日本デザイン振興会は10月5日、2023年度「グッドデザイン賞」の大賞候補となるファイナリスト5点などを発表した。大賞候補となったのは、パナソニックの電動シェーバー「Panasonicラムダッシュ パームイン ES PV6A」、トヨタ自動車「プリウス」、千葉・八千代市の老人デイサービスセンター「52間の縁側」、日本放送協会「NHKシチズンラボ」、徳島・神⼭町の「神⼭まるごと⾼専」。大賞はこの中から10月25日に発表される。
本年度のグッドデザイン賞は1548件、1068社が受賞。5447件が審査対象となった。本年度の特徴として、生成AI関連の受賞が見られた。上位100点の入賞作の中にも、画像生成AI「Stable Diffusion XL」(Stability AI Japan)、視覚障害者がレースを楽しめるよう実況音声を生成するAI「Voice Watch」(電通)などが入っている。
今回の審査テーマは「アウトカムのあるデザイン」。アウトプットとしてのデザインだけでなく、デザインを生み出すプロセスにも着目し、創造の根底にある哲学や挑戦などを読み解こうという考えを打ち出している。
近年はプロダクトのデザインに限らず、形のない「コト」のデザインの入賞が目立っている。審査委員長の齋藤精一氏は「モノかコトかという議論はやめよう」と考え、あらゆるデザインが生まれるプロセスや背景に目を向け総合的に捉えようという方向を打ち出した。
「グッドデザイン賞は海外のデザイン賞と比較して、“社会的コンテキスト”を重視している点が特長的。あらゆるデザインにはプロセスがあり、どんな人が関わりどのようなルールで制御されているのかに着目して審査を進めてきた。今回はコロナも明け、10月25日から始まる受賞作品展も入賞した全作品の展示が可能となった。アウトプットがモノであってもコトであっても、その背景や周囲にあるたくさんのデザインを見ていただけたら」(齋藤氏)。
今後、全入賞作は10月25日から同29日まで東京ミッドタウン内で開催されるグッドデザイン賞受賞展にて展示される。
2023年度グッドデザイン大賞候補
・パナソニック「Panasonic ラムダッシュ パームイン ES-PV6A」電動シェーバー
・トヨタ自動車「プリウス」乗用車
・オールフォアワン+⼭﨑健太郎デザインワークショップ「52間の縁側」老人デイサービスセンター
・日本放送協会「NHKシチズンラボ」市民科学プロジェクト
・学校法⼈神⼭学園(徳島県)+神⼭町(徳島県)「神⼭まるごと⾼専」学校をつくるプロジェクトの集合体