12月1日発売予定の月刊『宣伝会議』2024年1月号では、広告・メディア・マーケティング「2024年はこう動く」をテーマに、広告・コミュニケーションビジネスに起きる国内外の変化や2024年に注目すべき事象・技術・手法のトップランナーが集まっての対談・鼎談をもとに、業界の動きを予測している。
本特集記事の一部を、月刊誌の発売前に「アドタイ」にて公開。ここでは、11月14日に発表された電通グループの経営体制の変更から見えてくる、グローバルでのコミュニケーションビジネスを取り巻く変遷を考察する。
世界の広告ビジネスに目を向けると、ここ数年でコンサルティング会社がクリエイティブ機能を強化し、コミュニケーションやマーケティングの領域に進出する動きが顕著になっている。すでに国内市場でもこの動きは明確な流れだ。
加えて、広告メディアビジネスという観点で見ても、デジタル広告の伸びを背景にGoogleやMeta、さらにリテールメディア市場の拡大を背景にAmazonなど、新たなプレイヤーが広告メディアビジネスの世界で存在感を増している。
グローバルで見た際、確実に広告ビジネスの潮目は変わってきている。もはや“広告”というラベルを付けて論じること自体を見直す必要があるような変革と言える。
この流れに、日本の広告会社はどのような戦略で向き合うべきなのか。ひとつの方向性が2023年11月14日に電通グループが発表した、グル―バル共通の事業管理モデルの導入と新経営体制に提示されていた。
同グループが発表した具体的な事業管理モデル(One dentsu オペレーティング・モデル)とは、下図の通り。クライアント企業の窓口をグローバルで一本化(クライアント・マネジメント)。またビジネス・トランスフォーメーション(BX)、メディア、クリエイティブ、顧客体験マネジメント(CXM)、専門プラクティス領域などの各ソリューションを統合的に企画・提案する統合ソリューション・プランニング機能を設置。さらに、それらの機能を支えるひとつに「データ&テクノロジー」が据えられているのが今日のマーケティングビジネスを象徴していると言えそうだ。
さらにこの新方針の実施に伴い、国内においてはdentsu Japan CEO兼 電通 代表取締役社長 執行役員だった榑谷 典洋氏が退任。新たに佐野 傑氏(現・電通・統括執行役員)が2024年1月1日よりdentsu Japan CEO 兼 電通 代表取締役 社長執行役員に就任する人事も発表になった。dentsu Japanは電通グループ内の国内事業を統括・支援する役割があり、国内事業の中核企業のひとつが電通という位置づけだ。
佐野氏は就任に際して「顧客からも社会からも信頼される企業グループになることを目指す」とコメントしている。今回の変革がグローバルにおける広告ビジネスの変化に対応する経営戦略であると同時に、国内における事業変革と組織風土の進化を両輪で推進してさらなる成長を目指す目的も兼ねている。
【電通グループのグローバルビジネスの変遷】
2013年3月:英国の広告会社であるイージス・グループの買収を完了。グローバルにおける成長を目指す。
2020年1月:株式会社電通グループが立ち上がり純粋持ち株会社体制に移行。合わせて、海外事業も含めてグループ全体の“包括的な見直し”と“事業トランスフォーメーション”の実現に向けた取り組みを開始。
2023年1月:電通グループ内、電通ジャパンネットワークと電通インターナショナルによる2事業の体制となっていたものを、グローバル経営を推進する「グループ・マネジメント・チーム」を組成し、ワンマネジメントチーム体制に移行。「One dentsu」の旗印のもと、電通グループ直下に4地域制(日本、米州、EMEA、APAC)を置く事業体制に変更。
2024年1月:One dentsuオペレーティング・モデル(事業管理モデル)を導入。
【月刊『宣伝会議』12月1日発売号予告】
12月1日発売予定の月刊『宣伝会議』2024年1月号では、大手広告会社やグローバルのプラットフォーム企業のトップに聞く2024年のマーケティングビジネス展望の他、MMM、リテールメディアはじめ、改めて2024年に注目のワードを選出して、解説をしています。