユーザーから上がったのが、「頑張る店舗スタッフにも報償を」という声だった。
そこで2022年7月に実施した第2回は「リベンジ」と銘打ち、サービスに対し最も評価を集めた店舗の全従業員に対して特別有給休暇(法定外有給休暇)を1日付与することを発表。「CEO特別賞」として選ばれた「ドミノ・ピザ 熊本迎町店」の全従業員が休む間、本社から執行役員ら6名が集結。本部スタッフやエリアマネージャー、他店舗の店長含めた20名で店舗運営を代行した。
「役員の多くは、実店舗でピザづくりやデリバリーのアルバイトから経験を積んで腕を磨き、キャリアを積み上げています。また、役員になってからも、現場に出向いてピザづくりなどを行い、現場感覚を忘れないことを大切にしています。本企画は役員が先頭に立って店舗のクルーを労うとともに、全国の店舗クルーに対し、いつでも現場を担える役員が全国の店舗をしっかりと支援していることへの理解促進を目的としています」(松原氏)。
こうした大型施策にあたっては、営業、IT、調達等を含むすべての部署が連動。マーケティング部署においても、社内・社外のコミュニケーション担当に加えて、ソーシャルメディア、オウンドメディア、カスタマーセンター等が連携した。
…この続きは9月29日発売の月刊『宣伝会議』11月号で読むことができます。
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