※本記事は月刊『ブレーン』2023年11月号「地球環境と向き合う サステナブルなデザインの理想形」特集からの抜粋です。
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削減率を可視化した「デカボスコア」
「デカボ」とは、脱炭素化を意味する「Decarbonization」に由来する。「デカボスコア」は、従来の素材や手法でつくられた商品・サービスのCO2 排出量と比較して、対象の商品・サービスがどのくらいCO2 の排出量を削減できているか、その「削減率」を可視化したものだ。排出量とその削減率は、スウェーデンのテック企業Doconomy 社が開発した、製造過程のCO2 排出量を計算できるツール「The 2030 Calculator」などを使用している。
すでにトヨタ自動車や日本航空、味の素、ヤフーなど70 社以上が導入しており、算出した「スコア」は商品パッケージや店頭POP、広告、EC サイトなどに記載できる。利用料は年間50万円から(実施内容により変動あり)。
たとえば味の素は、同社のフードロス削減の実践喚起を目的とした専用サイト「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~」上で紹介している40の「フードロス削減レシピ」に「デカボスコア」を導入している。
Earth hacks 代表取締役社長/CEO 関根澄人さんは、大学で細胞学を研究しながら生物多様性や地球温暖化の問題に取り組んできた。卒業後は博報堂で営業として企業のブランディングに携わり、その後三井物産に出向。新規事業開発の部署で「生活者が主体的に脱炭素化のためのアクションを起こす」ための事業を展開するEarth hacks を立ち上げた。
「総合商社と総合広告会社は、共に海外には類のない日本独自の業態。三井物産を通じて世界中のソリューションを集め、博報堂のクリエイティビティで広めていくことで、日本の商環境に適したやり方で、インパクトのある脱炭素化のためのアプローチができると考えました」(関根さん)。
日本人は「楽・得」好き?生活者に適したコミュニケーションデザイン
「デカボスコア」は、導入された商品やサービスを選択・購入する消費者にとって、「脱炭素化に貢献しているという実感」が得られるように設計された。
そのポイントは、CO2の「削減量」の表記から、「削減率」の表記に変えたことだ。
「従来、消費やサービスにおいてCO2の排出量を削減したことを消費者に伝える際、『○○kg削減した』とそのまま表記することが一般的でした。ただその数字を見て、どのくらいすごいことなのかわかる人はほとんどいません。そこでデカボスコアは、誰でも貢献度の見当がつきやすいように『(従来品と比較して)〇%off』と削減率を伝えることにしたんです」(関根さん)。
また日本が掲げる2030年までの温室効果ガス(CO2 も含まれる)の排出削減目標が「マイナス46%(2013年度比)」であることから、国の目標と個人の目標の単位をすり合わせる意図もある。
また「○ %off」という表記は、「カロリー〇%off」「糖質〇% off」などの表記と同様に、日本の消費者への訴求力があるという。「面白い調査があります。世界5カ国・6地域、4500 人を対象とした『社会課題解決に関わる行動』についての調査をまとめたレポート(発行:SIGNING)によると、社会課題解決に結びつく『正しい行動』を日本の人々が起こす際のきっかけは、『楽・得』が特徴的なんだそうです。政治的・宗教的背景などさまざまな理由があるかもしれませんが、手がかからずお得感のあるものが合っているのかもしれません。国民性を理解することは、社会的テーマへのアプローチを考える際にとても重要です」。
- ……続きは誌面でご覧ください。そのほか、下記の内容についても掲載しています。
- ・上島珈琲店の場合
- ・ラジオで「デカボタン」連打で「デカボ褒め」
- ・コミュニケーションの力を用いた日本らしい脱炭素化の形
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Earth hacks
代表取締役社長
CEO
関根澄人さん
月刊『ブレーン』2023年11月号
- 〈巻頭特集〉
- 地球環境と向き合う
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- 【TOPICS】
- ドール「もったいないバナナ」プロジェクト
- 三井不動産「KISARAZU CONCEPT STORE」
- Earth hacks「デカボスコア」
- 大丸有エリア マネジメント協会 「Ligaretta」
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- 佐藤カズー(TBWA\HAKUHODO)
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