※本記事は月刊『宣伝会議』11月号の転載記事です。
エシカル・スピリッツ
COO
小野 力氏
未活用素材の潜在可能性に着目酒粕をリユースしたクラフトジン
「循環経済を可能にする蒸留プラットフォーム」のビジョンを掲げるエシカル・スピリッツは、新時代のクラフトジンを生産する蒸留ベンチャーとして2020年に設立。同年3月には、第一弾のエシカル・ジン、日本酒造りの過程で廃棄されるはずだった酒粕を蒸留した「LAST」を発売。
注目されるのは生産方法のみならず、ウイスキー業界で権威のある品評会WWAのジン部門「World GinAwards 2021」での国別の最高賞を、英国「IWSC2021」では最高賞であるGOLD OUTSTANDINGを受賞するなど、品質にも定評があることだ。
通常、日本酒造りの工程において使用される酒米のうち、30~35%が「酒粕」となる。年間で生産される酒米は、約9.6万トンにものぼるといい、酒造りの過程で産まれる酒粕は約2万トン相当になるという。
これまで酒粕は粕漬けや粕汁など食品や飼料に利用されてきたが、需要低迷と共に、産業廃棄物として処理される酒粕も多いのが現状だ。「同じお酒へのリユースでも粕取り焼酎の市場は成熟していますが、ジンはいままさにブームが来ているお酒です。これからの市場可能性があると考えました」と話すのは、エシカル・スピリッツ共同創業者でCOOの小野力氏だ。
また、ジンはジュニパーベリーという球果を使用すれば、その他は様々なハーブやスパイスを香りづけに使ってつくることができる。そのため同社の未活用素材のリユースも酒粕だけにとどまらず、コーヒーの出し殻やカカオハスク、廃棄寸前だったビールなど多岐にわたる
「私たちは『Starring the hiddengem(隠れた才能をステージへ)』を理念に、これまで50以上のエシカルジンを開発しました」(小野氏)。代表ブランド「LAST」を中心に20~30代の女性に支持され、現在はスーパーマーケットや酒店などに販路を拡大。
東京・蔵前にある『東京リバーサイド蒸溜所 by The Ethical Spirits&Co.』では、オフィシャルストアやBar&Dining「Stage」など直営店も展開している。
メーカーとしての信頼度獲得多種多様なコラボレーション
同社のマーケティング戦略の鍵となるのが、多様なコラボレーション施策だ。「スタートアップである我々の目標は、メーカーとしての信頼を築くことであり、レピュテーションの向上を目指しています。そのためには、自分たちが持っていない顧客層に対するアプローチが重要となります」(小野氏)。
2023年に実施したコラボレーションだけでも、成田空港、東急、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン、サントリー、JALなどが挙げられる。「コラボレーションを実施する際に大切にしているのが、その界隈に属するコミュニティの人たちが何を大切にしているかを商品に落とし込むことです」(小野氏)。
……この続きは月刊『宣伝会議』11月号で読むことができます。
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