世界三大デザイン賞のひとつ、「レッド・ドット・デザイン・アワード2023」(主催=独ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター)の受賞作がこのほど発表され、日本からはドラッグストア「マツモトキヨシ」の「銅鑼灣(コーズウェイベイ)店」(中国・香港)や、カジュアル衣料品店「ユニクロ」の「UNIQLO LOGO STORE 前橋南インター店」(群馬・前橋)などが選ばれた。マツキヨココカラによると、アジアで常設の商業施設が空間・リテールデザインカテゴリーで入賞するのは初という。
「マツモトキヨシ銅鑼灣店」は香港の4号店で、昨年10月21日にオープンした。「TOKYO CHAOS(東京カオス)」をコンセプトに、東京のトレンドを発信するスペースや、大型デジタルサイネージ、AI(人工知能)技術を用いたコスメ商品の提案などを盛り込んだ“体験型店舗”だ。差別化が難しいドラッグストアで、「ユニークで大胆な店舗コンセプトを具現化し、空間デザインと幅広い商品構成、サービスを通じてブランドコンセプトを体感できる」点などが評価された。
コンセプト策定などに携わったインターブランドは、「開店の際は長い行列ができ、予想を超える多くの来場客を迎えた。これまでにないユニークな顧客体験は大きな反響を呼び、予想を上回る成果につながっている」とした。デザインはSOGU。
「UNIQLO LOGO STORE 前橋南インター店」は、ことし4月21日にオープンした、ロードサイド店の新業態。目を引くのは店舗の三方に配した、7メートル四方の巨大な「UNIQLO」のロゴだ。このロゴが、「フラッグシップストアとしてのインパクトを表現するとともに、オンラインとの差別化を図るための体験性を強調している」という。店舗デザインは佐藤可士和氏(SAMURAI)、建築設計は竹中工務店。
両店舗が入賞した空間・リテールデザインカテゴリーでは、ほかに昨年11〜12月に高級ファッションブランド「COACH」が実施した期間限定店「コーチマート ホリデーポップアップストア」や、東急プラザ銀座のウインドウディスプレー「KIRIKO TREE」など34件が受賞。
空間・リテールデザインカテゴリーの最優秀賞は、スイスの製薬大手ノバルティスが昨年4月、開設した体験型施設の「ノバルティス・パビリオン」(スイス・バーゼル)。約1万枚の太陽電池と約3万個のLEDライトが埋め込まれたファサードが特徴で、日没から約30分間、日替わりで電子アートが楽しめる。「ソーラーパネルは、イルミネーションに必要な電力以上の電力を生産しており、持続可能性と美学が融合している」として評価された。
日本の企業からはアワード全体で142件が受賞。最高賞となるグランプリはなく、それに次ぐベスト・オブ・ベストではトヨタ自動車など8件が受賞した。プロダクトデザイン部門、ブランド&コミュニケーションデザイン部門、ブランドコンセプト部門の入賞件数は3470件。