第76回「広告電通賞」の贈賞式が10月31日、グランドプリンスホテル新高輪(東京・港区)にて開催された。最高賞にあたる「総合賞」を受賞したのは、静岡市の「静岡市プラモデル化計画」。地方自治体が広告電通賞を受賞するのは史上初。
「静岡市プラモデル化計画」は、静岡市が国内のプラモデル製造品出荷額で8割以上のシェアを占めることから、2020年2月にシティプロモーションの一環でスタートした施策。2021年度には民間企業との初めての取り組みとして、西日本電信電話と公衆電話のモニュメントを設置。2026年までに30基を置くことを目指している。
「静岡市プラモデル化計画」は「総合賞」のほか、「OOH広告」「ブランドエクスペリエンス」「エリアアクティビティ」「イノベーティブ・アプローチ」の4部門でそれぞれ最高賞を受賞している。
贈賞式冒頭で登壇した広告電通賞審議会の今井敬会長は、今回の広告電通賞について「地域からの応募も多く見られた。全国で優れた広告コミュニケーションが行われていることの証左であると思う。また、地球規模で課題が存在する今、応募作品から社会的な意識の高まりも強く感じた。『広告コミュニケーションは時代を映す鏡である』ことを再認識した」と総括した。
広告電通賞 審議会 理事長の大平明氏は選考経過、審査報告について言及。「応募総数は1195作品。選考はコロナウイルスの影響により、前回同様すべてオンラインで実施。8月に受賞を決定した。第76回広告電通賞ではアフターコロナを見据えて、活発に広告コミュニケーション活動を展開している広告主企業だけではなく、地方自治体をはじめとした様々な受賞が見られたのが特徴だ。各部門の最高賞においては、いずれの作品もソーシャルな視点やパブリックな視点で取り組んでいることが選考でも高く評価された。昨今はAIなど、技術の進化によって広告コミュニケーションのアイデアはどんどん広がり、留まることを知らない。広告コミュニケーションに関係するすべての皆さまがさらなる創造性を発揮し、ますます活躍することを祈念している」と述べた。
また、「総合賞」を受賞した静岡市 市長 難波喬司氏は「静岡市はプラモデル製造出荷額において、日本の8割を占めるプラモデルの街。しかし、今までは街の中にプラモデルを感じさせるものがなかった。そこで、プラモデル産業をより多くの人に知ってもらいたいと考えたのが『静岡市プラモデル化計画』。もしもこの町の景色がプラモデルだったら、プラモデルの箱を開ける時のドキドキの感覚を共有できるのではないか。そう考えて、“プラモニュメント”を制作した。2021年のNTT西日本と連携で公衆電話のプラモニュメントを設置して以来、民間企業によるプラモニュメントの設置は進んでいる。この受賞を契機に、令和8年までに30基置くことを目指し、地方が持つ、地方ならではの、地方にしかない貴重な資源を活用した街づくりを官民で取り組んでいく」とした。
今回の選考対象となった広告は、2022年4月から2023年3月までに実施されたもので、応募作品点数は1195点(「ブランドエクスペリエンス」「エリアアクティビティ」の2部門は2022年3月から2023年3月までが対象)だった。