【前回コラム】25歳、初オーディションで『仮面ライダー』ウォズ役に(渡邊圭祐)【前編】
今回の登場人物紹介
※本記事は2023年6月18日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
「イケメン」ゆえの減点人生?
中村:10代の時から高身長でイケメンマスクだったわけじゃないですか。
渡邊:はい(笑)。
澤本:いいですね!はいって(笑)。僕ら「はい」って言ってほしいんです。そんなことないですよって言われたら傷つくんですよ(笑)。
全員:ははは!
中村:お顔の端正さゆえに困ったり、人生楽勝だったり、そういったエピソードってありますか。
渡邊:「人生楽そう」には見えるかもしれないですね。10代の頃は特にチヤホヤともてはやされることも多かったですし。ただその分、プレッシャーも大きいんです。中学生や高校生の頃って、運動できる人がかっこいいと思われるじゃないですか。ちょっと外見がいいと運動もできて当たり前だと思われて。
中村:たしかにできそうですよね。
渡邊:レッテルがまず貼られて、そのハードルをどう超えていくかが問題になってくるんです。
中村:あ〜。期待値コントロール。
渡邊:そうです。
中村:こんなにイケメンで高身長なのに、マラソンでハァハァ言っててビリの方だとちょっとバランス崩れちゃうぞ、と(笑)。
渡邊:勝手に幻滅されることがすごく多いですね(笑)。
中村・澤本:あはははは!
渡邊:最初の期待値がやはり高い分、人生が減点式なんですよね。なので、どこでどうやって加点を増やしていくかをものすごく考えて過ごしていました。高校1年生の時は減点されすぎて、クラスの女子にものすごく嫌われていましたね。
中村:減点式だからもう最初の好感度が10点満点に近くて、そこからの一挙手一投足が幻滅させていったんですかね。
渡邊:なんだかわからないですけど、7点くらい一気に引かれました(笑)。
澤本:なんでなんで?
渡邊:僕もいまだにわからないんですが、何をしてもかっこつけてるって言われるようになったんです。僕の通っていた高校は、地元から地域が少し離れていたので、中学からの友達が少なくて。顔見知りがほとんどいなかったので、早めに学校に行けば同じく早く来ているクラスメートと喋れるんじゃないかと思って、そうしていたんです。
澤本:健気だ……。
渡邊:でも他はそれぞれ顔見知りなので、そこでもう輪ができてしまっているんですよ。これなかなか入りづらいなと思っていて。しかも僕「渡邊」なので席も後ろの端っこの方だし。
中村:あ〜出席番号的に!
渡邊:そうです。だから席に座って携帯をいじりながら人を見てたんですよ。そしたら何か勘違いされたみたいで「あいつはいつもかっこつけてる」って広まっちゃって。女子と会話した記憶はもう先輩しかないですね(笑)。
澤本:あはは。本当ですか?
渡邊:はい。本当になんかすごく嫌われた人生です(笑)。
澤本:なんかさ、すごく楽しいね(笑)。
全員:あはははは。
澤本:いや、こんなに外見が素敵で、でも悩みをちゃんと喋ってくれる人はなかなかいないじゃない。
中村:そうそうそう。「いや普通ですよ」みたいなね。「全然モテませんでした」ってみんな言うけどそんなの嘘だから。
澤本:これはリアルですね。減点式の人生って納得感があった。僕らみたいな人間は、大体加点しようとしていくんですよ。今これしかないから、どうやって加点しよう?って。もともと満点だとちょっと大変ですよね。
中村:厳しいですよね。
渡邊:でも高校1年生の時にものすごく減点をされた分、2年生になってクラス替えがあり全然違う女子たちと一緒になったら「思ってたよりいい人じゃん」って加点式になりました(笑)。
中村:あ〜〜なるほどなるほど(笑)。
渡邊:一回下がったから加点する余白ができて加点された。ようやくそこから話すようになりました。
澤本:え〜。大変なんだね、人間ってなんか。ご両親もかっこいいんですか。
渡邊:どうなんですかね。個人的には綺麗なんじゃないかなと思っています。
澤本:じゃあお父さまもやっぱり減点の人生を歩まれたんですかね。
中村:そういう話したことないですか?
渡邊:その話はしたことないんです。俺の血のおかげだなって自慢げですけど(笑)。
澤本:そんな渡邊青年は、何か部活はしてましたか?
渡邊:僕は小中高とバスケ部でした。
澤本:高身長を活かして。
渡邊:はい。もともと背は低かったんですけど、中学生で22センチ伸びて。やっぱりジャンプするのが良かったんですかね。
澤本:本当にバスケすると身長大きくなるんですかね。
渡邊:ポジションによると思います。
澤本:本当ですか。
渡邊:『SLAM DUNK』で言うと「宮城リョータ」がやっているポイントガードというポジションは、飛び跳ねるというよりかは這いつくばるイメージなので、多分そこまで伸びないんです。でも「赤木剛憲」(通称「ゴリ」)のセンターというポジションだと、跳ぶわ走るわで上に上に力がすごい働くので、大きくなれるんじゃないかなって僕は思っています。
中村:いいですね、このマイペースなトークが。
澤本:聞いていて心地いいですね。この何も無理しないで喋ってくれている感じ。
原作ものの役づくり、どうしてる?
中村:『仮面ライダージオウ』で大ブレイクして、最近で言うとドラマ『恋はつづくよどこまでも』(2020年、TBS)ではヘタレ看護師、『MIU404』(2020年、TBS)では怪しい動画投稿者、『恋はDeepに』(2021年、日本テレビ)では東大卒のエリート社員、そして2023年3月公開の映画『わたしの幸せな結婚』では御曹司役と、ミステリアスだったりあまり普通じゃない設定の役が多いですよね。演じるのが大変そうだなと思うんですけど、どうやって役づくりされているんですか?
渡邊:原作があるものも多いので、その場合は原作を読み込みます。映像化するとどうしても切らなきゃいけない部分があるので、脚本と原作との整合性をどうやってつくるかを考えながら読み込んでいます。あと原作がある作品だと、原作を読んだ方がキャラクターに対してどんな印象を持っているのかをネットで調べることもあります。それを参考に、自分の中で枠組みをつくっていっています。
澤本:『わたしの幸せな結婚』の役だと、「好き」って思う視聴者もいれば、きっと反対に戸惑いを感じる方もいるじゃないですか。前者も後者も、どういうところに対してそう思っているのかを調べているってことですかね。
渡邊:そうですね。事前に調べています。嫌だって言われている部分の場合は、それがその役にとってプラスになりそうならそのまま採用するんですけど、そうでない場合は役に反映しなかったりもします。その役をつくる上で「これ要らない情報なのかも」って思ったら、そういう印象を持たれないように工夫しています。
澤本:僕は『わたしの幸せな結婚』すごく好きでしたよ。監督は、『MIU404』にも携わられている塚原あゆ子さんで。すごく丁寧でよかったし、今田美桜さんもうまいなと思って見ちゃった。ご本人の美しさがより際立っているなと。ああいった漫画原作のものってちょっと割り引いて見ちゃうこともあるんですけど、あれを見た時は「めっちゃいいな」と思いましたね。
『仮面ライダージオウ』では「天魔王」をイメージ
中村:俳優さんってやっぱり人気商売でもあるので、指名されやすいように「渡邊圭祐ここにあり」とアピールしたい想いもあるし、でもさっきの話のように視聴者の夢を壊さないように原作に基本忠実にやらないといけないわけじゃないですか。そのバランスって非常に難しいんじゃないかなと思うんですが、そのジレンマはないんですか?ちょっとここは自分出しちゃうな、みたいな。
渡邊:僕はあまりないかもしれないです。あくまでも原作ファーストで、原作内での役の存在感や役割を大事にしたいし、原作でしないことを映像でしてはいけないと思っているので。いくら僕の中で1本筋を通して役に対する整合性をつくっても、それが原作のキャラクターと違っていたら、原作ファンの方が怒るのは当たり前じゃないですか。
もちろん原作を好きな方全員に「素晴らしかった」と言っていただけることはなかなかないと思うんですけど、そう言っていただくことが目指すべき場所だと思っています。映像にする上で大事なのは、原作を知らない方に原作に興味を持っていただけることだと思っているので、原作がある時はエゴはできるだけ隠す方かもしれないです。
中村:『仮面ライダージオウ』のウォズ役の時は、何か参考にしたキャラやイメージしていたものってありましたか?
渡邊:当時はそこまでわからなかったんですが、何となく自分の中でイメージしていたのは、劇団☆新感線の『髑髏(どくろ)城の7人』の「天魔王」です。
中村:なるほど。はいはい。
渡邊:僕が初めて見た舞台がそれだったんです。すごく面白かったし、天魔王が僕の中ですごく魅力的に映って。その後に、『仮面ライダージオウ』のお話をいただいて、ちょっとだけイメージを重ねてやりました。
中村:へえ〜面白い。その時は古田(新太)さんじゃないですよね?
渡邊:僕が見た時は早乙女太一さんでした。殺陣がものすごく綺麗でめちゃくちゃかっこよかったです。
中村:CMも含めて、なにか印象に残っている作品や現場ってありますか?
渡邊:印象に残ってる現場……やっぱり『仮面ライダージオウ』です。どこをとっても刺激しかなかったので。
中村:初めてなのはもちろんですけど、CGが入らないとよくわからない作品だったというのもありそうですね。
渡邊:そうですね、変身のエフェクトだったり。あとウォズは、自分が巻いているスカーフに巻かれて姿を消す、というシーンが結構多かったんです(笑)。
中村:はははは! たしかにそんな役でしたね!
渡邊:持っているマフラーを目の前にぺって投げて、そしたら映像から消えるってどういうことなんだろう?と思ったりしていました。
澤本:「はいカット!OK!」って言うけど「OKなの?何がですか?」みたいなね。
渡邊:こちらとしては「え?」ってなる部分も多かったし、はじめてだからこその戸惑いもあって、すごく印象に残っています(笑)。
「高嶺の花すぎて」モテなかった、と思いたい
中村:俳優さん同士のコミュニティや仲の良い方っていらっしゃるんですか。
渡邊:僕、少ないんですよ。すごく少なくて、これ何でなんだろうなって思ってるんですけど(笑)。友達ってどうやってつくるんだっけ?って状態です。
中村・澤本:あはははは。
渡邊:『仮面ライダー』に出ている俳優さんって積み上げてきたキャリアがわりと少ない方が多いので、ライダーで一緒だった人も僕も同じスタートラインで走り出して、各々がいろんな作品に出て交友関係を広げている印象を受けるんですけど。
中村:それにひきかえ。
渡邊:僕という人間は、仙台にしか友達がいないぞっていう(笑)。もちろん連絡先を交換したり、ご飯行こうよって言ったりしている方々はいるんですけど、「仲良しです」って胸を張って言える関係値の人がそこまで多くない。
中村:「LINE交換しようよ」もあまり言わない方ですか?
渡邊:僕デビューして5年ですけど、自分から連絡先交換してくださいって言った人は多分数人しかいないですね。ほとんどいないです。向こうが好いてくれていたら聞いてくれるかなって思っちゃうんで。
澤本:そうですよね。
中村:まあそうですよね。多分そういう人生を歩まれてきましたよね。告白されたことありますか? 告白した回数と告白された回数を教えてください(笑)。
渡邊:回数自体は覚えてないんですけど、多分トントンぐらいだと思います。
中村:え、本当!?
渡邊:僕、一切モテてこなかったんです(笑)。
中村:え〜!
渡邊:まず僕の「モテてる」の定義をお話していいですか?
澤本:もちろん。
渡邊:僕の中の「モテてる」って、すごく告白されてきたり、バレンタインのときにものすごい数のチョコをもらったり、そういうエピソードがある人が、僕は「モテてる」って言っていいと思ってるんです。
中村:そう思います、はい。
渡邊:で言うと、モテていないんです。
中村:それはないんだ。
渡邊:そうなんですよ。
澤本:下駄箱を開けたらチョコがザーッと落ちてくるみたいな。
渡邊:ないです、ないです。1人だけ心がウキウキしている状態で下駄箱開けていただけです(笑)。あるかなってちょっと期待してるんですよね(笑)。
中村:おっ、親近感湧いてきたぞ!
渡邊:「下駄箱にはない、じゃあ机かな」って机に座った時にさりげなく引き出しの中に手入れてみたり、寂しくやってました。だから自分で言ってました、「高嶺の花すぎた」って(笑)。
澤本・中村:あははははは!
中村:自分で言うところがいいですね。
澤本:でもそうでしょ、多分。
渡邊:そうだと思いたいだけなんですけど(笑)。
中村:きっとなにかあるんでしょう、ATフィールド(『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するバリアの名称)みたいなのが。
渡邊:たしかに仲の良い人からも近寄りがたいとは言われるんです。仙台ってアーケードと言われる1本道が街の真ん中にドーンと通っているんですけど、そこを歩いてるときに声をかけづらいって言われたことあります。僕は普通に音楽聴いて歩いているだけなんですけど。「人間性を知っていても声をかけづらい」とはよく言われますね。
中村:宮城県の旧友とはマメに連絡取るんですか?
渡邊:マメには取っていないですね。でも僕が仙台帰る時に連絡をしたら、大体夜は時間を空けてくれるので、帰省したら毎日のようにメシ行ったり飲みに行ったりしてますね。
やったことないことに果敢に挑戦したい
澤本:普段プライベートでは何をしているんですか?
渡邊:仙台時代の知り合い繋がりで仲良くなった人たちと飲みに行ったり、喫茶店に行ったり、買い物したり、普通の休日の過ごし方です。
澤本:映画も観るんですか?
渡邊:映画も観ます。今年はあんまり観れていないんですけど。
澤本:今まで観たなかで、好きな映画や印象に残っている作品はありますか?
渡邊:『スカーフェイス』(1983年)です。あまりに好きすぎて、観るわけじゃないけど、とりあえず流すこともよくあります。
『スカーフェイス』を流して洗濯物をたたむなり、ご飯を食べるなりしていて。作業用BGMじゃないですけどなんか環境音として流していますね。それくらい好きな映画です。マフィアのような日本にない環境に僕は憧れやすいのか、そういう映画が好きな傾向にあります。
澤本:ハリウッド系のマフィアものって言うと変ですけど、ゴットファーザー的なものも見られるんですか?
渡邊:それも見ます。
澤本:ハリウッドでやっているマフィアものの日本の人ってさ、本当に頭脳派で、何の感情もなく人殺すやついるじゃないですか(笑)。
中村:そうですね。バーンって撃ったあとに眼鏡をクイッて上げる感じ(笑)。
澤本:あと前面で活動はせずに裏の方で佇んでいるんだけど、実はものすごく悪いことを考えている奴とか(笑)。渡邊さん合いそうですよね。
渡邊:やりたいですね。ちょっと売り込んでみよう(笑)。
全員:あはははは!
中村:そして今後チャレンジしてみたいことはなんですか?
渡邊:まだ俳優になって5年なので、やっていないことの方が多いんです。なのでそのやったことないことをすごくしたいです。たとえば時代劇だったり。日本の歴史的な作品に携われたらうれしいです。あとやっぱり仙台出身で仙台大好き人間なので、伊達政宗とかやりたいなと。
澤本:でも伊達政宗感あるよね。
中村:独眼竜っぽい。
澤本:ちなみに舞台はどうですか?『アンナ・カレーニナ』(2023年2月上演)を観ましたけどもうやられないですか?
渡邊:舞台もやっていきたいです。すごく楽しいし、一番この仕事について考える時間があるなと感じて。やっぱどうしても映像になると、瞬発的に自分で考えてやることの方が多いと思うんです。でも舞台は演出家と自分とキャストの皆さんと一緒にそのシーンについて考えてつくり込んでいくことができます。そうやって時間をかけてひとつのシーンを紐解いていくのはめちゃくちゃ勉強になるので、やっていきたいです。
澤本:観に行った舞台も宮沢りえさんとか、もうすごい人ばっかりだったので、よくあの中でできるなって思いましたね。
中村:プレッシャーとかは感じないですか?
渡邊:プレッシャーをそこまで感じる方ではないです。でも相手役の宮沢りえさんは引力がすごい方で、目を奪われてしまうんですよね。なので、一緒に並び立ったときに、役としても役者・渡邊圭祐としても、その引力に負けないようにしなきゃというのはありました。そこで負けてしまうとどうしても作品の中の関係値が損なわれてしまうので、そこは作品をつくる上で意識していました。
澤本:舞台もぜひまた楽しみにしています。
渡邊圭祐の友達、募集しています!
中村:というわけでそろそろお別れの時間が近付いてきていますが、渡邊さん何かお知らせはありますか?
渡邊:はい。友達を募集しています(笑)。
中村:渡邊圭祐さんのお友達になりたいと思った方、特に俳優など同業の方々を中心として募集していますので、ぜひこれを聞いた方は渡邊圭祐さんのSNSアカウントか事務所か、『すぐおわ』まで連絡をください(笑)。
澤本:そうですね、僕たちのX(旧Twitter)にも「渡邊さんと友達になります」とリプライしていただけると。
中村:横流ししますんでね。
澤本:どれくらいの人が友達になりたいというのか数が計測できますね。
渡邊:ゼロだったらどうするんですか(笑)。
全員:あはははは。
中村:というわけで、今夜のゲストは俳優の渡邊圭祐さんでした。ありがとうございました!
(拍手)
〈END〉