大阪のライブで見た、神秘的な光景が忘れられない (櫻坂46・藤吉夏鈴)【後編】

【前回コラム】何もしたいことがなかった学生時代に見つけた「坂道オーディション」(櫻坂46・藤吉夏鈴)【前編】

今週のゲストは、前回に引き続き、櫻坂46の藤吉夏鈴さん。『Start over!』で初の表題曲センターとなった彼女のステージでの忘れられないエピソードは、ファンの皆さま必見です。

今回の登場人物紹介


写真 人物 (左から) 澤本嘉光、中村洋基、櫻坂46 藤吉夏鈴

※本記事は2023年7月2日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

渋谷に戻ってきた櫻坂46が

権八:『Start over!』のジャケット撮影はどうでしたか?

藤吉:すごく楽しかったです。

権八:ADがたまたま僕らの仲間でして。柴谷麻以さんっていう、はしゃいでるアートディレクターの人。いましたよね。大丈夫ですか?

藤吉:大丈夫ですか?(笑)

権八:あはは!

藤吉:いやすごく楽しかったです。

中村:楽しかったですか。

藤吉:なんかこの新しい手法というか。

澤本:そう、NeRF(ナーフ)とか。

藤吉:あ、NeRFですね。NeRFとかがすごい面白かったですね。撮影風景もいつもと違っていて。

中村:どういう手法なの?現場では何が起きてるのこれ。

藤吉:グリーンバックみたいな。

中村:ああそうなんだ。

藤吉:白背景みたいなので撮って、普通に撮影していくんですけど、数枚撮り終わったら3人くらいに動画を回していただくんです。私たちはポーズして止まって360°撮影して。後日できたのがこれでした。

権八:なるほど。

中村:あれだ。3Dスキャニングを同時にやってるんだ。

だから同時にCGを3D的に乗っけて、どこまでが現実でどこからがCGなの、みたいな感じのジャケットビジュアルになってますね。

権八:またグループが渋谷に戻ってきたみたいな意味合いがあるのかしら。もともと渋谷で始まった欅坂46がまた渋谷にちょっと戻ってきたのかな?と、そんなような風にも見えるっていう。やり直すって、意味の曲だし。なんつって。

藤吉:やり直す……。

権八:歌詞がやり直しだから、再構築。

中村:なんていう深読みも。

演技にもどんどん挑戦したい

権八:藤吉夏鈴ちゃんの演技がうまいっていうのネットでも話題じゃないですか。『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日)の「あざと連ドラ」でも演技がめっちゃ話題になってますよ、と。これは急に「私、演技やりたい!」みたいなことになったんですか?

 

藤吉:これは番組の方から「演技やってみない?」とお話をいただいて。でも当時は演技もまったくやったことがなかったですし、それこそマネージャーさんの方が不安がってた気がします。「夏鈴にはできるのか…!」みたいな。あっちで頷いてますけど(笑)。

権八:演技経験もなく。

藤吉:そうです。急にできるのかという。もちろん私も不安でしたけど、マネージャーさんがとにかく不安そうでしたね。

澤本:実際にやってみてどうでしたか?感想は。

藤吉:すごく楽しかったですね。このお話をいただいた時、実は何に対してもあんまりワクワクしなくなってしまっていた時期で。そういう時ってあるじゃないですか。

権八:ありますあります。

藤吉:そのなかでやってみて、なんか久しぶりにこんなにワクワクというかウキウキして、その感覚を取り戻せたことが嬉しかったですね。感謝です。感謝しています。

澤本:例えばカメラ向けられてもそんなに意識しないってMVの時は言ってたじゃない?ドラマの時もそうでした?

藤吉:そうですね、わりと素に近い感覚というか。番組自体も結構リアルじゃないですか。

澤本:はいはい。

藤吉:ドラマや映画とはまた違うリアルに近い感じだったので、私もそのままというか、わりと構えずにやってた感じでした。

権八:演じたのはあざといキャラなんですか?

藤吉:まったくあざとくなくて。かけ離れてる方でしたね。

権八:であればなんだかいけそうな気もしますね。

藤吉:そうですね、やりやすかった気もします。

澤本:でも逆に、すごいあざとい子とかの芝居を要求されてもできますよ、きっと。

藤吉:どうなんですかね。でもやってみたいです。今回はリアルに近い感じだったので、もっと自分とかけ離れてるようなのも、うん。やってみたいです。

全員:あはははは。

権八:そこでチラッとマネージャーさんを見る感じ。

藤吉:圧かけてしまいました(笑)。

権八:「やりたいです」って言いながら。

澤本:なんかでも僕、藤吉さんって絶対役者さんなんだと思う。いやもちろんアイドルの方ですけど、役者さんと喋っている感じがすごくする。

権八:それはどういうところがそうなんでしょうね。

澤本:自分はどう表現しようかっていうのを考えている人と喋っている感じがして、それを考えて言葉を出し入れしている感じがめちゃくちゃあるんですよね。

藤吉:わ〜うれしい……。

権八:でもなんかその場、その瞬間を生きてる感じもしますよね。違うのかしら。

藤吉:どうなんでしょう。

権八:文脈とかあんまり気にしなさそうって感じが。

藤吉:ちょっと歪ですよね。

権八:いやいやいや歪じゃなくて。それを人は天才と呼ぶんだと思うんですけど。いや本当に。

澤本:もっと演技とかドラマとか映画とかやりたいと思います?

藤吉:やりたくて。今年は「演技やりたい」ってもう信じられないくらいずっと言ってます。

権八:これはでもね。今日もいい機会ですからね。

澤本:本当にうまいっていうか、無二なんだよね。他にないの。

藤吉:いや〜そんなにハードルを上げられると……(笑)。

澤本:ハードルを上げてるわけじゃなくて。

権八:あ〜いいね、唯一無二。

澤本:そうそうそう。この役だったら藤吉さんだったらいいなっていう人の代わりが、急に藤吉さんが駄目ってなった時に次は誰かなっていうような感じ。

藤吉:うれしい。

澤本:僕はこう見えてもたまにドラマの脚本書いてるんですけど、藤吉さんで脚本を当て書きして、「こんなの嫌だよ」って言われたら、「え、じゃあこの役他に誰にやっていただいたらいいかな」って悩む感じがあります。

権八:でも確かに当て書きしたくなる人ですよね。

澤本:そうなんですよね。

権八:なんかとりあえずキャラクター考えて、この候補に藤吉さんはどうかなっていうよりかは、藤吉さん目がけて書きたくなる。

澤本:そうそうそう。

常に目がハートの3期生

権八:CMに出たことはあるのでしょうか?

藤吉:イオンカードさんなど櫻坂46としては出たことがありますけど、個人ではないですね。

全員:あはははは。

藤吉:ずっと圧かけちゃってる(笑)。

権八:マネージャーさんの方、チラチラね。でもね、これ広告関係の人も聴いてるんで、ちょっと大注目だと思うんです。話変わりますが櫻坂46、今年から3期生が加入されたということで。藤吉さんは2期生ですよね。

藤吉:2期生です。

権八:後輩が入ってきたわけですけど。立場や気分、櫻坂46全体の雰囲気なんかは変わりましたか。

藤吉:グループ自体がすごく明るくなりました。3期生ちゃんが今時の女子高生の感覚の子たちなので、新しい空気が入ったというか、すごくワクワクしてます。

権八:面白いですね。今時の子たちが入ってきて、かわいいなっていう目で見られてるんですかね。

藤吉:かわいいですね。なんか新鮮な感覚です。2期生自体もすごく今時の子たちの集まりだと思ってたんですけど、違いましたね。今はこの子たちだと思いましたね。人との接し方もすごく上手なんですよね。今の女子高生の子たちはみんなこんな感じなのかなと思ったりしました。コミュニケーション力が本当に高いです、とにかく。なので、一期生の方と仲良くなるスピードも速いですね。

権八:なんとなく思うのは、今時なのかもしれないですけど、もしかしたらすでに櫻坂46がちゃんとあってね、それを見て「素敵だな」「キラキラしてるな」って憧れて入ってきた子たちだから、目がハートになってるっていうか。

藤吉:ハートですね常に。

権八:だからそういうこともあるのかなって。今時ってだけじゃなくて。

藤吉:なるほど。そんな気もしてきました。あはは。

権八:というわけでですね、3期生が入ってきて雰囲気も変わったということですけど、ここで1曲おかけしたいです。藤吉さん、曲の説明と紹介をお願いできますでしょうか?

藤吉:はい。今から流させていただく曲は3期生ちゃんの楽曲です。もうそれこそMVが公開されて、正直驚きましたね。こんな力があったんだと。見てすぐ「私もこういうのやりたかったです」と連絡したくらい素敵なMVなので、そちらも見ていただけるとうれしいなと思います。

権八:はい。では、曲の方を紹介してください。

藤吉:はい。櫻坂46で、『静寂の暴力』。

 

権八:そう、何を奪うつもりってね。いやこの『静寂の暴力』、これも素敵な曲ですけど、3期生の方のダンスすごかったですね。

藤吉:いや本当に、こんな力を持ってたなんて知らなかったですね。本当にびっくりしました。いや〜、ちょっと私、涙出そうでしたもん、あれ見て。私たちにないものをたくさん持ってる子たちなんだなって、身にしみました。

権八:すごい。

澤本:でも逆に、3期生の方々は「自分たちができないことをやっている集団だ」って2期生のことを思っているはずですよ。

藤吉:うーーん、そうですかね。

藤吉夏鈴さんだからこその魅力

澤本:欅坂(けやきざか)46だったのが、今は櫻坂(さくらざか)46じゃないですか。そのグループ名が変わった時って、自分の中で何か変わったんですか?メンバーの山﨑天さんは前に来てくれたときに「あれが自分のターニングポイントになった」とチラッとおっしゃっていたので、他の2期生の方はどうなのかなと思ってちょっと聞いてみたんですけど。

藤吉:私たち2期生って、欅坂46の頃はあまり活動自体がなかったんですよ。ライブにちょくちょく出たりとかはありましたけど、何かを制作したりとかはなかったので。制作があるかないかってまったく違うじゃないですか。そういう意味では変わりましたけど、何が変わったかと言われるとちょっとわかんないんですけど……。

澤本:それは藤吉さんの中では多分わかんないっていうのが正解だと思って、別に変わってくれって思って言ってるわけじゃないから、それはそれで全然答えとしてはね、いいと思います。

藤吉:すごい個人的にはですけど、欅坂46は集団って感じで、櫻坂46はやっぱり個々を求められている気はします。

澤本:すると個性がやっぱり出ますよね。櫻坂46の今のライブ見てると、山﨑さんと藤吉さんは全然違った意味で目につきますもんね。山﨑さんって集団で踊ったりしてもやっぱり目立つじゃないですか。

藤吉:そうですね。

澤本:それこそモニターじゃなくて肉眼で見てても「あっ」てわかるし、それが寄ったりするともっとちゃんとわかる感じ。でも藤吉さんは、特に表情とかバンッて見たときに「すげえ」となるタイプですよね。

藤吉:え、うれしい。

澤本:だから代々木でも、真ん中歩いてくるときあるじゃないですか。あそこです。あそこでゾッとしたんですよ。

藤吉:うれしい……。なんだかいい気分です(笑)。

全員:ははは。

澤本:嫌な気分になって帰るよりは全然(笑)。

記憶を塗り替えたくないほどの素晴らしい景色

権八:そんな藤吉さん。さっきドラマとかね、お芝居で久々にワクワクできたみたいな話されてましたけど、普段ワクワクする瞬間とかウキウキする瞬間って何かあったりしますか。

藤吉:最近はそれこそ大阪のライブの最後に披露した『Start over!』でしたね。

権八:ほう。

藤吉:4枚目のシングルあたりからあんまり心が動かなくなってしまった気がしていて、でも制作していくなかで、何かきっかけが見つけられたらいいなとはずっと思いながら活動していたんですよ。今回ツアーファイナルの大阪で『Start over!』披露したときにすごく心が動いたというか、生きているなかではじめての感情というか、舞台から帰ってきたくなかったですね。現実じゃないですか、ステージ降りてしまったら。

権八:はいはいはい。

藤吉:『Start over!』は最後メンバーたちがぐるぐる回るんですけど、曲が終わる直前に後ろ振り返ったら、みんなが回ってる光景が広がってて神秘的というか、見たことがない景色だったんですよ。自由が広がっていて。そんな生きてるなかで自由になるなんて無理じゃないですか、そもそも。そんな自由な世界を肌で感じることができて、すごくうれしかったですし、正直『Start over!』もうやりたくないって思いました。もう記憶を塗り替えないでくれって思うくらいでした。

澤本:でもそれって再現性があるかどうかってまだやってみてないってことですか?

藤吉:そうです。ライブでまだ一回しかやってないので。

澤本:もっとよく塗り替えられる可能性もなくはないじゃない、だって。多分、藤吉さんの中にまだ見てない景色がいっぱいあるんですよおそらく。

藤吉:はい。

澤本:で、その一個を見ちゃった。もうちょっといい景色があるかもしれないし、それはセンターじゃないかもしれない。役者かもしれないし、舞台に立ってるかもしれないし、というのはいろいろある。そのなかの一カ所をステップとして踏んじゃったって感じじゃないですか。

藤吉:うーん、たしかに。

権八:でも今話聞いてても本当に根っからの表現者ですよね。アーティストですよ。僕さっきね、最近何かワクワクしたことって言ったのは、日常生活の話を振ったつもりだったんですよ。それでもステージのキラキラした瞬間の美しい自由な世界の話に戻ってたから。いや、すごいよね。僕の振りが間違ってた(笑)。

全員:あはははは。

権八:でもだからこそ僕がちょっとね、老婆心ながら思うのは、美味しいものとかたくさん食べて元気にね、やっていってほしいなって……。そういう瞬間の美しさって神々しくて、日常の毎日続いていくルーティンとは全然違うもので、美しいアートの世界に打ちのめされるじゃないですか。でもそれとは別に、日常生活の他愛ない幸せもあるじゃないですか。

藤吉:はい。

権八:だから食べてください。

澤本:他愛もない質問で言うと、好きな食べ物。

権八:そうなんです。それ聞きたかったんです。

藤吉:好きな食べ物?え、うーん、和食……?

権八:いいよね。このね、伏し目がちに言う感じ。

というわけでですね、まだまだもう掘り足りなさすぎて、掘っても掘ってもね、捉えどころがなくスッて逃げていく感じがね、すごいんですけども。残念ながら、そろそろお別れの時間が近づいております。今後のご予定などで言いますと、ちょっとここにある美しいチラシのお話をちょっとだけ、ほんのちょっとお願いします。それは何ですか。

藤吉さんも手伝うかも…!?櫻坂46の歴史を知る展覧会

藤吉:7月28日から10月29日まで六本木ミュージアムで櫻坂46の展覧会がありまして。

権八:はい。

藤吉:私もまだその現物は見てないんですけど、これも「手伝いに行かせてくれ」とマネージャーさんに頼んでいる最中です。もしかしたら手伝ってるかもしれないし、手伝ってないかもしれないし(笑)。

権八:ははは。「新せ界」という櫻坂46展。あーなるほど。いろいろなクリエイティブ、衣装、映像、ダンス、ジャケットの美術のセットとか、櫻坂46のためにつくられたいろいろな制作物の展覧会となるということですね。

藤吉:お上手ですね。

権八:いやいやいや。

澤本:褒められたよ。

権八:ぜひ、ファンならずともちょっとチェックしなければならないものでございます。「新せ界」。というわけで今夜のゲストは、櫻坂46の藤吉夏鈴さんでした。ありがとうございました。

藤吉:ありがとうございました。

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