東京都書店商業組合は10月27日、本屋文化の継承を目指した「明日にも、本屋さんを」プロジェクトを開始した。本プロジェクトでは、テレビアニメ『七つの大罪 黙示録の四騎士』とコラボした謎解きゲームの実施や、企画に賛同した著名人からのメッセージ「わたし、本を、本屋で買う人。」を合言葉にした冊子配布を行う。
同組合は、2022年10月にも本屋へ足を運ぶ習慣づくりを目指したプロジェクト「#木曜日は本曜日」を実施していた。
昨年に引き続き新たなプロジェクトを行う背景には、昨今の書店数減少がある。
電子書籍や書籍のネット購入率の増加を受け、2000年時点で全国に約2万店舗存在した書店は、2020年に約1万店舗と半減。同組合の加盟店舗数もピーク時からおよそ8割減少している。
この状況を受け、今年も本屋文化の継承を目的としたプロジェクトを開始。都内180の書店を謎解きスポットとして活用する本屋巡り謎解きゲームは、新しい本屋の楽しみ方や本屋に訪れるきっかけを提供する試み。また、プロジェクトに賛同した著名人たちが「わたし、本を、本屋で買う人。」というメッセージを広め、YouTubeや購入者特典小冊子を通じて、書店を応援。書店で本を購入することの楽しさを伝えるキャンペーンを実施していく。
本施策を実施する都内の書店では、プロジェクトの合言葉である「わたし、本を、本屋で買う人。」というコピーが記載され、声優の梶裕貴、タレントの井上咲楽、女優の本仮屋ユイカを起用したポスターを掲示。特典小冊子も制作し、12月1日より都内の対象書店で配布される。
小冊子には、「本屋好き」と話す本仮屋さんや井上さんらによるコラム、梶さんによる朗読音声を含んだNFTデジタル特典を掲載する。
東京都書店商業組合 プロジェクト特別委員会の田中委員長(大和書店)は、本プロジェクトについて「インターネットでのコミック読み放題が定着するなど、書店の売上は今までに増して大変厳しい状況。本との予期せぬ出会いができる本屋の減少は、知的好奇心への刺激を減らすのみならず、これまで多種多様な本の出版が行われてきた日本の文化を失うことに繋がると危惧している。今回のプロジェクトによって、町の本屋に足を運ぼうという方が一人でも増えてもらえることを願っている」(田中氏)と話した。