野菜をとることの情緒的な価値にこだわるGreenspoonのマーケティング戦略

生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。
※本記事は月刊『宣伝会議』10月号の転載記事です。

Greenspoon マーケティング責任者 三原壮太郎氏

Greenspoon
マーケティング責任者
三原壮太郎氏

 

心と身体の健康に寄与するウェルネスブランドとして急成長

「たのしい食のセルフケア文化を創る」をビジョンに掲げ、2020年3月にサービスを開始した「GREENSPOON」。そのユーザーごとに適したスムジー・スープ・サラダなどが届く定額制の宅配食サービスを提供している。

現在では、スムージー、スープ、サラダ、2023年6月からはメインディッシュの4種類から計40ラインナップ以上をリリース。会員数は約8万人(2023年8月時点)となっている。心と体の健康を保つウェルネスブランドとして、ローンチから約3年で急成長を遂げているサービスだ。

創業者の田邊友則氏は、新卒で入社したサイバーエージェント時代、多忙で自分の健康や食生活に気遣う余裕がまったくなかったという。退職後、海外滞在中に出会った人たちとの対話から、自分の体に気を遣うセルフケアの重要さを実感。帰国後、野菜を簡単で手軽においしく摂ることができるサービスをつくろうと思い立ち、Greenspoonを創業した。

「セルフケアに気を使うことで自己肯定感も高まり、自分を好きでいつづけけられる」という考え方は、ブランドミッション「自分を好きでいつづけられる人生を」につながっている。

写真 商品・製品 GREENSPOON
ローンチから3年で累計会員数8万人を突破した「GREEN SPOON」。

パッケージから調理工程まで情緒的な価値にこだわる

マーケティング責任者の三原壮太郎氏は、Webマーケティングを軸に新規顧客の獲得を担当している。三原氏が同社に入社した2020年は、初の商品である「パーソナルスムージー」が完成し、販売開始を控えたタイミングだった。まず三原氏が着手したのは、同僚や知人らにテストマーケティング的に購入してもらうことだ。田邊氏とサイバーエージェントの同僚だった三原氏は次のように振り返る。

「当時の想定顧客は、『野菜を摂ることが難しい』という創業時の田邊と同じ悩みを抱えている人、忙しく働く中でも、健康に気遣いたいと願う僕ら自身です。自分たちのペルソナに近いサイバーエージェント時代の同僚や友人など約300人に購入してもらい、フィードバックをしてもらいました。嬉しかったのは『自分の身体によいことをしている実感がある』という言葉。まさに僕らが実現したかったことでもあり、今の僕たちのコアにもなっている価値です」。

野菜を摂るという行為を“必要だから食べる”から“美味しい上に、楽しくワクワクするから選り好んで食べる”にしていきたい。そのような情緒的な価値を創出するために、他では見ない容器や、そのパッケージデザインには、実際の野菜やフルーツの写真などではなくポップなイラストを配している。

……この続きは月刊『宣伝会議』10月号で読むことができます。

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