審査員に聞く!宣伝会議賞にまつわるQ&A
Q9.「宣伝会議賞」では、書いた作品を見返す時間はどれくらい取っていましたか?
A.最後の数日、言い回しを再考します。ぐっと良くなることがあるので(渋谷氏)。
見返すことにはほとんど時間を使いませんでした。その代わり、最後の日に書いたものをすべて見返して、気になる点を一気に直しました。ある程度時間を置かないとコピーを客観的に判断できないので、このようなやり方にしていました(日野原氏)。
Q10.グランプリが狙いやすい課題というのはあるのでしょうか?
A.私だったら、商品名だけでどんな商品かがわかる課題を選びます。グランプリについては、実力はもちろんのこと、課題や審査員や応募作や時代…全てをひっくるめた運の要素も大きい。だからこそグランプリは尊いんですよね。憧れます(渋谷氏)。
すべてはコピー次第。課題によって左右されることはないと考えて、いったん全課題考えてみることをおすすめします(日野原氏)。
Q11.今回のキックオフでのお話は、コピーというものに向きあう純粋な心構えでもあると思うのですが、一方で業務上チームメンバーとしてコピーに向き合う時との違いや、心がけていることなどはありますか?
A.チームで動く場合は柱になる言葉を書くことを意識します。プレゼンの指針になったり、企画の軸になったり、チームの向かうべき方向を指し示す言葉です。その場合は表現よりも分かりやすさを大切にします(渋谷氏)。
カヤックの場合は「面白法人」という屋号を掲げているので、その名前に負けない仕事を心がけています。「面白」の定義は幅広いですが、独自の着眼点で人の心を動かし、課題解決につなげる、ということを意識してコピーや企画を考えています(日野原氏)。
Q12.40歳の未経験コピーライター志望なのですが、どの求人を見ても「実務経験3年以上」と書かれています。この場合、どうやってコピーライターになればいいのでしょうか?
A.質問いただいた方がどんな方かがわからないので、どうお答えしたらよいか…難しいですね。私の場合、就職は新卒で広告会社に入りましたが、マーケティング配属だったため、コピーライターになるには転局試験をパスする必要がありました。その準備のためにコピーライター養成講座に通ったり、宣伝会議賞などの公募に応募したり、社内外のコピーライターに話を聞きに行ったりして、なんとかしてコピーライターになろうともがいた時期があります。それが今につながっているという実感はあります。道は人それぞれだと思います(渋谷氏)。
コピーライター養成講座に通っていた同期のメンバーに、似た境遇の人がいました。その人は、講座で書いたコピーや、宣伝会議賞に応募して通過したコピーをポートフォリオにまとめ、未経験者を募集していない広告会社に送って必死に熱意を伝えていました。その結果、みごとコピーライターとして採用されました。会社との相性もあるとは思いますが、少しでも参考になればうれしいです(日野原氏)。
Q13.コピーライティングの技術を、普段の会話やプレゼンなどで活用や応用されることはありますか?
A.普段の会話がもっとうまくなればいいのにと思いますが(笑)、全般的にコピーライターというのはそんなに話し上手な人種ではない気がします。不安があるからこそ、発信する言葉にじっくり向き合おうとするのではないでしょうか。
プレゼンは、「面白い企画を面白くなく説明することはできない」という岡康道さんの言葉を信じて、まずはとにかく企画を磨き、本番はゆっくりわかりやすく話すことだけを心がけています(渋谷氏)。
最近ダイエットをしようと思い立ったのですが、三日坊主に陥らないために「役づくりダイエット」という言葉を考えました。
自分は役者で、3ヶ月後のクランクインまでに体を絞らねばならない。しかも監督は大ファンのあの人で……そんな思い込みから、なんとか運動を続けられています。自分にとってはこれもコピーの技術の応用だと言えます(日野原氏)。
――キックオフイベントの様子は、宣伝会議賞特設サイトにてアーカイブ配信しています。
- 「その言葉が、未来を変える。」
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「宣伝会議賞」は、広告表現のアイデアをキャッチフレーズまたは絵コンテ・字コンテという形で応募いただく公募広告賞です。1962年の創設以来、「コピーライターの登竜門」として長年にわたり、若手のクリエイターやクリエイターを目指す方々にチャンスの場を提供してきました。60万点近くの作品が集まる、“日本最大規模の公募型広告賞”として進化を続けています。
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