社会問題となっているヤングケアラー。家庭内で大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを日常的に行う18歳未満の子どもを指し、障害や病気のある家族の代わりに家事をしていたり、家計を支えるために労働していたり、アルコール・薬物・ギャンブルなどの問題を抱える家族の世話をしているケースもある。
家事や家族の世話が心や体に不調を感じるほど負担になることで、同世代から孤立したり、進学や就職をあきらめたり、といった問題が起きることが懸念されているが、家庭内のデリケートな問題でもあるため、支援が必要であっても外から分かりづらいという構造がある。
愛知県豊橋市では、ヤングケアラーの気持ちに寄り添いながら適切な支援につなげるため、学校などの関係機関に向けて独自のガイドブックを作成した。周囲の大人たちがヤングケアラーに対して理解を深めることで、必要な支援や相談窓口につなげることを促している。ガイドブックは、利用できる福祉サービスなどを案内し、ヤングケアラーとの関わり方について解説する。2023年10月から、学校、福祉サービス事業所や民生児童委員などの支援者、関係機関に配布し、市のホームページでも公開している。
愛知県が令和4年3月に公表したヤングケアラーの実態調査によれば、「世話をしている家族がいる」と回答した子どもの割合が、小学校5年生で16.7%、中学2年生で11.3%、高校2年生(全日制)で7.1%(全国調査の結果に比べて高い割合)。一方で、自分が「ヤングケアラーにあてはまる」と回答した子どもは2%程度で、約70%の子どもが「ヤングケアラーという言葉を知らない」と答えていた。