宣伝会議賞の「企画意図」が実現のきっかけに!朝日酒造が料理教室を開催

9月30日、第60回「宣伝会議賞」、朝日酒造の協賛企業賞受賞作品を基にした料理教室イベントが都内で開催された。実現のきっかけとなったのは、応募時に記入された「企画意図」。本記事では、同イベントの様子をレポートする。

重視した「日常生活で体験可能」という切り口

朝日酒造が主催した料理教室「この一皿、どう楽しもう?」は、第60回「宣伝会議賞」の協賛企業賞を起点に企画されたイベントだ。

同社の課題は、「20代・30代の若年層が日本酒『久保田 千寿』に興味を持って飲みたくなるアイデア」。

同社の渡邉大輔氏は協賛の背景について、「私たちは日々、若いお客さまにも朝日酒造の商品を選んでいただくために奔走しています。しかしながら、若いお客さまが日本酒に対して、あるいは久保田に対してどのような認識を持っているのか、深く理解する活動が不足している課題感がありました」と話す。

そこで、20代・30代が応募者層の約6割を占める「宣伝会議賞」への課題協賛に至ったのだという。

「応募いただいた作品を見た最初の感想は、『久保田 千寿』の捉え方にたくさんの視点や文脈があるのだということでした。さらに、じっくり見ていくと“なるほど”と思える、私たちも気づいていなかった発見があったり、“たしかに”とうっすら感じていた認識が強化されていく感覚になりました」(渡邉氏)。

協賛企業賞の選定にあたって重視したのは「『久保田 千寿』に込めた想いを汲んでいること」、「『久保田 千寿』の価値の認識につながること」、そして最も大切にしたという「日常生活で体験可能で再現性があること」の3点。受賞作品の「日本酒を添える、というのが今日の隠し味だ。」はまさに、日々の生活に溶け込む日本酒の姿が表現されている。

「隠し味」という言葉にたどり着いた背景

協賛企業賞を受賞した百石奈央氏は、作品が生まれた背景について次のように話す。

「もともと日本酒が大好きで、友人たちと朝から晩まで日本酒を飲むための旅行をしたこともあるほどでした。受賞した作品を思いついたのは『久保田』を飲みながらコピーを考えていたとき。トリガーになったのは、食事をする際の自分の癖に気づいたことでした。頭の中で、『これを食べて、その次にお酒を挟むとこういう味になるから、その次にこのおかずを食べると美味しいはず…』と自分の頭の中で食べる順番をシミュレーションしていたんです。知らず知らずのうちに日本酒で味変を試していたんだな、と気づき、『味変』という言葉をきっかけに、もっと食事や料理の風景を細かく想像していって、『隠し味』という言葉にたどり着きました」(百石氏)。

このとき、同課題で朝日酒造から提示されたオリエンテーションには「企画意図も重視します。そのアイデアを生かして20代・30代のお客さまに実感してもらう方法も企画意図にご記載ください。」とあった。そこで百石氏は、コミュニケーションプランとして「料理教室の開催」を記入。贈賞式後、朝日酒造の渡邉氏から声がけがあり、実現に至ったという。

「課題の『久保田 千寿』は、食事と合わせることを追求したお酒。おいしく簡単につくれる料理に『久保田 千寿』が合うんだったな、という思い出があれば、日常生活のなかでも自然と連想してもらえるのではないかと考えました」(百石氏)。

日本酒と料理をつなぐランチョンマットを制作

イベント当日は同社メールマガジン「KUBOTA MAIL NEWS」 会員のなかから抽選で選ばれた12名が参加し、料理づくりと「久保田 千寿」を含む5種の「久保田」とのペアリングを体験した。

メニューは料理家・ぐっち夫婦が提案する「青のりとクリームチーズのポテトサラダ」「白桃とちぎりモッツァレラのレモンマリネ」「アスパラとえびの旨塩炒め」「チキンとネギのバゲットのせ」の4品。いずれも手軽につくれるものばかりだ。

そして今回のイベントでは、コンセプトを視覚的に印象付けたいとランチョンマットが制作された。

デザインを担当したのは木村ちひろ氏。百石氏と木村氏は、宣伝会議の講座「コピーライター養成講座×アートディレクター養成講座『アートとコピー』コース」の受講生でもある。

「木村さんは1期生、私は2期生で直接の面識はありませんでしたが、SNSでつながっていて、お仕事なども拝見していました。私が『宣伝会議賞』の結果をSNSでポストした時、木村さんが『日本酒ってそのまま飲んでも美味しいけど、食事と一緒だと旨味倍増しますよね』とコメントをくださって、共感のあまり強く印象に残っていたんです。その後料理教室イベントの詳細を決める際、日本酒愛が強い木村さんに入っていただけたらとてもいい化学反応が起きそうだと思い、お声がけしました」(百石氏)。

木村氏はこの時のやりとりについて、「私は日本酒が大好きなので、誰かにすすめるとしたら日本酒そのものの良さを伝えます。でも百石さんのコピーは、日本酒のコピーなのに『日本酒は主役じゃなくてもいい』という切り口でその良さを伝えていて、その柔軟さすら日本酒っぽい!と思いました」と振り返る。

ランチョンマットのデザインは、「相乗効果のある日本酒と料理の関係」を表現するため、食器と酒器を乗せたときに赤い糸で結ばれるようなレイアウトにした。

「朝日酒造の渡邉さんから、お土産として家でも使ってもらって、日本酒はさまざまな料理に合わせていいことを思い出してもらえるように、という要望がありました。そのため、どのような食卓でも使いやすいようなシンプルなデザインに。また、今回のイベントの目的である『日本酒が引き立てる楽しい食卓』の雰囲気を大切に、コピーや“日本酒感”を大きく押し出しすぎないようにしました」(木村氏)。

料理教室を終え、百石氏はこう振り返る。

「受賞だけでなく、その後のご縁でこうしたイベントを開催していただけたのは、本当に貴重な機会でした。参加者の皆さんが『おいしい』『楽しい』『家でもきっと試します』と言ってくださったことは、ずっと大切に覚えています。たった一文のコピーからの広がりを今回体感したことで、コピーの面白さを改めて感じました」(百石氏)。

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写真 人物 集合 (写真左から)ぐっち夫婦、百石奈央氏、渡邉大輔氏、木村ちひろ氏
(写真左から)ぐっち夫婦、百石奈央氏、渡邉大輔氏、木村ちひろ氏。
実データ グラフィック 参加者に配られたランチョンマット。
参加者に配られたランチョンマット。料理と日本酒を赤い糸で結ぶ。
写真 手軽につくれる料理4品と、「久保田 千寿」はじめ5種類の「久保田」とのペアリングを楽しんだ。
手軽につくれる料理4品と、「久保田 千寿」はじめ5種類の「久保田」とのペアリングを楽しんだ。


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